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社会運動におけるSNS [インターネット・ブログ]

cover.jpgしばしば取り上げている,エリカ・チェノウェスの「市民的抵抗」ですが,大部のためなかなか進みません.中程近くまで行ったところで,SNSと社会運動の問題が論じてありました.もちろん,活動家は大いに利用すべきで,不可欠のツールになっていることから議論が始まりますが,同時にその問題点も当然指摘しています.その中から少し紹介します.

クリック主義(p.171)
こうなると、われわれはデジタル技術に対して悲観的な見方になり、たくさんの懸念を抱く。第一に、 ソーシャル・メディアは、単にリツイートするだけ、「いいね」を押すだけ、あるいはリンクをクリッ クするだけで、人びとを運動に参加しているという気にさせる。この「クリック主義」によって人びとが直接参加しているという間違った錯覚に陥り、実際にはより分断を促進し、効果的な直接行動への関与を減らしてしまうという批判もある。
同質集団だけで固まる(p.172)
多くの研究が、ソーシャル・メディアは、異なる見方や経験を持つ人びとと協働する摩擦に耐えるのではなく、小さく、同質的な集団に固まる人間の傾向を加速させると論じる。このような傾向があると、オンライン中心におこなわれる運動が、政権支持者に接したり影響を与えることや、政権の自己満足を崩壊させたり、より広い支持者の連合体を取り込んだりということは、一層困難になる。
(引用者注:これは,5年前の記事「リンゴの虫食い穴と、宣伝物の効果の『測定』」で指摘したこととも重なります.)

抑圧的な政権もこれを有利な環境で使う(上の続き)
さらに重要なことに、抑圧的な政権もソーシャル・メディアを使える(し、実際使っている)。権威主義政権にはさまざまな資源があり、彼らは、安定的かつ持続的な力を回復するためにそれらの資源をどう使うのが最善か、戦略的に考えている。政権はまず活動家のデジタル・メディアに直接反応する。

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最後の点に関しては,最近気になる事象がいくつかあります.

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