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アンジーの本の紹介記事を共産党後援会の機関紙に掲載 [メディア・出版・アート]

「福岡県大学・研究者後援会ニュース」という部内紙があります。その最新の4月10日付けの号に、アンジーの本の紹介記事を書きました。編集部の許可を得て転載します。(PDFはこちら
なお、過去記事はこちらにあります。
http://daigakukoen.org/kouen/update.html#news

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会員の出版物の紹介 アンジー・ゼルター著・豊島耕一他訳

『非暴力直接行動が世界を変える』

 南方新社/2024年2月出版 B6版324ページ 定価(本体 2,300円+税)

著者アンジーと本の概要
cover-v2.jpeg英国の平和運動家アンジー・ゼルターが2021年に出版した“Activism for Life”を、友人2人と翻訳、この2月に南方新社から出版しました。邦題は「非暴力直接行動が世界を変える」。日本の市民運動に大きな刺激を与える一冊です。

著者のアンジーは、1996年にはインドネシアに輸出される戦闘機を破壊して無罪に、1999年には核ミサイル原子力潜水艦の実験施設を破壊、これまた無罪判決を勝ち取るという、驚くべき事件の中心人物です。前者は日本では全く報道されませんでしたが、99年の事件では、その直後から私たちが「支援する会」を作って裁判のネット速報を流したことも影響したのか、新聞でも報道されました。

アンジーは1972年に大学を卒業後、夫と共にカメルーンに移住します。そこで地域の支援活動を志しますが、逆に現地の友人に、貧しい国を本当に助けたいならば、むしろ、低開発国の資源搾取などで貧困の原因を作っている祖国イギリスに帰って、そこを何とかしろと言われます。これで「先進国」の問題に気づかされたのが彼女の活動の原点です。

母国に帰ったアンジーは、女性たちだけで米軍基地への侵入を繰り返し、ついには閉鎖に追い込んだ「グリーナムコモン」(基地の地名)運動に参加、次いで独自に、軍事基地のフェンスを切るなどの「スノーボール運動」(雪だるま式に広がる、の意)を開始します。

これはソ連に対抗してアメリカがヨーロッパに中距離核(INF)を配備しようとしたことに対する抗議で、全ヨーロッパで同様の運動が盛り上がり、ついにこれを全廃する条約が米ソの間で締結されました。平和運動の成功例と言っていいでしょう。

彼女の活動分野は核廃絶から気候危機まで、また地理的にもマレーシア、イスラエル/パレスチナ、韓国・チェジュ島と広範囲です。

佐賀のオスプレイ反対運動でさっそく「応用」
このような行動も日本で応用できなければ、単に「すごい」で終わってしまいます。しかしその手法、組織論、正当性の根拠づけなど、独創性抜群でありながら、そのほとんどは普遍的なものです。実際、佐賀のオスプレイ導入をめぐっての空港軍事基地化=自衛隊駐屯地建設が進められていますが、そこでさっそく「応用」しています。

私たちを含め多数が参加しているのは裁判ですが、小規模とは言え、建設工事のゲートを非暴力的に封鎖する行動を今年に入って3回試みています。事前に佐賀県公安委員会に「苦情申し出」をしたり、県警本部長に手紙を送ったりという「対話」はまさに彼女から学んだ手法です。この効果かどうか定かではありませんが、最初の2回は、私たちがゲートを占拠すると工事業者はその時間帯、ダンプの運行をやめてしまいました。次回は4月13日です。果たして「仏の顔も三度まで」となるのかどうか、参加者の多寡や世論の趨勢にかかっているでしょう。

岸田内閣が進める日本の軍事化は規模も速度も尋常ではありません。対抗すべき市民運動の側もこれまでのやり方で止められると考えるのは甘く、いわば「モード転換」が必要ではないでしょうか。故・斎藤文男・九大名誉教授が言われたように 、「9条」が六法全書の中の「インクの染み」(注1)として残るだけにしないために、本書は大いに役立つと思います。(文・豊島耕一)
12bF365AcademicsBlockade2007.jpg【写真説明】 
アンジーが提唱した、スコットランドの核兵器基地を1年間を通じて封鎖するプロジェクト「ファスレーン365」での、大学教員による封鎖。2007年1月。筆者も参加。(本書96ページ)

(注1) 2010年の憲法記念日の久留米市での講演。https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2024-02-12
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