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衆議院サイトの「三権分立」の図にある矢印が思い起こさせるもの [社会]

#検察庁法改正案の強行採決に反対します
<沈黙は容認>である.三権分立というこの社会の原理原則を守る側に立つのか,それとも破壊/破壊容認の側に立つのか,政治家だけでなく全国民にもこの問いが突き付けられている.

自分の犯罪を不問にさせる目的があまりにもミエミエで,しかも「三権分立」の原理原則まで破壊する検察庁法改定案,当然とは言え広範に反対の声が上がっている.

「検察は行政機関で司法ではないから三権分立とは関係ない」という向きもあるようだ.たしかに政令,省令など行政府が出す命令の違反に対する取り締まりは,当然「行政」の範囲だろうが,しかし法律への違反に対するそれは「司法」の範疇だろう.つまり,検察官は形の上では行政機構の中にあるが,後者つまり司法の機能がある以上,同時に司法機関でもあるだろう.その中の上位職である検事長らの役職定年を内閣の判断で延長できるようにするというのが今回の検察庁法改定案である.三権分立と無関係なはずはない.

多くの人がSNSやツイッターでこの問題を取り上げたが,その中で,三権分立の概念図の,首相官邸による「改ざん」が話題になった(左の図).衆議院のサイトにあるもの(右の図)が本来のあり方だ.
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これらは,「三権」と国民(主権者)の4者間の相互の権限関係を表したものだが,衆議院サイトと官邸サイトの図では,内閣と国民の間の矢印が逆向きになっている.官邸サイトの図の,内閣から国民への「行政」の矢印も,理由づけしようと思えばできないこともない.内閣には行政命令を出す権限があり,これは国民にも及ぶことがあるからだ.しかしこれは政府の機能としていわば自明のことで,他の矢印の,憲法的な権限の関係とはレベルが違うだろう.

その点で,衆議院の図にある,国民から行政に向かう「世論」の矢印こそが,正しく憲法の精神を表している.これは,憲法16条の「請願権」や21条の集会・言論・表現の自由を表すものだろう.つまり,国民から政府への意思反映のルートは選挙だけではない,ということだ.政治傾向の左右を問わず,何かと言えば「次の選挙で」と,選挙だけを民意反映のルートとする俗説がはびこっているが,決してそうではないということをこの衆議院の説明図が明らかにしてくれたのではないか.暴政を行う政府に対しては選挙まで待ってはいられないのだ.明文の手続きに則った請願だけでなく,デモや集会,そして政治ストも,そしてその圧力による政権の交代さえも,この矢印に含まれるだろう.

この法案に対しては,芸能界を含む著名人が声をあげ話題になったが,ついに検察OBまでが法務省に出向いた.その申し入れ全文を朝日新聞のサイトが公表している.安倍の発言を批判して曰く,「フランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる『朕(ちん)は国家である』との中世の亡霊のような言葉を彷彿(ほうふつ)とさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。」

フランスの雑誌は安倍を「ルイ16世」に例えたそうだが*,確かにルイ14世からルイ16世への変化は意外と早いかも知れない.
* https://twitter.com/kei_nakazawa/status/1261208321958137858

さて,この問題で学者は発言しないのか?タレントや芸能人に任せるだけでいいのか?学者と言えば,代表格の東大法学部や政治学系のお歴々はどうなのか?同大のその系列の著名人では,毎日新聞で映画評を書いている藤原帰一氏や,同じく毎日でつい昨日,対中冷戦を煽るような文章を出した田中明彦氏が思い浮かぶが,三権分立の破壊の危機に沈黙していていいのか?それとも,そのような問題ではないというのか?
上で紹介した,検察OBの文書の末尾を引用しよう.
与党野党の境界を超えて多くの国会議員と法曹人、そして心ある国民すべてがこの検察庁法改正案に断固反対の声を上げてこれを阻止する行動に出ることを期待してやまない。
この法案の審議は来週に持ち越された.週末の運動の盛り上がりが帰趨を決めるだろう.ネットでのソロ発信だけでなく,自民党議員のSNSなどへの書き込み,事務所への電話なども効果的だろう.次のページには自民党議員のSNSなどへのリンクがある.
https://www.jimin.jp/member/search/
1401577.gif5/17追記 国会議員一覧(リンク付き)
https://democracy.minibird.jp
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