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ベネズエラ,今や批判こそが最大の支援? [社会]

ベネズエラがおかしい.だいぶ前,同国に住んだという人の記事をネット上で見て,その人の素性もそのサイトの信頼性も全く不明なのだが,政治というものは決して善悪二元論で語れるような単純なものではないな,と思ったものだ.その記事では,チャベス大統領派が,自分たちの派のための狭い利益をはかっている,というような内容だった.その時にこの件を自分のブログでも取り上げようかと思ったのだが,今やその元情報にたどり着くのは簡単でない.

この数日来報道されている,憲法改正案に反対するデモの報道を見ていると,チャベス政権がいよいよ独裁色を強めるのではないかとの心配が強まる.改正案には,大統領任期の延長と再選制限の撤廃が含まれており,これに野党などが,そのねらいが大統領の権限強化にあると批判している.また数日前には,反対運動の抑圧にチャベスが暴力団を使ったのではないかとの疑惑が出ている.
→日刊ベリタの記事 http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200711092357595

しんぶん赤旗もこのようなベネズエラ情勢を取り上げているが,あまりにも簡単すぎる(末尾に4日の記事をコピー).政権誕生の際や,アメリカの介入に抗しての政権維持の民衆運動などについては非常に詳しく報じたのだから,その行方にはもっと関心を持って深く掘り下げた取り上げ方をしてもらいたいものだ.もし独裁政権に転化すれば,文字通り裏切りであり,また,アメリカの介入に対しても強くなるどころか,逆に極めて脆弱になるだろう.このことに無関心であっては困る.今や批判こそがチャベス政権への最大の支援かも知れない.

かつてカンボジアで大虐殺が行われていたとき,一般紙も,しんぶん赤旗も,これをほとんど,あるいは全く報道しなかった.左翼・リベラル派にとってこれは,「左翼」ないし「社会主義」の看板を掲げているということで「大目に見る」あるいは「目をつぶる」という過ちだったのではないか(あるいは,敵対的な「西側」のプロパガンダと区別が出来なかったのかも知れない).古くはソ連に対する左翼の態度にそうとう幅広く見られたものだ.いまさらこれを繰り返してはならない.

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2007年11月4日(日)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-11-04/2007110407_01_0.html
憲法改正案 国会が承認
来月2日に国民投票へ
ベネズエラ

 【メキシコ市=松島良尚】ベネズエラ国会は二日、チャベス大統領が「二十一世紀の社会主義」をめざすとして提案した憲法改正案を圧倒的多数で承認しました。十二月二日に国民投票に付される予定です。
 約二カ月半の討議を経た改正案は、現行憲法三百五十条のうち、大統領提案の三十三条項と国民的討議や国会審議を経て新たに加わった三十六条項の合計六十九条項です。
 改正案には、大統領任期の延長と再選制限の撤廃、人民権力の創設、法定労働時間の短縮、所有形態の規定などが盛り込まれています。
 また、討議を経て、選挙権の十八歳から十六歳への引き下げや、外交原則として「帝国主義、植民地主義的な覇権から自由な多極的世界に向かうべき」との文言の挿入などが加えられました。
 野党や反政府派は、改正案のねらいは大統領の権限強化だと批判しています。一日には、数千人から数万人とみられる反政府派学生が、国民投票の延期を要請するため全国選挙評議会に向けてデモを実施。建物に入ろうとして、警官隊と衝突しました。

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コメント 3

レイランダー

権力は絶対腐敗する。絶対権力は絶対的に腐敗する。

それくらい、わかっていないはずはないチャベスだと思っていたけど、それでもこれなんですね。
まさに、こういう時に堂々と批判し、叱咤するのが本当の支援ですよね。それと、EZLN(サパティスタ民族解放軍)が、「権力を握ること」にずっと疑心暗鬼の姿勢をとり続けているのは、やはり賢明だと思います。
by レイランダー (2007-11-17 01:15) 

nz

チャベスの目論見は小差で阻まれましたね。
ベネズエラの人たちはがんばりました。
レイランダーさんと同じく権力を長い間持つものは必ず腐ると思います。
by nz (2007-12-04 09:59) 

yamamoto

チャベスがこの結果を即座に受け入れたことは,同国の民主主義にとって大いにプラスの寄与をすると思います.また,この投票結果自体についてもそう思います.今日のしんぶん赤旗は相当のスペースを割いてこの結果を報じていましたが,論調は8割り方チャベス寄りでした.これは,共産党が政権を取ったときに日本でも同様の政策を取るかも知れないと国民に連想させることになるので,これはマイナスポイントだと思います.この記事の筆者はそこまで意識しているのでしょうか?
by yamamoto (2007-12-04 23:11) 

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