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福島第一からの放出放射能の量と「ヨウ素131換算」 [仕事とその周辺]

古いデータだが,4月12日の政府発表をメモしておく.
http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110412001/20110412001-1.pdf

「福島第一原子力発電所全体の放出量」(大気中)
(TBq=テラ・ベクレル=10の12乗ベクレル=1兆ベクレル,1万TBq=1京Bq)

          福島第一での想定放出量    チェルノブイリ
          保安院概算 安全委員会発表値 での放出量
ヨウ素131 ...(a)  13 万TBq  15 万TBq    180 万TBq
セシウム 137    6 千TBq  1 万 2 千TBq   8 万 5 千TBq
ヨウ素換算値 ...(b) 24 万TBq  48 万TBq    340 万TBq
(a) + (b)      37 万TBq  63 万TBq    520 万TBq

報道によると,「放出量が落ち着いた4月5日の時点でも,1日あたり154テラ・ベクレル」出ているとあり,また,高崎のデータに見られるように,今も放出が続いている.

上に「ヨウ素換算値」というのがある.「ヨウ素」とはヨウ素131のことだが,原発事故の放出放射能を評価するのに使われる量だ.ところがこの値の定義がなかなか見つからない.結局,INESの「マニュアル」にたどり着いた.
http://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/INES-2009_web.pdf
その155ページに定義が書いてあるが,これも分かりにくい.どうやら次のような量と思われる.
呼吸による線量の時間積分値(D1')と,地表から50年間に受ける線量(D2')とを合計したものを,同じ放射能量(ベクレル値)のヨウ素131による同様の値(D1+D2)で割ったもの,つまり(D1'+D2')/(D1+D2)を換算係数とする.この換算係数を特定の核種の放射能量に掛けたものがその核種の「ヨウ素131換算値」.(D1などの記号は元資料とは違います.)
呼吸線量の時間積分値に積算時間の設定がないのは,放射能雲が一過性で通り過ぎる間の時間積分ということを前提としているからだろう.(福島事故の場合,事故初期に比べて桁違いに少ないとは言え,未だにダラダラと放出が続いている状況というのは,この定義の想定外ということになろう.)

その係数そのものは,157ページの表15に掲載されている(事故による大気中への放出の場合).代表的なものをいくつか拾ってみると,
Cs-134 2.8
Cs-137 40
Pu-239 10,000
Sr-90 16
U-238 590
もちろんI-131は定義から1だ.
以上,自分のメモのためのエントリーでした.
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1401577.gif上の表で奇妙に思うのは,セシウム137とヨウ素131だけしか見ていないことだ.表題についても,「全体の」は前の「福島第一原子力発電所」にかかり,「放射能全体」という意味ではない.明日電話で確かめてみよう.
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