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佐賀県知事と市民団体との面会ー玄海原発問題 [社会]

3kgeneations.jpg佐賀新聞の報道サガテレビの報道(右画像clickでも)。1401577.gif3/13追記:末尾に山口知事の発言の文字起こし
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佐賀県下の9つの脱原発市民団体が合同して知事に面会を求め、これが今日実現しました。これまでも繰り返し知事や原発関連部署の担当者との面会を求めていたのですが、ほとんどが文書のやり取りに始終していました。山口知事と直接顔を合わせるのは5年ぶり3回目で、しかも15分程度の形式的なものです。それでも久しぶりに面会に応じられたということで、今日は評価する言葉だけにとどめておきます。

IMG_2151h.jpg3.11の10周年ということもあって、会議場には右の写真のように大勢の報道陣がいます。何しろ面会時間はわずか15分、それぞれの団体で個々に1分ずつ話をしても何も言えないということで、一人で代表発言をということになり、私にお鉢が回って来てしまいました。この数日はその貴重な8分のための原稿を練り上げるのに苦心していました。それぞれの団体の意向も忖度(本来の意味です)しなければいけません。以下の原稿を、プリントとして配布もしてあるので所々読み飛ばして時間を節約しながら、プレゼンテーションしました。一箇所、アドリブで入れたところ(赤色−pdfも)もあります。
配布したpdfはこちら。(ただし赤色は事後記入

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「さよなら原発!佐賀連絡会」の豊島と申します。本日は、知事にはお忙しい中、このような機会を設けていただきありがとうございます。本日集まりました団体を代表して、ご挨拶と、意見を申し上げます。また、各団体からもそれぞれ質問及び要請を提出しますので、各団体にご回答頂くようお願いします。これからの私の発言に対しても、機会を見てご意見を頂ければ有り難く存じます。

1.大飯判決に関連して

昨年12月4日、大阪地裁は大飯原発許可を取り消す判決を出しました。判決はその「要旨」の(4)に、規制委員会の審査・判断における過誤として次の指摘をしています。
「経験式が有するバラツキを考慮した場合,これに基づき算出された地震モーメントの値に何らかの上乗せをする必要があるか否か等について何ら検討することなく,本件申請が設置許可基準規則4条 3項に適合し,地震動審査ガイドを踏まえているとした。」
この点は玄海原発にもそのまま当てはまると考えられますが、いかがでしょうか。そもそも、県はこの判決のこの点について、あるいは他の点について、検討をされましたでしょうか。
saga-eq-pr.jpgこの判決は、玄海に当てはめると、玄海原発で想定された地震動620ガルは過小評価と判断することを意味します。実際、5年前の熊本地震では益城町で最大加速度1,580ガルを記録しています。県の耐震診断を促進するチラシ(右の画像)では、「佐賀で大地震が起こるのは明日かも知れない。いつどこで起きるか分からない大地震にそなえて」と大書してあります。玄海町が例外であると言えるのでしょうか?

2.トリチウム放出問題
トリチウムは、政府が計画している福島原発事故からの汚染水(放射性物質の部分的除去後の水)の海洋放出でも問題になっている放射性物質ですが、玄海原発からは国内原発の中で最も多量に放出されて来ました(資料1)。再稼働とともにトリチウム放出も再開されました。これと関連性を疑われるのが周辺での白血病の多発です。森永氏の調査の資料を添付します(資料2)。この疑問について県独自で調査・分析をしていただくようお願いします。
1973 年から 2010 年の間、原発3キロ圏内の 玄海町8地区・鎮西町1地区で行われた「北部地区住民検診」の調査データが秘密にされていますが、このデータに県として関心がおありでしょうか。これを入手、分析するつもりはありませんか。もしそうでなければその理由を知りたいと思います。

3.原発避難の問題について
原発事故時の住民避難はもともと想定どおりうまく行くとはほとんどだれも信じていないと思います。ましてや現在のコロナ感染状況下での避難ではなおさらでしょう。現状では、通常時と比べてどの程度「能率」が低下すると見積もられているでしょうか(例えば,24時間以内に避難できる人数がどの程度減るか,など)。それともそのような見積もりや推定は行っておられないのでしょうか。
また、重大な事故と所内での感染とが同時に発生すれば、事故対応も困難になります。このような場合の想定は行われているかどうか、九電に確認していただきたいと思います。
原発避難ではSPEEDIを利用しないとされ、その理由として、この予測通りにはならないことがあるから、というお考えと承知しています。では、風向きなどは無関係に、常に一定の方向、ルートで避難するという方針でしょうか。もしそうであれば、たとえ外れることがあるとは言えSPEEDIを利用した場合と、固定したルートで避難する場合とで、後者が統計的・確率的に被ばく低減に有利である、あるいは劣らないという根拠を示して頂くようお願いします。

4.使用済み燃料(核のゴミ)について
運転を続ければ使用済み燃料もそれだけ増え、搬出先の見通しがないまま発電所にたまる一方という身近な問題が差し迫っています。もちろんそれだけでなく、この最終処分が不可能に近いという事実もよく知られています。
CO2削減で原発に期待する向きもあるようですが、ウランの資源量は、発熱量換算で天然ガスの半分以下という事実にも注目すべきです。ウランを、せいぜいでも100年間で使い切ったとして、そのツケを私たちの子孫の3,000世代(10万年)にもわたって負わせ続ける行為というのは、正気の人間のなせる業(わざ)とは思えません。10万年を過去に遡ればネアンデルタール人の時代、日本では縄文人はわずか1万年前、彼らはこんな厄介なものを私たちに残したりしていません。
この点をどうお考えでしょうか。放射能を消滅させる処理方法についての確証など誰も持たないと思います。

5.県民・市民や、市民団体との直接対話をお願いします
知事は1期目に就任されて間もない頃、2015年4月に、今回のような私達との面会の機会を設けていただきました。終わってメディアの前で「皆様方のご意見をお伺いすることが出来て、意義があったと思っております。これに限らず、またこういう機会を設けていこうと思っております。」と述べられました。しかし玄海原発の再稼働に際しても、県と県民、市民との直接対話は実現されませんでした。2017年2月から3月にわたって開かれた「説明会」も、あくまで経産省などによる「説明」であって、県と県民との対話ではありません。
私たちの参加団体の一つ「裁判の会」が一昨年2月に知事あての質問を提出した際、回答される場での知事または責任ある担当者との直接対話を求めたところ、知事からは「直接対話することは考えていない」との回答でした(2019年3月15日付文書)。これは2015年の姿勢とは180度異なりますが、本日直接お会いできたことを機会に、実質的な意見交換の場を、—— もちろん知事ご自身が頻繁にというわけにはいかないと思いますので、原発問題の担当者と、直接やりとりができる場を設けていただくようお願いします。
以上で、諸団体を代表しての発言を終わります。ありがとうございました。

添付資料
(資料1 プリント末尾に挿入)トリチウム放出量推移
https://pegasus1.c.blog.ss-blog.jp/_images/blog/_8db/pegasus/tritium-emi2020.jpg
(資料2)森永徹氏の発表 (第56回日本社会医学会総会,2015 年 7 月 25・26 日,久留米大学医学部)
http://ad9.org/pdfs/nonukessaga/y2017/leukaemia-genkai.pdf
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1401577.gif山口知事の発言と最後のやり取り
参加者のお一人が文字起こしをされていますので、編集して転載します。読みやすくするため「エー」などの間投詞は削除しました。カッコ内は注です。
間投詞などを省略しない発声に忠実な記録はこちら
山口知事:
それでは私の方から。本日はほんとにありがとうございました。皆さんのご意見や思いを直接伺わせていただきました。そして今日は県の先生も(県議の意味)3人来ていらっしゃいますけれども、県議会はもとより皆さん方からご意見ご質問を承っておりますので、真摯に対応していきたいと思っております。


「マイク無いんですか?」(難聴者の参加者)

東日本大震災、そして福島第一原発の事故からちょうど10年になります。私は当時長崎県におりまして、道路がなかなかスムーズに通じていないという話がありましたので、いち早く長崎大学と連携して長崎丸という船で福島県の小名浜港、岩手県の方に送ることに決めましたことを憶えております。ま、10年経って今日もテレビでなどでいろいろ映像などが出てまいります。えー、津波のことですとか、福島、原発の、第一原子力発電所の映像、そういったものが頭から離れることはありません。

我々は決してこれを風化させてはならないんだと思っております。そして原子力に関わる全ての者、これは事業者に限らず、その、当然我々も含めてでありますけれども、もう二度と福島のようなことは起こさせないという強い気持ちで緊張感を持って取り組んで行かなけれなならない、取り組む覚悟です。私はもう知事になった時から、どうしてもそこは、今在る玄海原子力発電所とどう向き合っていくのか、というところがとても、ずっと強い思いとしてございます。

廃止措置に、1号機2号はなりましたけれども、それだけとっても長い間、我々はそれに向き合っていかなければいけないという強い覚悟をしてございます。そして、私自身は原発立地県の知事として、県民の皆さんの安全を何よりも考えまして、玄海原子力発電所に真摯に向き合っていかなければならないと思いますし、皆さん方からすれば物足りないかも知れませんけれども、私なりに九州電力さんとはしっかり向き合って、そのたんび、そのたんびに厳しく対峙させて頂いているつもりでございます。ま、こうした姿勢はこれからも持ち続けていきたいと思います。

そして皆さん方が日頃、この10年間活動されていることは、この十分承知しておりますし、なかなか大変なことだったと思いますし、これからもそういう日々が続くんだろうと思いますけれども、私は、あの事故を風化させないために、皆さん方の様々な活動というものは、大変、意義のあるものだというふうに思いますので、改めて、敬意を表したいと思います。

これから同じこの原発に向き合う県民として、いろいろな所で皆さん方からご指摘いただくこともしっかりと受け止めながらですね、我々も、我々としての考え方を皆さんの前で表明できるようにしっかりしていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

本日はありがとうございました。

(司会)「この後知事が別用なるものが入っていますので、ここで退席させて頂きます。」

豊島:一言、一言、私が申し上げる対話の件ですね、担当者との直接対話、この機会を設けて頂くということですけれども、これは即答いただけませんでしょうか?

山口知事:もう、できる限り。じゃあそのような形で。ま、勿論いつもいつもという訳にはいきませんけれども、時々皆さん方のお話を直接聞くということも大事ですので。

豊島:ぜひお願いしたいと思います。

山口知事:分かりました。はい、分かりました。ありがとうございました。


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宗純

2014年5月、福井地裁裁判長として関西電力大飯原発の稼働差し止め判決の元裁判長樋口英明さんが今回「私が原発を止めた理由」(旬報社)を出版。
それによると
建築基準法は初めての震度7の揺れを記録した阪神大震災の1995年の教訓から厳しくなっているので、
それ以前の基準で作られた日本のすべての原発は違法建築らしいのですよ。
日本の建築基準法に違反する学校などの公共施設は「安全ではない」と全部例外なく閉鎖され作り替えられていているのに、事故が起きれば一番怖い原発敷地内だけは大きな地震が起きないとのトンデモナイ異常事態になっていたとの笑い話。
1995年以前の原発は耐震基準が低すぎるのですから、動かすことは無理があるが、ただし10年前の経験では動いている原発よりも、止まっていた4号基の燃料プールが一番の危機だったのですから、止めるだけでは少しも安全にはなりません。危ない原発を稼働させようとする政府自民党ですが阿波踊りの原理で「同じ」アホなら発電した方が得だとでも思っているのでしょうか

by 宗純 (2021-03-18 16:39) 

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