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九条護憲運動の弱点 [憲法・教育基本法]

1401577.gif末尾に追記 あり
参院選の結果を要約すると,(1)自民党の勝利,(2)共産党の躍進,(3)山本太郎当選に見られる若者の政治参加の新しい兆候,という3点になるだろう.
1は予想されたこととは言え,少なくともこれからの3年間は,改憲や日本社会の決定的な右傾化というクリティカルな状況が続く.護憲派・左翼はこれにどう立ち向かうべきか,特に九条問題について私見を述べる.

九条改憲に対する反撃のポイントとしては,例えばイマヌエル・カントの「永遠平和のために」の第三条項*にあるような大局的,原則的な擁護論**がもちろん重要だが,これとともに,最ももてはやされる各論の一つ「それでももし攻められたらどうするのか?」という問いへのダイレクトな回答の用意が極めて重要だ.これについての私の答えは「代替防衛」つまり組織化された非暴力抵抗による国家防衛である.(詳細は次を参照下さい:「憲法九条下での国防」

「外国から攻められた時に備えて武力が必要」という理屈は単純なだけに強力な浸透力を持つ.「外国からの武力侵略など起こり得ない」とか,「そうならないような外交努力が重要だ」というのは,直接の答えではもちろんなく,むしろ問いかけからの「逃げ」である.ここが現在の護憲派の最大の弱点と言える.「代替防衛」の理論を作り上げると共に,この言葉の広範な流布が重要である.「自衛隊」の語と同等の流通を目標とすべきだ.

さらに,「護憲」に加えて,当ブログのスローガンでもある「効憲」,つまり,事実上ほとんど改憲されてしまっている九条を「実施」させる,enforceする行動を強調すべきだ.国際貢献分野でのこの実践としては,非暴力平和隊がある.もちろん自衛隊への規制,基地問題など,国内での「効憲」のウェイトが重視されなければならない.
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尖閣問題にしても,資源問題が絡むとしてもこれで戦争を始めるなどということ,つまりこの小さな島のために日中両国の多くの人々の命をかけるということが,倫理的にはもちろんのこと,深く結びついた日中間の経済を考えれば,金銭的な損得の面でも,ワリに合う話でないことはだれでもすぐ分かる.しかしプロパガンダによってナショナリズムに冒された頭にはそのような常識が通じないのだろう.昨日,NHKの半藤一利・宮崎駿の対談番組で,半藤氏が尖閣問題に触れ「棚上げ論」を支持したが,同じことを鳩山由紀夫氏が中国で述べたとき,これに対する非難や攻撃は右派からだけではなかった.これは相当危険な兆候だと思われる.

軍事衝突がだれの得にもならないというのは不正確で,もちろん軍事産業セクタに取っては利益につながる基本的なイベントである.したがってこの産業セクタや資本家,さらにはおそらくその背後にある金融資本は,その「マーケティング活動」として,改憲や他国の軍事的脅威を煽るキャンペーンに手を染めないはずはないだろう.アイゼンハワーの有名な「軍産複合体演説」(→全文日本語訳)の普及も重要だ.

追記(8月11日)
(コメントに触発されて,その欄と同じ内容を追記します.)
もともと日本がまいた種とはいいながら,沖縄県は(程度の差はあれ日本の他の地域も)アメリカに「攻められてしまった」状態にあります.これに対する「国防」の手段としても「代替防衛」が有効だと思われます.いや,それしか方法はないでしょう.

自衛隊に米軍追い出しの戦争を期待するのはファンタジーの世界ですし,かと言って民兵組織を作って米軍と渡り合えるわけもない.また,選挙や署名,集会・デモだけでは,いっこうに埒があかない.それもそのはず,日本は事実上アメリカの支配下にある,半ば占領された状態にあるからです.これで穏便な,行儀のよい手法で「国防」は達成できません.つまり,昨年の普天間基地ゲート全面封鎖のような非暴力直接行動こそがカギなのです.そしてそれはまさに明日(8月11日現在)再び始まろうとしているのです.

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* カント「永遠平和のために」の第三条項「常備軍は時とともに全廃されなければならない.」
この本と,その中のきわめて現実的な提案が公にされてすでに200年という十分すぎる長い時間が経っている.
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2007-05-05

** 大局論,原則論に役立つ数学的考察:「攻められる」ことと「攻める」こととの等確率性

「九条の会」は国政選挙を無視するのか? [憲法・教育基本法]

「九条の会」に次のようなメールを送りました.これから,番号やアドレスが分かるかぎり,同会の呼びかけ人,事務局などにファクス,メールを送るつもりです.応援のクリック歓迎
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「九条の会」は参院選に関わって下さい

九条の会のサイトを見て目を疑いました.目前の参議院選挙のことが全く掲載されていません.「更新履歴」のページにある「『九条の会』ニュース」の最新の2号(172,173号)でも全く触れていません.これは一体どういうことでしょうか? 候補者推薦というような直接的な関わりだけでなく,今回の選挙での各党の公約・政策の評価・分析さえもないのです.

九条改憲がかつてなく大きな争点になり,改憲派が多数を占める恐れが大きいこの選挙以上に,九条護憲運動にとっての正念場はありません.にもかかわらず貴会のこのような姿勢は全く不可解としか言いようがありません.このような危機感をお持ちではないのか,それとも,選挙には関わらないというようなルールでも作っておられるのでしょうか?

護憲の多数の世論を議席に反映出来ない原因は,少数党に不利な選挙制度とともに,あるいはそれと相俟って,護憲の選挙共闘が存在しないということにあります.著名な知識人を擁しておられる貴会こそは,このような共闘を呼びかけ,媒介するのに最もふさわしい団体であったはずです.決して今からでも遅くはありません.投票日前日のぎりぎりまで,そのような努力を試みて頂きたく存じます.(次善の,あるいは最後の策としては,「緑茶会」がやっているような,護憲派が競合する選挙区で単一の推薦候補を示すことです.)

NHK衛星放送の「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」での一つのシーンが印象的でした.ゴルバチョフとレーガンのレイキャビクでの会談でのことです.ゴルバチョフは核全廃を提案するがまとまりません.会談が終わってレーガンが車に乗り込もうとするのを呼び止めて,「今からでも会議場に戻ってやり直さないか?」と語りかけたエピソードが紹介されます.レーガンは断ります.

失敗したとは言え,ゴルバチョフのこのような対話への粘り強さは大いに学ぶべきでしょう.核ミサイルの存廃と同様,今回の選挙結果のもたらす影響はあまりにも大きいからです.護憲勢力の中の対話をぎりぎりまで追求すべきです.レーガンとゴルバチョフの対話よりも困難,などということがあるでしょうか? 貴会はこのような対話の仲介の役割を果たすべきです.しかも水面下だけでなく,公開のアジェンダとすべきです.

これまでの貴会の素晴らしい実績が,最大の正念場で取り返しのつかない禍根を残すことがないよう,切に願っております.

死票?自共対決? [憲法・教育基本法]

村野瀬玲奈のブログ(6/13)が,現体制の与党(系)に投票することこそが「死票」だと言っている.志村建世のブログもこれに賛意を示している.なるほどと思う.死票どころか,多くの人々の生活を苦境に追い込み,さらには九条改憲で戦争の危機を高めるとなると,「殺傷票」と言うべきかも知れない.応援のクリック歓迎

「少数党への投票=死票」論については,当ブログも古い記事の「少数政党を支持するということ」の項目でこれを批判している.

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朝日への投書「護憲勢力は新・政党連合で臨め」を転載 [憲法・教育基本法]

5月10日の記事「共産党執行部は敗走を『転進』と呼んだ旧軍部に似る」への8番目のコメント(2013-05-11 21:08)で紹介した,朝日の投書文ですが,投稿された方と朝日新聞の了解が取れましたので,転載します.紙面の日付は2013年4月22日です.応援のクリック歓迎
朝日新聞投書130422.gif
なお,この文章は朝日のサイトで読めます.ただし登録(無料)が必要.
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201304210361.html
なお,そのコメント欄は長くなりすぎたため,次の次の記事「市民は各党・各議員に護憲の誓約とそのための政党間共闘とを求めよう」のコメント欄に「続き」をお願いしています.

市民は各党・各議員に護憲の誓約とそのための政党間共闘とを求めよう [憲法・教育基本法]

選挙における統一戦線問題で共産党の志位報告を2つ前のエントリーで批判しましたが,コメント欄で他の党も問題だとの当然のご指摘がありました.当ブログは繰り返し共産党支持であると党派性を明確に,旗幟鮮明にしていますので,そのため特に志位報告を取り上げたということです.

党派性とは別に,もっと一般化した提案をしたいと思います.6月16日に福岡市で開かれる「6・16労働者・学生・市民連帯集会」*へのメッセージとして送ったものとほぼ同じです.応援のクリック歓迎
選挙の結果は今後の政治の展開に,特に改憲発議の可能性に決定的に影響します.現在のように護憲勢力がバラバラな状況は,各党(幹部)に市民の圧力を加えることで是正しなければなりません.可能性のある党派,議員個人に護憲の誓約を迫り,その上で同時に選挙共闘を迫る必要があります.選挙共闘や統一戦線の「可能性があるかどうか」を,政党幹部だけの判断に任せてはいけません.市民が必要性を判断し,各政党に「強制」するのです.

また,「九十六条改憲」は囮(red herring)かも知れません.これを引っ込めて油断させ,一気に九条改憲へ,という恐れがあります.
* ネット上に情報がないというのは全く困ったものです.

「オリバー・ストーンとマイケル・ムーアで1万人の護憲集会を打つ」という提案 [憲法・教育基本法]

すでにFBでもツイッターでも「リツイート」したのですが,この提案はブログでも繰り返したいと思います.有名左派ブログ「世に倦む日日」の提案です.
http://critic5.exblog.jp/20414240/

映画監督オリバー・ストーンの名前が出たのは,連休にNHK-BSで連続放映された「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」という素晴らしい番組をもちろん念頭に置いてのことです.

もちろん「アメリカ一辺倒」ではいけないので,坂本龍一,吉永小百合など「国産」もリクルートしなければなりません.とにかくそのような,メディアが取り上げざるを得ないような,あるいはネット上で強力な浸透力のあるような仕掛けが必要です.

「世に倦む日日」の記事で名指しされた「九条の会」事務局長の小森さんに,さっそくファクスしました.応援のクリック歓迎

なお,上記ブログでも「96条改憲阻止」をメインに出していますが,安倍内閣が96条問題を前面に出したのは,ひょっとすると囮作戦かも知れない,red herringかも知れないという気がします.

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共産党執行部は敗走を「転進」と呼んだ旧軍部に似る [憲法・教育基本法]

1401577.gif私が知る野党党首ツイッターです.
志位和夫ツイッター https://twitter.com/shiikazuo
福島みずほツイッター https://twitter.com/mizuhofukushima
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昨日の共産党中央委員会総会の志位報告(→ウェブ版)をネット視聴し,短いコメントをフェイスブックに書き込みましたが,すこしまとまった文章にしたいと思います.表題はどぎついと思われるかも知れませんが,切羽詰まった筆者の憂慮を表現するにはこれしかありません.

原発即時ゼロやTPP阻止,アベノミクス*批判など,志位報告が述べた政策の基本にはもちろん賛同し評価します.しかし改憲阻止の戦略・戦術については全く賛同できません.国政選挙のレベルでは,以下に述べるようにこれは無策に等しいからです.全会一致で承認されてしまったのですが,どうしてそうなのか,出席者のただの一人にも疑問は生じなかったのでしょうか?

選挙闘争に関してもっぱら前面に押し出されて強調されるのは比例区の5議席確保であって,政党間の共闘,協力については,沖縄県を除けば全国的には「条件存在せず」のひとことで片付けられてしまっています.統一戦線の対象に関しては,志位報告が文字化された赤旗の紙面やウェブの見出しでは「無党派と日本共産党との共同――日本を変える新しい統一戦線をつくりあげよう」**とあり,他党は眼中にないという姿勢です.しかも近接した見出しには「いま日本に政党と呼べる政党は一つしか存在しない」(引用符付き)とあるのですから,もう決定的です.「存在しない」ものとの共闘はあり得ませんから.

しかし,はたして共産党の「5議席確保」だけで十分に改憲阻止の可能性をつかめるのでしょうか.そんなことはあり得ないし,もし志位氏がそう信じているとしたら,全く現実感覚を失くしていると言わざるをえないでしょう.本当に真剣に改憲阻止を考えるなら,政党間の共闘を考えなければならないはずです.たとえば社民党について言えば,憲法九条擁護の点はもとより,TPPでも原発でもほぼ政策は一致していると思われますが,なぜ共闘,協力の「条件がない」のか,あるいはその条件を作ろうとする努力にも値しないのか,説明も議論も全くありません.

憲法問題が重要争点の一つとなる選挙であり,しかもその改悪の危険性が決定的な程のレベルにあることから,憲法と並んで戦後民主主義の重要な財産であった教育基本法(以下教基法と略)改悪の事例に学ぶことは重要です.この改悪は「郵政選挙」で大勝利した小泉自民党の内閣(第3次小泉内閣)によって国会に提出され,それを引き継いだ第1次安倍内閣のもとで2006年12月に成立してしまいました.共産党はこれを阻止するべく闘いました.その闘い方についてはさておくとして,ここで問題にしたいのはその「総括」です.

成立直後の,年が明けて2007年1月の中央委員会総会(3中総)報告では,敗因分析(総括)もなくいきなり「たたかいは,これからが大切になります」で始まり,改悪教基法の「具体化の一つひとつが,競争主義,序列主義の教育の矛盾を深刻にし,破たんせざるをえないでしょう」と続きます.さらに,「全党の確信にすることが大切」なこととして,「国民が発揮したエネルギーの大きさ」,「日本共産党の果たした役割」の二点を挙げ,どちらにもポジティブな評価を与えています.まるで闘いに勝利したかのような言葉ばかりが続くのです.この貴重な財産を失った,少なくとも重篤に変質させられたという敗北の悔しささえも読み取れません.

この志位報告発表の直後の当ブログ記事で,このような総括とも呼べない総括について,敗北を「『転進』と粉飾しているように見えてしまう.九条が改悪された後も,やはりこのような『前向きの』総括をするのだろうか?」と書きました.今回の志位報告でその悪い予感は一層強まります.「元気のよい」「明るい」言葉で埋め尽くし,現実を直視せずに自らを欺いて破滅の道に突き進んだ旧軍部と重なって見えてしまうのです.

去る4月29日に久留米市で共産党の市田書記局長の講演がありました.この町で二番目に大きなホール(約1,200名収容)がほぼ満杯になり,成功裏に終わったと言うべきですが,政党間の共闘問題では上記の志位報告と全く同じでした.直接の質疑応答もあるかも知れないとわずかに期待し,その機会にはたとえどのように「空気」に逆らおうともこの問題を正面から提起しようと思いましたが,やはり講演だけで終わってしまいました.質問用紙が配られていたので,それに書いて提出したところ,市田氏本人から2日後の消印で葉書が届きました.国会内外の共闘は重視し尽力するが,選挙共闘は「憲法だけでなく,安保,原発,TPP,消費税など,国政の基本問題での一致と共闘の意思がないと,野合になってしまいます」と書かれていました.そして7中総で詳しく解明します,と結ばれていました.「解明」より「提案」を,と言いたいところですが,しかし志位報告では,上記のように,なぜ共闘できないかの「解明」もなかったということです.

共産党は,数は少ないものの政策面で野党として不可欠の位置にあり,その役割と責任は重大です.したがって党員や支持者でなくても,この党の動向には関心をもってしかるべきだと思いますし,注文を付けることが大事だと思います.知識人の役割も強調したいと思います.九条が重大な危機に瀕している今こそ,効果的な,核心を突いた,「役に立つ」発言をする責任があると思います.「九条の会」の知識人は,選挙の問題,政党間共闘の問題に踏み込んで発言すべきです.これまで「九条の会」は選挙にはノータッチという姿勢だったようですが,それではダメです.もちろんどれかの党派に肩入れするというのではなく,共闘を強く呼びかけるべきだということです.政党間共闘なしには改憲阻止の可能性は非常に小さくなると思います.

「国政の基本問題での一致」の条件を満たす党派の勢力は,現時点では数では少ないかも知れません.しかし共闘は「希望」という力を,そしてそれによる非線形効果を生み出すのです.「1+1は3にも5にもなる」という言葉で表現されるそれです.急いでこの「希望」に火をつけなければなりません.
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* 正しくは“アベコベノミクス”
** アンダーラインは引用者
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付録です.教基法改悪問題の時の当ブログ記事をいくつかリストします.

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伊藤真講演会で「代替防衛」が議論に—久留米大学で [憲法・教育基本法]

(2024年5月追記:後継記事「2010年の伊藤真講演、今こそ注目を」)
今日の沖縄県知事選は残念な結果だったが,平良夏芽さんのツイートのように,気持ちを切り替えて・・・
http://twitter.com/#!/natsumetaira/status/8872772939808768
仲井真の当確がでた。 気持ちを切り替えて、仲井真の県外を実現しよう どのみち、日米両政府と闘わなければならないのだから、あまり違いはない! ただ、とめるだけ\(^o^)/
itoatkurume.jpg今日(28日),伊藤真講演会が久留米大学で開かれた.主催は「ちっご九条の会」.2時間超の早口の熱弁だった.通常テンポだと3時間は超えただろう.早口でも滑舌が良く聞き取りやすい.質疑応答の大半は意外にも「代替防衛」に集中した.講演の中で「攻められたらどうするか」への答えとしての「非暴力抵抗」という考えを紹介したのがきっかけだ.

質疑応答でのこの展開は,軍事力,つまり自衛隊に代わる国防を主張する九条原理主義者の私にはとても満足だった.彼は“AD"(alternative defence)の言葉も使ったので,この問題をだいぶ深く考えておられると見た.

講演の中で,この「非暴力抵抗」による国防に触れた部分の録音.

もちろん,伊藤氏が展開している「一人一票運動」についても,冒頭で力を込めて紹介された.写真は,キャンペーンのTシャツを着て講演する伊藤真氏.図柄の動物は「豹」で,一票の「票」にかけたダジャレとのこと.
伊藤氏のツイッター http://twitter.com/#!/ito__makoto

「代替防衛」についての当ブログ記事も参照願いたい.
「憲法九条下での国防」
1401577.gifさらに関連記事:「攻められる」ことと「攻める」こととの等確率性
1401577.gif2024/5/8 追記:録音部分の文字起こしです。
よくね、9条の、いろいろお話をして、こんなの、攻められたらどうするんだ、中国、北朝鮮も含めてね、[不明]とかも含めてね、攻められたらどうするんだという、軍隊持たないで攻められたらどうするんだという、そういう反論っていうか批判というか、多分皆さんもね、いろんなことされてて、攻められたらどうすんだよなんてことが一番、多分よく聞く反応というか批判じゃないかなと思うんですね。そのときの答え方として、いや攻められることなんかないんだよ。今の中国・北朝鮮が攻めてくるわけないじゃないかというような、ああいう小競り合いなんかじゃなくて、本格的に攻めてくることなんかありえない。むしろ軍事力を持つことが脅威になっちゃって、口実を作ることになるから、だから駄目だ。

私よく今そういう言い方もしますよ。でも攻められたらどうする、そのとき怖いからやっぱり軍隊ぐらい持ってないといけないよね、という問いかけに対して、いや攻められるのがないから心配いらないというのは答えになってないですよね。逃げてますよね。論点すり替えじゃないですか。攻められたらどうするに対して攻められることはないから心配いらない。いやそれでも攻められたときどうする、心配なのという問いかけに答えなくちゃいけないと。それを答えずに、いや攻められることはないからというのは、やっぱりそれは相手は納得しないですよね。自分もごまかしてますよね。

やはり本当にミサイルを撃ち込まれたときにどうするっていうことを自分で覚悟を決めとかないであったりとか、いかないんだろうと思うんですねいろんな対応の仕方、軍隊持たないんだからね。民間で武装蜂起するとかね。ゲリラ戦みたいなもんだとかパルチザンみたいなね、そういうものから始まっていろいろあるわけじゃないですか。私は非暴力抵抗、非暴力の抵抗運動というものがいろいろあるだろう。その非暴力抵抗運動の歴史をもっと勉強し、そしてその方法を考え、みんなで準備をし、ということを本気でやっておかないと、単に9条があります、戦争しません、軍隊持ちませんと言うだけでは、いざというときにどうするという答えになってないし、それではやはりこの9条を大切にしようという運動としては半分だろうと思いますね。(一人拍手あり)その非暴力抵抗運動なり、(ありがとうございます)なんなり、どうするんだ、覚悟を決めながら、やっぱりそこをきちっとやっぱりもっと勉強するまたもっといろいろ議論するということが必要かなというふうには思います。
(RIMOで書き起こし)
5/10追記:Q&Aも「代替防衛」に集中しました。その部分もまもなく書き起こす予定。(録音全体の公開許可を伊藤氏に要請中です。)

条文改憲の動きの狙いは「目くらまし」か? --久留米市での憲法集会 [憲法・教育基本法]

(2024年2月追記:後継記事「9条護憲派への、過去からの叱責」)で講演の一部を書き起こしています。)
久留米の憲法集会に参加した.メインの講演は元九大教授の斎藤文男氏.福岡のローカルテレビFBSの「めんたいワイド」で長年コメンテーターを務めていたので,広く知られた地元の有名人だ.専門は憲法.

sany338-808.jpg講演は,私にとって非常にinformative,つまり情報に富み,聴き応えのあるものだった.聴衆の多くにとってもそうだったと思う.「民主党政権で憲法改正はどうなる?」と題して,憲法九条を中心に据えて,その「改正」の4つのカテゴリーについて論じた.つまり,(1)条文改憲,つまり九条の条文そのものを変える,(2)解釈改憲,(3)立法改憲,(4)外交改憲,の4つである.

1と2は説明不要だが,3と4は聞き慣れない言葉だ.3は要するに憲法を無視した法律を作って,実質改憲してしまうこと,4は外国との「共同声明」などで,違憲の約束をしてしまうことだ.つまり特に新しい概念ではないが,このようにきちんと名前がつくと,その問題点がはっきりと「可視化」される.やはり言葉が重要だ.

斎藤氏は,護憲勢力は1の条文改憲にばかり目を奪われて,他の3つの「手口」によって実質改憲されている事態から,そして今後もそれが進められるだろうという危険の重大性から,視線が逸れていると批判した.

牛と闘牛士のたとえでこれを説明した.つまり,「九条改憲するぞ」というのは闘牛士がヒラヒラさせる赤い布であって,布に向かって突進し隠された剣に気付かない愚かな牛は,いずれその剣で頸椎をやられるというのだ(もうすでにかなりやられている).

これは,護憲勢力の状況を,あえて言えば間抜けさを,するどく言い当てた喩えではないかと思う.ちょっと我田引水になるが,われわれPネットなど「ミサイル防衛」と呼ばれる新たな軍拡を危惧するグループは,PAC3配備がまさに憲法九条の問題だととらえてこれに対抗した.しかし今日の護憲勢力のメインストリームとされる全国各地の「九条の会」が,あるいはその系列の人々の多数が,この問題で動いたという話しを聞かない.

日米関係については,アーミテージ・リポートや,2007年のナイ・アーミテージ・リポートの核心を,非常に分かりやすい言葉で説明した.また,いわゆる「集団的自衛権」「兄弟仁義の助っ人戦争」と言い換えた斎藤氏の言語力には敬服した.さすが,長年テレビメディアで錬磨された人ならでは,と思う.

ただ,斎藤氏が「条文改憲」の動きについて,これを「ありえない」と断言し,100%闘牛士の赤い布に過ぎないと決めつけたたのは問題だ.根拠の一つに世論調査の数字を挙げたが,これはメディアの作戦次第ではどうにでも動くだろう.北朝鮮がまたミサイルを数発撃つだけでもいいかも知れない.変わるときは変わるし,しかも恐るべきスピードで変わるのだ.

後半は「誰でもアピール」と称して,フロアから一人5分で多くの人が発言した.実は私は事前に「根回し」されていたので,準備したメモにしたがって,PAC3配備反対運動について話しをした.斎藤氏の批判にぴったり応える内容になっていたので,ちょっと満足.録音を計測すると,20秒オーバーで,まずまず時間も守ったことになる.

斎藤氏の講演は座席で録音したので,ここに置きます.多分主催者はやらないだろうから,もったいないので・・・.(1401577.gif2024/2/11 再度アップロードしました。)
http://ad9.org/people/AVfile/DM-10159t.m4a
(高圧縮の録音をMP3に伸張したもので,音質は良くありません.そろそろ買い換え時期のよう.)

もったいないと言えば,これだけの有名人だから,宣伝次第ではもっとたくさんの,右から左まで,幅広い人を集められるはずだったと思う(眺めたところ200名弱).新聞折り込みが「赤旗」だけというのではどうしようもない.少なくとも「西日本」などの地方紙には折り込んで欲しかった.そのようなことにこそお金をかけるべきだろう.ネットでの事前宣伝もなかったようだ.ネット検索でこの催しは全く出てこない.

1401577.gif4日追記:読売が報道しています.
憲法記念日県内各地でも集会
また,低気温のエクスタシーが大幅に当ブログ記事を引用してくれています.
「外交改憲」の手法で憲法第9条を形骸化する流れが強まると思う

転載:今回国民審査を受ける9人の最高裁裁判官の横顔 [憲法・教育基本法]

選挙と同時に行われる最高裁判事の国民審査ですが,マスメディアはもちろん,ネット上にも情報が圧倒的に少ないようです.審査対象の判事について,日本民主法律家協会に要領よくまとめた文書がありました.pdfファイルだけなので,テキスト化してみました.

今回国民審査を受ける9人の最高裁裁判官の横顔
【年齢/任命・定年の年月日/出身/主な関与判決 等々】
(次のページにあるpdfファイルをテキスト化)
http://www.jdla.jp/kokuminshinsa/2009shinsa.html
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