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学術会議会員の任命拒否に抗議する集会が福岡で開かれました [社会]

日本科学者会議(JSA)福岡支部と九州大学関係者有志による、学術会議会員の任命拒否に抗議する集会が、11月21日(土)、福岡市で開かれました。弁護士の徳永由華氏、九大名誉教授の石川捷治氏が講演、のち参加者で討論。リモートも含め24名が参加しました。JSA福岡支部のサイトのこの項目に、集会概要、報告者レジュメ、録画、採択された集会アピールが掲載されています。
  集会の様子            講演する石川氏
IMG_2245w1200.jpgishikawa.jpg

上記サイトにもありますが、集会アピールを転載します。
集会アピール

 菅首相は日本学術会議の会員候補のうち6名の任命を拒否しました.これは日本学術会議法に違反するだけでなく,憲法23条の「学問の自由」を侵害する違法行為です.任命拒否の理由も決定過程も明らかにされていません. 6名の任命拒否は,この6名だけの問題ではなく,日本の科学者の代表である日本学術会議全体の問題であり,さらには「思想および良心の自由」,「表現の自由」にも関わる日本国民全体の問題です.
 日本学術会議は菅首相に対して「第25期新規会員任命に関する要望書」を提出し,任命拒否の理由の説明と6名の速やかな任命を求めています.菅首相はこの要望書に対して黙殺を続けるだけでなく,国会ではこの問題に対する野党の追及に対して一切誠実な答弁をしようとしていません.
 本日の集会に集まった私たちは,菅首相が日本学術会議の要望書にある6名の早急な任命と任命拒否の理由を誠実に説明することを強く望むものです.また,私たち参加者は,権力による分断を許さない日本学術会議の姿勢を支持し,同会議が日本学術会議法に沿った使命と目的を貫かれることを,全力で支援することを表明します.
          2020年11月21日
  集会「学術会議会員の任命拒否問題と学問の自由」参加者一同
1401577.gif12/2追記:アクセス統計を見ていたら、14年前の記事「学術会議がパブリックコメントなしに『科学者行動規範』を制定」がありました。
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クラスター発生だけで全州ロックダウン--南オーストラリア [社会]

abcnews.jpg早朝の海外ニュースでオーストラリア放送の内容に驚いた。アデレードで発生したクラスターが拡大するのを阻止するため、全州ロックダウンに入るというのだ。同放送局のウェブで確かめてみた。冒頭部分。
Some of the toughest restrictions faced anywhere in Australia since the start of the coronavirus pandemic are now in place in South Australia.
The surprise move announced yesterday has sparked divided views in the state, with businesses, pet owners and funeral parlour operators worried about the effects.
Premier Steven Marshall yesterday put South Australia into a major lockdown for six days as a "circuit breaker" to stop a second wave of coronavirus starting from a cluster in Adelaide's north.
From midnight last night, only supermarkets, bottle shops, medical and mental health services, petrol stations and childcare and schools for families of essential workers are still open.

(訳)
国内で最も厳しい対コロナウイルスのロックダウンが南オーストラリアで実施されます

南オーストラリア州で6日間のロックダウンが始まりました。
生活に必須以外の事業所は閉鎖されます。 人々が外出できる理由は制限されます。
昨日発表された突然の措置は、その影響を心配した企業、ペットの飼い主、葬儀場の運営者の間で、州内の意見の対立を引き起こしました。
 スティーブン・マーシャル州首相は昨日、南オーストラリア州を「サーキットブレーカー」の作動として6日間大規模なロックダウンを実施しました。アデレード北部のクラスターに始まるコロナウイルスの第2波を阻止するためです。
 昨日の深夜から、スーパーマーケット、酒屋、医療とメンタルヘルス・サービス、ガソリンスタンド、保育所、そしてエッセンシャルワーカーの家族のための学校だけが開いています。

オーストラリアの最近の感染者数は次の通り。16日は「わずか」13人、しかも全て南オーストラリアのケースだけ。これが問題になったクラスターと思われます。同局のデータサイトから。
cases-aus.jpg
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次は検査数。日本の20倍近い。
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tests-aus.jpg

日本でもこのようなチャンスがあったのに逃してしまった。このまま今の政権、対策(無策)が続けば、私自身や家族も含め、多くの人の命が危ない。メディアは、このように衛星放送でNHKがわずかに「コピペ」するだけで、海外の重要な情報を遮断している。政府の無策を目立たないようにするためか?なせメディアはこのように手厚く政権を保護するのだろうか?

第一波の時に書いたように、最後の砦である自治体で、世田谷区に倣って「社会的検査」を大規模に実施し、「検査・隔離・保護」によって地域で封じ込めることだ。
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現代の「竹槍」でコロナを迎え撃つ--コロナ分科会尾身会長 [社会]

#自民党に殺される
コロナ第一波の時は毎日気が気ではなく、その問題で数日おきにブログを更新していたが(第一波最後の記事は多分これ)、流石に日本も経験を積み、政府の対応も少しはマシになったかも知れないと思っていた。しかし、第一波であれほど問題になったPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の異常な少なさが依然として続いているのを知って驚いた。次の右のグラフ(厚労省ウェブサイト、11/15現在)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html
infected-test.jpg

人口あたり検査数で世界と比較すると一目瞭然。11/13現在。横軸が100万人あたりの感染者数、縦軸が同じく検査数。Our World In Data (オックスフォード大学の研究者による)
https://ourworldindata.org/coronavirus-testing
covid-19-daily-tests-vs-daily-new-confirmed-cases-per-million1200w.jpg
日本の検査数はヨーロッパより一桁以上少なく、デンマークと比べると100分の1だ。アジアでは台湾は少ないが、そもそも台湾ではコロナを抑え込んでいる。ニュージーランドも感染者を人口比で日本の10分の1以下に抑え込んでいるが、検査数は逆に一桁上だ。

にも関わらず、最近はテレビでも検査数の少なさを指摘する声があまり聞かれない。一体どういうことだろうか。そもそも政府が問題にしていない。それどころか未だに専門家会議の中に消極論があるらしい。アメリカでマスク着用が政治的対立のネタになったように、まるでPCR検査への態度がイデオロギー闘争のネタにでもなったかのようだ。政府の間違いをあからさまにするなという圧力でもあるのだろうか?

次のぼうごなすこ氏の漫画「令和の歴史教科書」は分かりやすい。いや、むしろ恐怖を感じる。尾身会長の「指導」はまさに現代の「竹槍」だ。これが日本の伝統なのかと情けなくなる。これではまたロックダウンは避けられず、経済はさらに打撃を受ける。もちろん重症者、死者、後遺症も増える。
https://twitter.com/nasukoB/status/1327945062852956161
nasukoE.jpg
(漫画の両端が切れないように加工しています。)

幸い第一波の時にはなかった民間の検査が今はかなり安く受けられるようになった。一つの会社に「プール方式でも良いか」と問い合わせたところ、「自己責任でどうぞ」とのこと。しかも感度はほとんど変わらないとのことだ(下にQ&A)。例えば家族4人で正月帰省する前に、4人の唾液を等量混ぜて検査に出せば、一人当たり4千円にもならない。迎える側も同じことをすれば、ソーシャル・ディスタンスなしの「濃厚接触」が可能だ。
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検査会社とのやりとり
【 質問 】 「プール方式」というのがありますが、こちらで勝手に2〜3人の唾液を混ぜて送ってもいいのでしょうか?
公式のお返事は「不可」だと思いますが、精度については利用者の自己責任で、ということでもダメでしょうか。
また、もしこのようなサンプルを送った場合、検査精度がどの程度落ちるか、データをお持ちでしたらお知らせ頂ければありがたいです。
【 回答 】 お問い合わせの件について、弊社から「プール方式」を推奨することはできませんが、お客様の自己責任ということでございましたら、2〜3人の唾液を混ぜた検体を受付・検査すること自体は可能でございます。
※弊社では1検体としてカウントいたしますので、検査結果報告書や検査結果証明書を3名分発行することはできかねます。

また、検査精度につきましては、唾液が2〜3名分のため2〜3倍希釈された状態でになりますが、PCR検査ですので精度が落ちるということはないかと思われます。
※データについては弊社では管理しておりません。

なお、検体ご採取される際、検査人はカップに同じ量の唾液を採取し、よくかき混ぜてから採取容器に移してください。
採取された検体量がそれぞれ異なる場合は、検査結果に影響がでる可能性がございます。
11/17追記: 別の会社に同じ問い合わせをしたところ、「ご希望の検体採取方法は引き受けしかねる」との返事でした。
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日本の教師の批判的思考力、教員組合、ユネスコ高等教育世界宣言 [仕事とその周辺]

2ヶ月あまり前のNewsweek日本版9月2日号の、「批判的思考が低い日本の教師に、批判的思考を育む授業はできない」というタイトルの記事が、数日前からフォローしているSNSで引用されているので、読んでみました。全く同感で、この数年来、いや数十年来の若者の非政治化、その結果としての政治の後進化の根本的な原因になっていると思います。筆者は教育社会学者の舞田敏彦という人。
一部引用すると、
自由奔放な思想や行動が許される学生の時期までもが、今の教職課程では学校現場の色に染められてしまう。風変わりなことや批判めいたことを言うと嫌われるので、社会に対する関心、批判精神が薄れるというのは道理だ。

牙を抜かれた教員たち
 こういう学生が採用試験を突破し、学校現場にやってきたらどうなるか。教育委員会や管理職にすれば扱いやすい存在だろうが、現場に新風を吹き込む創造性など持たないだろうし、学習指導要領で重視されている「批判的思考」を育む授業も期待できない。
 それはデータで裏付けられる。OECD(経済協力開発機構)の国際教員調査「TALIS 2018」では、授業において批判的思考を促すことがどれほどあるか、と問うている(対象は中学校教員)。肯定の回答(「A lot」「Quite a bit」)の比率を拾うと、日本は24.4%でしかない。対してアメリカでは82.3%にもなる。
そして次の表が示されています。
data200902-chart01.jpg批判的思考が日本の教師から奪われたのは、組合の衰退も大きく影響しているでしょう。保守勢力が「日教組」を悪魔化することを成功させてしまいました。組合にも入らず、自分の労働者としての権利のために闘うことを知らない人間に、真の意味の権利教育も批判的思考を育む教育はできないと思われます。

unesco-higher-ed1998.jpgこれで思い出したのが、1998年に出されたユネスコ高等教育世界宣言「21世紀の高等教育 展望と行動」です。この会議には文部省(当時)も参加し署名しています。日本語訳の全文は、ネット上には私が当時から掲示している日本私立大学協会による私訳しか見当たらないようです。
オリジナルはこちらです。
https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000141952
その第九条に「革新的教育方法-批判的思考および創造力」という項目があります。(a)〜(d)まで4項ありますが、その(b)項は「高等教育機関は、学生を批判的に思考し、社会の問題を分析してその解決策を求め、それを実践して社会的責任を受け入れることができる見聞の広い、深く動機付けられた市民となるように教育すべきである」というものです。

このユネスコ文書は日本ではほとんど注目されませんでした。文部省は公式訳さえ公表していません。当時、文部省から「試訳」をもらったので所属の教授会で配ろうとしたところ、その提供者に断られた記憶があります。出席した文部省官僚は旅費を返納すべきかと思われます。

なお、「ユネスコ高等教育宣言と大学審答申--『グローバルスタンダード』と儒教イデオロギーとのギャップ」と題して、同じ時期に出た「大学審答申」との語彙頻度分析をしていました。

「批判的思考」はもちろん高等教育だけの課題ではありません。

21世紀は始まってもう20年経ちますが、関係者は今この文書を読み直し、なんとか世界水準に追いつくよう努力すべきではないでしょうか。
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関連記事
ニューズウィーク日本版12月29日号のフローラン・ダバディー氏のコラムに共感
東北大学学生自治会主催のダバディー講演会
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世論調査 [社会]

mainichi1108shijiritsu.jpg(9日のフェイスブックとほとんど同じです。)
世論調査の結果を8日の新聞が報じている。
内閣支持率7ポイント減、57% 「任命拒否は問題」37% 毎日新聞世論調査
下がったとは言え、ほとんどまともに国会答弁もできないような首相の内閣に支持率が57%もあるとは驚きだ。ニュースはNHKだけ、購読紙も特に政権寄りのもの、という人口が相当多いためだろうか。(もちろんほとんどの大手紙が、報道機関というより半ば情報隠ぺい機関と言うべきかも知れないが。主要メディアでは国会答弁の実態はほぼ知りようがない。)

しかし世論調査の方法にも異常な高さの原因があるのかも知れない。この記事の末尾に次のように簡単に方法が書かれている。
「調査は、携帯電話のショートメール機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯726件・固定314件の有効回答を得た。」
ロボット任せという、随分と横着なやり方だ。もし自分にこのような電話やメールが来たら、相手の確認のしようがなければ無視するだろう。(本物の電子メールで、真贋が見分けられれば答えるだろうが。)つまり、これに回答する人というのはおそろしくお人好しの人の割合が多いのではないか。そのようなお人好しであれば、あのような首相、内閣でも信用してしまう、恐らくそんなところかも知れない。
なんども繰り返すが、マスメディアから独立した、綿密な世論調査が必要だ。

もう一点、学術会議任命拒否についての次の部分。
「菅政権が学術会議のあり方について見直しを検討していることについては、「適切だ」が58%で、「適切ではない」の24%を上回った。「わからない」は18%だった。野党は「論点のすり替えだ」と批判するが、学術会議の改革を求める声も強いことがうかがえる。」
おそらく回答者のほとんどがこれまで学術会議のことなど考えたこともないだろう。それどころか、初めてこの名前を聞いたと言う人が大半だろう。(私にしても、今回の件で知らないことが多いことが分かった。)それなのに政府の「見直し」の考えにすぐに同調してしまう。これは要するに、「メディアに露出した言説が勝ち」と言うことを証明している。つまり、学術会議側の、これに負けない言説流布が必要ということだ。むしろ「行動」で示すことが重要だろう。
(ブログ記事「今回任命された人は辞令を返上すべきである」参照。)
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バイデンのスピーチ、「アメリカ」を「この惑星」に差し替えると / Editing Biden's speech [社会]

biden.jpgReplacing 'America' with 'our planet' in Biden's speech will help achieve peace on this planet.
アメリカ主要メディアが「当確」を打ち、バイデンが勝利スピーチをしました。いい演説だったと思います。とにかくあのトンデモ大統領が去ることは喜ばしい。ところで、バイデンのスピーチのいくつかのフレーズは、単語の置き換えで世界平和に役立つスピーチに変換可能と思われます。次の二箇所です。(訳文は朝日新聞サイト動画はこちら

1箇所目、米国人→地球人
不快な言葉遣いはやめ、より冷静になり、もう一度互いに向き合い、もう一度互いに耳を傾けるときです。前に進むためには、互いを敵とみなすことをやめなければなりません。彼らは私たちの敵ではありません。彼らは米国人なのです。
...↓ ...
不快な言葉遣いはやめ、より冷静になり、もう一度互いに向き合い、もう一度互いに耳を傾けるときです。前に進むためには、互いを敵とみなすことをやめなければなりません。彼らは私たちの敵ではありません。彼らも地球人なのです。
(原語。NYTimesによる。上の動画の6分17秒から)
It’s time to put away the harsh rhetoric. To lower the temperature. To see each other again. To listen to each other again. To make progress, we must stop treating our opponents as our enemy. We are not enemies. We are Americans.
...↓ ...
It’s time to put away the harsh rhetoric. To lower the temperature. To see each other again. To listen to each other again. To make progress, we must stop treating our opponents as our enemy. We are not enemies. We are all Earthlings.

2箇所目、米国→この惑星 etc.
米国における、相手を悪魔のように扱う冷酷な時代は、いまここで終わりにしましょう。民主党と共和党が互いに協力を拒否することは、私たちが手に負えないような不思議な力によって起きているのではありません。それは決断なのです。私たちがする選択です。そして、私たちが協力しないと決めることができるのならば、私たちは協力すると決めることもできるのです。そして私は、これが米国民から私たちに与えられた任務の一つであると信じています。
...↓ ...
この惑星における、相手国民を悪魔のように扱う冷酷な時代は、いまここで終わりにしましょう。A国B国が互いに協力を拒否することは、私たちが手に負えないような不思議な力によって起きているのではありません。それは決断なのです。私たちがする選択です。そして、私たちが協力しないと決めることができるのならば、私たちは協力すると決めることもできるのです。そして私は、これが国民から私たちに与えられた任務の一つであると信じています。

(原語。同じくNYTimesによる。上の動画の9分17秒から)
Let this grim era of demonization in America begin to end — here and now. The refusal of Democrats and Republicans to cooperate with one another is not due to some mysterious force beyond our control. It’s a decision. It’s a choice we make. And if we can decide not to cooperate, then we can decide to cooperate. And I believe that this is part of the mandate from the American people. They want us to cooperate.
...↓ ...
Let this grim era of demonization on this planet begin to end — here and now. The refusal of people of A country and B country to cooperate with one another is not due to some mysterious force beyond our control. It’s a decision. It’s a choice we make. And if we can decide not to cooperate, then we can decide to cooperate. And I believe that this is part of the mandate from the people on this planet. They want us to cooperate.
もしこのような置き換えをする私を「お花畑」と呼ぶなら、バイデン氏に対してもそう呼んでください。

なお、2箇所目の"悪魔のように扱う, demonization"を、日経は「悪夢の」と誤訳している。
1401577.gif10日追記:毎日も全訳を出したが、この部分は「互いを悪魔に見立てるような嫌な時代を今、ここで終わらせよう」となっており、正確だ。
1401577.gif12日追記:バイデン氏は第2回テレビ討論で「トランプ大統領は北朝鮮を正当化し、悪党(thug)を親友だと言った」と発言、金正恩氏を「悪党」と呼んだ(NHKサイト)。たとえどんな悪い人間であろうと、一国のトップになろうという人が他国のトップを「悪魔に見立てる」ことをしてはいけない。上の演説のように、「相手を悪魔のように扱う冷酷な時代」を終わりにするのかどうか、それともこれはアメリカ国内限定なのか、注視していく必要がある。
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九電の原発からの液体トリチウム放出(更新) [仕事とその周辺]

九電サイトの、原発からの液体トリチウム放出量が2019年度まで更新されていましたので、昨年6月のグラフを更新しました。「玄海原発からのトリチウム放出再開」の後継記事です。
まずグラフです。縦軸の単位はテラベクレル。白黒印刷用はこちら
tritium-up2019color.jpg
次に数表。

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「問われているのは知識人としての倫理と矜持」-- 学術会議任命拒否 [仕事とその周辺]

nankaibc.jpg1昨日、少し遠出の車の中で、賞を取ったラジオドラマの連続放送をNHK-FMで聴いた。
南海放送の、「感染」―正義とは何か―
【放送日時】  2020年5月30日(土) 14時00分~14時44分
同局の関係のプレスリリース

感染拡大の真っ只中に作られたドキュメンタリーで、地域でのコロナウイルス感染をめぐって、ウワサ、中傷などがどのように人々の間に「感染」していくかを追ったものだ。

驚いたのは、電話やSNSで攻撃したりするような人たちの権力追従ぶりだ。知事など行政当局が、感染を出した施設の不手際を批判すると、すぐにその施設への攻撃が始まり、逆に、「敵は人ではなくウイルスだ」というようなことを言うと、たちどころに施設への激励や感謝の電話が増える、というのだ。

このような、権力にすぐに追従するような人というのは、このような電話好き、SNSで発信したがるような人に特に多いのか、それともこの国の人々の一般的な傾向なのか。おそらく後者だろうと思われる。(「この国」に限ったことではないかも知れないが。)

ウイルス感染問題とは全く別の世界、学術会議の任命拒否問題でも類似のことがすでに起きているようだ。任命拒否された人に対する攻撃が、直接本人にだけでなく、その関係者・機関に対しても始まっているという情報を目にした。総理大臣という「お上」の価値判断に、忠実に付き従っている、そのような人たちが、もちろん少数だろうが、さっそく出現しているのだ。

権力に従順に追従するというのは、コロナ対策では日本にとって大きなメリットだったかも知れない。なにしろ、何の強制力もなしに「ロックダウン」が可能だったのだ。しかし世の中では「多様性」が重要な局面も多い。排外主義が一層強くなり、国家がそれを公認するようになると(現在すでにその傾向が大きくなっているが)、それに同調しない人に対する攻撃も表面化するだろう。ましてや、たとえ小規模でも隣国との軍事衝突ともなれば、「非国民」と言う言葉もあからさまに復活するかも知れない。その先には・・・。

学術会議問題が孕む重大な危険性はこのような文脈にもつながる。サンデー毎日掲載の、白井聡氏の論説はとても鋭くこの問題の本質に迫っている。私が10月3日の記事に書いたのと同じような内容もあった。真ん中ほど、「知識人の倫理と矜持が問われている」のパラグラフから引用する。
また、今回会員に任命された99名の学者たちから、6名の任命拒否が貫かれた場合どのような対応をするのかについて態度表明がなされたという話も現時点で聞かない。政権の越権行為によって6名の学者を省いてなされた今回の任命は、違法である。99名の学者たちは、違法になされた任命に基づいて会員職に就くことを是とするのか。問われているのは、知識人としての倫理と矜持(きょうじ)である。
ぜひ全文ご一読を。
ちなみに、冒頭のラジオ番組では、四国のお遍路の歴史にも触れていた。この習慣は単に宗教的な意味だけではなく、ハンセン病患者など社会や地域からはじき出された人々の行き場でもあったこと、地域の人はこれを暖かく迎え入れる風習があったこと、ところが、明治期のコレラなどの感染症を機に、お遍路がこれを運ぶ者と決めつけられ排除されたこと、それで最後の行き場まで失った人は、行き倒れや自殺に追い込まれたことをも明らかにしていた。これもまた、今のコロナパンデミックの中で、形を変えて繰り返されているのではないか。番組製作者はそれも問うていたのだろう。
shirais.jpg
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