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ゴーン氏のベイルートでの記者会見 [社会]

追記あり)
abemaTVがゴーン氏のベイルートでの記者会見を、完全ノーカットで中継していたので、2時間半、途中風呂にまでスピーカーを持ち込んで全部聞いた。訴追内容については私自身は判断する材料を持っていない。また、日産で彼がやったことの功罪について批評するものでもない。しかし、日本の司法システムに対する根本的な批判には、大いに注目するべきものがあると思った。

「人質司法」と呼ばれる、長期の拘留、自白偏重(強要)などが最たるものだが、他に「推定無罪の原則」(presumption of innocence)の無視、というより、むしろ「推定有罪」がまかり通っていること、被告は全く情報発信できない中での検察の意図的なリークによる情報操作についても告発していた。これは守秘義務違反という違法行為であると[注]。

超有名人による、しかも自らの実体験による告発であるので、影響力は巨大だろう。日本の「システム」は、この発言をなんとか無効化しようと必死になるだろう。

地上波でもテレビ東京が長い時間を使って中継を含めて報道していたが、コメンテータの山川龍雄氏の「逃亡者が何を言うか」的な物言いが残念。(ネットとの「同時視聴」なので「感じ」でしかないが。)

テレ東はWBSでも引き続いでこの会見を報道していた。番組でキャスターが「会見場に唯一入れた日本のメディアがテレ東」と言っていたが、ゴーン氏が「日本のメディア」として指したのはテレ東だけでなく”Shogakukan”とも言って指していたので、唯一ではないのではないか。

「逃亡」という罪を犯したのだから聞くべきものはない、という態度ではなく、彼の告発には、特に法曹関係者は真摯に向き合う必要があると思う。日本の司法システムをまともなものに変えていく大きなきっかけになりうる。
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関連記事(新しい順):
カルロス・ゴーン氏逃亡(亡命?)
カルロス・ゴーン氏保釈決定のブルームバーグ報道
ゴーン氏の長期勾留は日本の「人質司法」を壊す大きなチャンスなのに
[注]松野信夫氏(民主党の元国会議員)の「捜査情報の漏洩に関する質問主意書」
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(追記)
ゴーン氏が言う、自分の無実を証明する見込みはほとんどないと判断した日本の司法の酷さは、原発裁判もそうだが、私自身の裁判(退職金裁判)でも身を以て経験している。私の場合はそれ以上の被害を受ける恐れはなく、いわば「ダメモト」だったが、ゴーン氏の場合はそうではないし、保釈とは言え多くの自由を奪われた状態でもあったので、自己防御の手段として逃亡も当然の選択肢であろうし、権利であるとさえ思う。ゴーン氏の有罪/無罪にかかわらず、日本の司法は国際社会によって「裁かれ」なければならない。

司法に関してゴーン氏は主に検察の問題を挙げたが、裁判所の側の問題としては、裁判官の人事制度が最も重大だろう。異動などの人事権を最高裁事務局が握っていると言う話だ。(これに関する詳細で正確な情報を見つけることが難しい。)これで、権力に都合の悪い判決をする裁判官の左遷も可能だし、逆も、つまり権力迎合の判事を出世させるのも行われているようだ。これでは「司法の独立」など絵に描いた餅だ。

それだけでなく、裁判が長いこともあって、一つの事件で途中で転任のため裁判官が代わることも、むしろ普通だ。(私が経験した原発と退職金の両方でそれが起こった。)
対してドイツでは裁判官のこのような異動(転任)はないようだ。

これこそが日本司法の最大の問題と思うのだが、民主的な法曹関係者もこれを指摘する人をあまり見ないし、変えようとする運動も私は知らない。

(追記2)
今回のゴーン氏の件との関連は薄いが、裁判員制度も大問題だ。一般刑事事件の重罪犯罪だけに限定していて、行政が関係するような問題からは排除されている。いわば苦役だけを押し付けるようなものだ。対して私が知るイギリスやアイルランドの陪審制での裁判では、政府が関係する問題で陪審員が「市民の常識」を発揮して政府や企業の違法行為を断罪、抵抗行動の活動家を無罪にする例が繰り返されている。次の記事と、それからのリンクをご覧いただきたい。
2003年のシャノン空港での戦闘機破壊に無罪
ミサイル配備に反対して座り込んだドイツの判事たち
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宗純

「日本のメディア」としてはテレ東と”Shogakukan”だけだったですが、
ところが欧米リベラルメディアは逆にほぼ全員が参加した今回のベイルートでの記者会見ですが、
これ、去年末の安部お友達記者の強姦もみ消し裁判勝訴での詩織さん記者会見と、一つながり。
未開で野蛮。欧米民主主義と敵対する異質な日本との危険なプロパガンダ。日本人の一人として、これ以上怖い話はない。
by 宗純 (2020-01-09 09:01) 

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