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今回任命された人は辞令を返上すべきであるー学術会議への人事介入問題 [仕事とその周辺]

#日本学術会議への人事介入に抗議する
1401577.gif4日深夜追記 NEWS23での堤氏のコメント(末尾)
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日本学術会議が政府に提出した名簿のうち、特定の6名について政府は任命を拒否するという事態が起きた。新会長である梶田隆章氏は、政府に説明を求め、また全員の任命を求めるとしている。当然であるが、問題は今回任命された人たちの取るべき態度である。

このような今回初めての政府の選択権発動という事態によって、「任命」の意味が変えられてしまった。つまり、これらの人たちは、会の推薦に「基づいて」内閣総理大臣が任命するという日本学術会議法七条の2が無視され、内閣の意思によって選ばれたということになったからだ。言ってみれば、6人とは違って「政府にとって困らないだろう人たち」として認証された、という意味が付け加えられたのである。

もし政府が態度を改めて全員を任命しない限り、この辞令を受け取ることはこのような「再定義」を受け入れたことになる。つまり、自分も政府の違法行為に加担することになるのだ。(6日追記:思想選別の疑いに加えて、6名は全員文系のようだから、分野別構成にも偏りが生じたはずで実務的にも問題がある。)
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(画像は2日夜の「NEWS23」から)

学術会議に要請しましょう。電話とファックスはこちらネットではこちら。(ただし内閣府になってしまいますが)
1401577.gif(私の2回目、10月8日の送信文)
貴会は首相に任命の要請はしたものの、国民向けの発信がありません。もっぱら政府や第三者の発言ばかりが目立ちます。これでは声の大きいものに世論は引きずられます。私のブログに書きましたように、「6人を認めなければ99人の辞令も拒否する」ぐらいの覚悟を見せないと、世論に訴える力はないと思います。ご検討ください。
闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう(中島みゆき『ファイト!』より)

関連ブログ記事:「起立」する人の責任
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朝刊を開いてびっくり。安倍政権も同じことをやっていたとは。毎日のスクープ。
「官邸、安倍政権時の16年にも学術会議人事介入 差し替え求め、事実上拒否」
https://mainichi.jp/articles/20201002/k00/00m/010/335000c
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この時は、候補者を差し替えの要求を学術会議側は拒否、一部を欠員のままにしたとのこと。この対応は立派で、上に書いたことの趣旨にも一部通じますが、学術会議がこの事件を非公表にしたのは大問題です。

NEWS23、4日の放送での堤伸輔氏のコメント(国際情報誌「フォーサイト」元編集長)
N:ナレーション、C:キャスター、T:堤氏

N 与党内からも、丁寧な説明を求める声が上がっています。

C 今回菅総理は任命を見送ったわけですけれども、これは一体どういう意味があるんでしょうか。

T 学術会議というのはですね、行政機関なんですけれども、政府からは独立性を保って、国民の役に立つ、例えば災害時の対応ですとか、そういうテーマについて提言をするための組織なんですよね。そのためには、ここに参加する学者の方々が自由な議論ができなければいけない。で、その前提には個々の学者が自由な研究を普段からしていることが必要なわけですけれども、こういう形で6人の任名が拒否されることになるとですね、今のVTRにあったように、自分達の普段からの研究や発言が何か問題があるのではないか、それによっても実際に不利益を被るかもしれない。あるいは今の政権から自分達は目をつけられるのかもしれない。そういう萎縮効果を、今回の方々だけではなくて広く学界全体に、実は及ぼしてしまうかもしれない。そういう意味合いがあると思います。

C 今回、学術会議は105人の候補者を推薦したわけですが、菅総理は、そのうちこちらの6人の方が任命を見送るという形になりました。いずれも過去に安保関連法であったり、共謀罪など、こういったところに批判的な提言や、反対の立場を取られた方々なんですね。ただ、これまで学術会議が推薦した方の任命が見送られたことというのはなかったわけです。この件どう見てますか?

T そうですね、これ、菅総理がですね、どの程度、今回の、任命しなかったということですね、重大なことと認識していたのか。安倍政権の時から、この学術会議の任命について、いろんなことを政府は調べていたようですけれども、過去の経緯からするとですね、任命するという形式的なことは総理の所轄なんですけれども、拒否する権利は法律的にない訳ですよね。そこを十分認識していれば、仮に今回こういう案が下から上がって行ったとしてもですね、普通だったら、いや、これは学問の自由に抵触する、場合によっては憲法に違反するかもしれない。だからできないというのが総理の役割だと思いますけれども、総理自身がそのことをどの程度認識していたのか。むしろ菅さん自身がですね、官房長官時代に官僚の人事についてですね、非常に強いグリップを持って、主体的に人事をしていたという風に言われてるわけですけども、そういう、いわば普通の国家公務員の人事とですね、同じように総理の権限で任命、或いは任命しないということを決められると思っていたとしたらですね、それはかなり重大な勘違いをしたんだと思いますね。

C そして10月からこの日本学術会議の新たな会長になりました梶田さんはですね、学問の自由、学術会議の中立性に関わることだというふうにおっしゃっていて、非常に危機感が滲み出てると思うんですが。まぁこういった判断、どんな影響が、どんな懸念があると思われますか。

T そうですね、重要な議論や重要な研究ができにくくなるわけですけれども、これは学問の世界だけではなくて、例えばですけども、民間企業でも政府の方針に沿わなければですね、ひょっとして不利益を被ることがあるかもしれない、そういう、いわば萎縮感をですね、世の中に広げてしまう。つまり、たとえば民間企業や個人と政府の意見が違った場合に、どちらが正しいかを判断するのは法律なわけですね、で、今回どう考えても、立法時の、或いはその後の改正を見てもですね、日本学術会議法というのが総理の拒否を認めていない。にも関わらず政権がそういう風な解釈をしたということで、法律が実質的に反故にされてしまうとですね、世の中全体の事も法律に則って判断されないのではないか。で、それにもしさらに楯突こうとすると、政権から目をつけられてしまうのではないか、そういうことを植えつけてしまう。

で、菅さんのですね、ブレーンだとされる竹中平蔵さんという方がおられますけども、食事をした時にですね、こういうアドバイスをしたそうです。早いうちに成功を、小さな成功でいいからやってそれを積み重ねてくださいと。アーリー・スモール・サクセスということだったんですけども。これはですね、菅政権にとっては、早々と大きな失敗をしてしまうことになりかねない。

C アーリー・ビッグ・フェイリャーですね。

T 要するに、菅さんの本質がどういうものなのか。今、いろんな、携帯電話の値下げとか、いろんな国民の人気を招くような政策を次々と出してきてるわけですけども、それが菅さんの本質なのか、それともこういう、ある意味強権的な、学問の自由にも踏み込むような、踏み込み過ぎた人事権を揮うような人なのかというところですね、早めに国民に見せてしまって、これ、政権にとって決して得策ではないと思うんですけれども。今のところこれを撤回しないということなので、ひょっとしてこれが大きな失敗につながる第一歩かもしれないなと思いますね。

C ここまで堤さんにお話を伺いました。ありがとうございました。
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主な後続記事です。
10/12 学術会議任命拒否問題,ぜひTBS報道特集のネット視聴を--17日まで
10/14 日本学術会議の会員任命拒否問題,関連事項などメモ
10/16 学術会議・梶田会長、総理に「強く抗議する姿勢は示さなかった」
11/1 「問われているのは知識人としての倫理と矜持」-- 学術会議任命拒否
11/25 学術会議会員の任命拒否に抗議する集会が福岡で開かれました
12/10 「日本学術会議の会員任命拒否事件について」 -- Pネット冊子掲載予定の文章
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JUNSKY

澤柳事件の時は京大教授が全員辞任したとか。
滝川事件の際は、政府も上の事件から学習し
東京大学が傍観姿勢となり切り崩しに成功した
ようですね。
   *******

10月6日 【学問の自由とは何か?】
#日本学術会議への人事介入に抗議する Vol.2
https://youtu.be/hTkB13gI9vM
ゲスト
石川健治 (東京大学教授・憲法学)
望月衣塑子(東京新聞記者)
MC
永井玲衣 (司会・哲学研究者)
@YouTubeより
by JUNSKY (2020-10-07 09:49) 

JUNSKY

この『NEWS23』の中で、最後の方の
【早いうちに成功を、小さな成功でいいからやってそれを積み重ねてくださいと。アーリー・スモール・サクセスということだったんですけども。これはですね、菅政権にとっては、早々と大きな失敗をしてしまうことになりかねない。

C アーリー・ビッグ・フェイリャーですね。】
と言う処が印象に残りました!

立憲主義に立つ市民と野党は、この
『アーリー・ビッグ・フェイリャー』
を反転攻勢に活用すべきですね!
by JUNSKY (2020-10-07 09:58) 

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