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条文改憲の動きの狙いは「目くらまし」か? --久留米市での憲法集会 [憲法・教育基本法]

(2024年2月追記:後継記事「9条護憲派への、過去からの叱責」)で講演の一部を書き起こしています。)
久留米の憲法集会に参加した.メインの講演は元九大教授の斎藤文男氏.福岡のローカルテレビFBSの「めんたいワイド」で長年コメンテーターを務めていたので,広く知られた地元の有名人だ.専門は憲法.

sany338-808.jpg講演は,私にとって非常にinformative,つまり情報に富み,聴き応えのあるものだった.聴衆の多くにとってもそうだったと思う.「民主党政権で憲法改正はどうなる?」と題して,憲法九条を中心に据えて,その「改正」の4つのカテゴリーについて論じた.つまり,(1)条文改憲,つまり九条の条文そのものを変える,(2)解釈改憲,(3)立法改憲,(4)外交改憲,の4つである.

1と2は説明不要だが,3と4は聞き慣れない言葉だ.3は要するに憲法を無視した法律を作って,実質改憲してしまうこと,4は外国との「共同声明」などで,違憲の約束をしてしまうことだ.つまり特に新しい概念ではないが,このようにきちんと名前がつくと,その問題点がはっきりと「可視化」される.やはり言葉が重要だ.

斎藤氏は,護憲勢力は1の条文改憲にばかり目を奪われて,他の3つの「手口」によって実質改憲されている事態から,そして今後もそれが進められるだろうという危険の重大性から,視線が逸れていると批判した.

牛と闘牛士のたとえでこれを説明した.つまり,「九条改憲するぞ」というのは闘牛士がヒラヒラさせる赤い布であって,布に向かって突進し隠された剣に気付かない愚かな牛は,いずれその剣で頸椎をやられるというのだ(もうすでにかなりやられている).

これは,護憲勢力の状況を,あえて言えば間抜けさを,するどく言い当てた喩えではないかと思う.ちょっと我田引水になるが,われわれPネットなど「ミサイル防衛」と呼ばれる新たな軍拡を危惧するグループは,PAC3配備がまさに憲法九条の問題だととらえてこれに対抗した.しかし今日の護憲勢力のメインストリームとされる全国各地の「九条の会」が,あるいはその系列の人々の多数が,この問題で動いたという話しを聞かない.

日米関係については,アーミテージ・リポートや,2007年のナイ・アーミテージ・リポートの核心を,非常に分かりやすい言葉で説明した.また,いわゆる「集団的自衛権」「兄弟仁義の助っ人戦争」と言い換えた斎藤氏の言語力には敬服した.さすが,長年テレビメディアで錬磨された人ならでは,と思う.

ただ,斎藤氏が「条文改憲」の動きについて,これを「ありえない」と断言し,100%闘牛士の赤い布に過ぎないと決めつけたたのは問題だ.根拠の一つに世論調査の数字を挙げたが,これはメディアの作戦次第ではどうにでも動くだろう.北朝鮮がまたミサイルを数発撃つだけでもいいかも知れない.変わるときは変わるし,しかも恐るべきスピードで変わるのだ.

後半は「誰でもアピール」と称して,フロアから一人5分で多くの人が発言した.実は私は事前に「根回し」されていたので,準備したメモにしたがって,PAC3配備反対運動について話しをした.斎藤氏の批判にぴったり応える内容になっていたので,ちょっと満足.録音を計測すると,20秒オーバーで,まずまず時間も守ったことになる.

斎藤氏の講演は座席で録音したので,ここに置きます.多分主催者はやらないだろうから,もったいないので・・・.(1401577.gif2024/2/11 再度アップロードしました。)
http://ad9.org/people/AVfile/DM-10159t.m4a
(高圧縮の録音をMP3に伸張したもので,音質は良くありません.そろそろ買い換え時期のよう.)

もったいないと言えば,これだけの有名人だから,宣伝次第ではもっとたくさんの,右から左まで,幅広い人を集められるはずだったと思う(眺めたところ200名弱).新聞折り込みが「赤旗」だけというのではどうしようもない.少なくとも「西日本」などの地方紙には折り込んで欲しかった.そのようなことにこそお金をかけるべきだろう.ネットでの事前宣伝もなかったようだ.ネット検索でこの催しは全く出てこない.

1401577.gif4日追記:読売が報道しています.
憲法記念日県内各地でも集会
また,低気温のエクスタシーが大幅に当ブログ記事を引用してくれています.
「外交改憲」の手法で憲法第9条を形骸化する流れが強まると思う

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コメント 1

おっはー

いつもトラバありがとうございます。
一般に広く知らせることをしないのは、本当に問題ですね。そういう意見、いろんな立場からどんどん出していかねばなりません。がんばりましょう。
by おっはー (2010-05-04 14:56) 

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