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小泉悠氏のハフポスト元日付の記事について [メディア・出版・アート]

シェアしたくない記事ですが、批判の俎上に乗せるためです。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/war-in-ukraine_jp_63abb122e4b0cbfd55de3e0d
      付録: 言語は事実ではなく「物語り」しか表現できない?
      リンク: このブログの別記事で小泉氏の発言に言及した部分

ウクライナ戦争や台湾をめぐる緊張で、メディアへの露出度が増えた小泉悠氏ですが、最近本も出したとのことです。本は読んでいませんが、このインタビュー記事を含め、私が目にした限りでは軍拡容認ないし軍拡必要の論者です。

ここでは、このハフポスト記事について、簡単に批評したいと思います。
私の結論をひとことで言えば、事実の検証も乏しく論理性も欠いている、と言うことです。

「戦争の原因をNATOだけに求めるのは間違い」とありますが、「NATOだけ」と言っているような人いないのではないか。またこの表現を逆手に取れば、小泉氏も、暗に「NATOにも」原因を求められる、と考えているのかも知れません。どのくらいの時間スケールで見るかで「原因」は違ってくるでしょう。

「日本の立場はウクライナに近い」の意味が不明です。民族主義的とする開戦前のプーチンの言説がプーチンの行動を説明するとすれば、日本を領土併合するような民族主義的な根拠なり口実なりを持てるような隣国がある、とでも言うのでしょうか?ではその隣国とは?中国にそのような「民族主義的」な動機がありうるのか、そうでなければどの隣国が?

もし「民族主義的」な動機でないとすれば、他のどんな理由で、日本の立場がウクライナに近いと言うのか、このことが主要な結論であるにもかかわらず、この記事では全く分かりません。

「今回の戦争を放置すると」とありますが、「放置する」と言っている、あるいはそのような行動を取っているのは誰だと言いたいのか、誰のことを指しているのか不明です。続く文章を見ると、放置しないとは、軍事も含めてウクライナを支援する、という意味と取れます。小泉氏は、停戦を訴えることは「放置する」こととみなすようです。終わりの方で停戦について議論した後、それを受けて「『見放す』という前例」と決めつけているので、おそらくそのようです。

ミンスク合意破綻の問題が取り上げられますが、その責任は一方的にロシアだけにあるのでしょうか?
最後から2番目の段落の次の文章が結論ですが、それを裏付けるものは、論理的にも現実の証拠においても、何もないと言わざるを得ません。

「もしロシアのウクライナ侵略が成功して、国際社会がウクライナを見捨てた場合には、日本だって同じことが起こりうるということです。『それで本当にいいんですか?』と思うんです。」

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ウクライナ戦争をめぐっての議論を見て、言語は事実を事実そのものではなく、「物語り」としてしか表現できないのではないか、と感じます。

この問題では、次の二つの命題は両方とも真であると思います。
(1)NATO拡大はロシアとプーチンに恐怖感を与え、今回の事件の遠因になった。
(2)プーチンの行動は明白な侵略行為であり、どのような理由があっても許されない。
しかし、発話の順序で「物語」は違ってくる。つまり、
(A) 「1であるが、2だ」と言うのと、
(B) 「2であるが、1だ」と言うのとでは、印象が180度違ってしまう、と言うことです。

つまり、
(A) NATO拡大はロシアとプーチンに恐怖感を与え、今回の事件の遠因になったが、しかしどのような理由があっても侵略行為は許されない。

と言うのと、

(B) プーチンの行動は明白な侵略行為であり、決して許されないが、その原因を作ったのはNATO拡大の政策である。

では、同じことを言っているにも関わらず、重点が違って見える。これは人間の「言説」と言うものが持つ固有の欠陥ではないか。これを補正する方法はせいぜい、接続詞を「しかし」ではなく「同時に」にすることぐらいでしょう。こんなことを考えました。
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宗純

(1)NATO拡大はロシアとプーチンに恐怖感を与え、今回の事件の遠因になった。
も、
(2)プーチンの行動は明白な侵略行為であり、どのような理由があっても許されない。
も欧米リベラルメディアや日本のマスコミ有識者では強調しているのは事実だが、いずれも間違いです。
しんぶん赤旗1月1日版では7ページにもわたって志位委員長の発言を書いているのですが、
その中でも強調しているのがロシアも参加するOSCE(全欧安保会議)の重要性なのです。
ところが、赤旗記事には1行も指摘していないが実はロシア(プーチン)が今の様にNATOと敵対(警戒)するのは最初からではない。2014年のネオナチの米国務省が主導したマイダンクーデター以後の最近の話なのです。それ以前はロシア自体がNATO加盟を考えていた節がある。あるいはNATOとOSCEの融合(合体)を夢見ていたらしいのです。

それにしても不思議なのが去年2月24日からのロシア軍ウクライナ侵攻の不思議な騒動で、
今までの例なら国際社会は「即時停戦」(戦争反対)をこそ主張するべきだが、一字違いで大違いの「即時撤兵」

欧米NATO諸国とアメリカ傀儡の日本の自民党政府がウクライナ支援(戦争の応援のロシア軍即時撤兵)は分かるが、
何と憲法9条の左翼護憲派の全員がアメリカNATOの露骨な侵略であるウクライナの極右勢力ステファン・バンデラのネオナチ親衛隊テロリスト集団を応援、誰一人「即時停戦」を言うものが無い不思議
まさに「集団認知症」虚構の共有である。もちろん即座にウクライナでも「即時停戦」の機運が盛り上がったが、それをぶち壊したのが4月初めの胡散臭いブチャ虐殺の不可解な騒動
by 宗純 (2023-01-05 09:44) 

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