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日本は「吸血鬼経済」に向かうのか?--姜尚中氏の論説に寄せて [社会]

西日本の3月25日に姜尚中氏の #軍事ケインズ主義 に走る日本への警告の文章が掲載されました。
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1192832/
有料記事なのでおおまかに内容を紹介します。
岸田軍拡で「平和国家」の基本政策がなし崩し的に転換されようとしている。大幅増となる防衛費は防衛産業の肥大化につながり、その結果、日本の経済が多大な防衛費あるいは軍事費の投入による景気浮揚のサイクルに組み込まれていくことになりかねない。いわゆる「軍事ケインズ主義」だ。実際、ウクライナ侵攻後のロシアでそれが起こっており、それが「西側」諸国にも浸透しつつあるとみるべきだ。
英伊との共同開発による次期戦闘機の制限付き輸出など、日本の場合もこうした軍事ケインズ主義の潮流に遅れまいとする動きが顕著だ。「失われた30年」をこれ挽回するとすれば、それは世界になじんだ戦後日本の「平和国家」としての貴重な資産を売り飛ばしてしまうこと。今からでも遅くはない。国会の場で本格的な論戦を展開すべきだ。
「軍事ケインズ主義」という言葉が日本の大手マスメディアに登場するのはおそらく初めてではないかと思います。雑誌も含めると、岩波の月刊『世界』2008年4月号に、チャルマーズ・ジョンソンの論文が掲載されています。次で無料公開されています。一読に値すると思います。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200804111727305
英国の地理学者の、ウクライナ戦争についての論説でこの言葉が出てきた際に、22年10月11日のブログでこのジョンソンの論文を取り上げました。(この文は24/4/9修正)
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2022-10-11

ただ、この姜氏の文章では、ロシアのそれ(軍事ケインズ主義)が「西側諸国にも浸透」とありますが、それはむしろ逆でしょう。本家本元はアメリカで、古典的とも言えるアイゼンハワーの「軍産複合体演説」はあまりにも有名です。
http://ad9.org/pegasus/kb/EisenhowerAddress.html
姜氏がこのような事実を認識していないはずはないので、上のような言い回しは、日本の大手メディアの「言論の自由」の度合いを示すものなのでしょう。

さらに、このように経済の軍事化が進めば、武器産業だけでなく、建設業も「軍需企業」になってしまいます。いや、もうすでにそうなっているのを私たちは目にしています。辺野古や佐賀で基地建設で稼ぐ大成建設はその筆頭でしょう。

NEXTFUNDS-TOPIX17.jpgさらにさらに、「貯蓄から投資へ」の掛け声で、何気なく投資信託を買っている人も、例えば「NEXT FUNDS 建設・資材(TOPIX-17)上場投信」という銘柄では、この「軍需企業」に投資することになります。そこには同社株が3.55%も組み込まれているからです。(野村アセットマネジメントの「組入全銘柄情報」のページによる。)何気なく戦争の手助けをしてしまうのです。(もっとも、貯蓄でも銀行がこれらの企業に投資すれば同じことですが。)

最後に「軍事ケインズ主義」という言葉について。こんな美名で呼ぶのもやめたいものです。正しくは、 #吸血鬼経済 、カタカナが良ければ、 #ヴァンパイア・エコノミー という呼称がもっとも相応しいでしょう。
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関連記事:投資信託で軍事産業を応援していないか?
23時40分追記:そう、あからさまに戦争待望論を語ったのが葛西敬之と言う人です。国鉄解体の。観光ツアーでのプライベート会話の中でのこのなので、むしろ本音が正直に吐露されたと言うことでしょう。ブログに、この事実を明らかにした斎藤貴男氏の文章を、岩波「世界」の2020年1月号から引用しています。
https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2022-10-05
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