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故・吉岡斉教授の未公開資料/映画「妖怪の孫」 [メディア・出版・アート]

(4/14 吉岡氏追悼文2018を追記)
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NHK福岡が3月10日に放映した、故・吉岡斉教授の仕事。ザ・ライフ「ある原子力学者の遺言 ~未公開資料が語る~」
NHKプラスでの公開は3/24までですが、デイリーモーションにアップロードされました。

次は番組で紹介されたある官僚の告白。TV画像からコピー...まさに、ハンナ・アーレントの「凡庸な悪」そのものです。是正のヒントは丸善の科学技術倫理の教科書の「責任ある組織上の不服従」の項目にあると思います。
嘘を承知で.jpg

yokainomago.jpg同様の病弊は、3月17日に封切られたばかりの映画「妖怪の孫」にも見られます。今日(20日)福岡・KBCシネマで鑑賞しました。その中の、2名の覆面官僚のインタビューは、この国の政治中枢の壊れ方の凄まじさを物語ります。上のNHK福岡の作品に出てくる官僚の独白(上の画像)にも通じます。これらの作品を見ることは日本を変えることにつながると思います。





1401577.gif(4月14日追記)このNHK番組で思い出して,吉岡さんが亡くなった時に「反戦情報」の2018年2月15日号に書いた追悼文を以下に転載します.
吉岡さんと初めてお会いしたのは、九州大学教養部に赴任されて間もない頃、当時開講されていた「核を考える」と題する授業の共同分担者として、その打ち合わせをした時でしょう。私は非常勤として2コマほどを引き受けたに過ぎませんが、彼はその授業のコマの多くを受け持っておられました。2000年前後の頃でした。

その後、九電が2005年に玄海町で、また経済産業省が2008年に伊方町で開いた、原発への「プルサーマル」導入をめぐる討論会で、パネリストとしてご一緒することが出来ました。後者では、吉岡さんのレジュメの項目の一つに「政府の約束を信用してはいけない」とあり,しかもスピーチで彼はこの項目を堂々と読み上げられました。政府関係の委員会などで官僚らと付き合うことも多いであろうにもかかわらず、歯に衣を着せぬもの言いに少々度肝を抜かれたのを記憶しています。改めてそのレジュメを読み返して見ましたが、日本の原子力政策史研究の第一人者らしい総合的な分析と、住民のサイドに立った提言の数々は、プルサーマル問題に限らず、国と企業の共謀に住民が対抗するための多くのヒントを与えていると思います。

一昨年暮れには、玄海原発再稼働をめぐって佐賀県が専門家の委員会を設置することになった時、佐賀の脱原発運動団体の連絡組織「脱原発佐賀ネットワーク」から数人の専門家を推薦しましたが、その際に吉岡さんもわれわれの推薦を受けていただきました。結局一人も採用されませんでしたが、彼の意見は、他の被推薦者とともに、佐賀県のウェブサイトの「専門家の皆さまからのご意見について」というページに掲載されています。もし山口知事が彼のこの文章だけでも真剣に読んでいたなら、数ヶ月後の再稼働同意表明などあり得なかったでしょう。

現代科学史の研究は、原発問題だけでなく、軍事研究という形で研究者が“enlist”(兵籍に入れる)されかねない状況の中で今日最も必要とされる分野の一つだと思います。研究者層も決して厚いとはいえません。その中の優れた研究者・研究指導者である吉岡さんを失った痛手は大きなものです。上に引用した文書とともに、労作「新版・原子力の社会史」などの彼の遺産を活用することで、私たちの頭の中で彼に「働いて」もらうしかありません。

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