アヴィニョン [趣味]
9/5:末尾 に毎日の投書に関連した追記.
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「『サモトラケのニケ』の超3D写真」の記事の続きです.
南仏アヴィニョンに滞在したのは7月20日前後でしたが,7月のほぼ1ヶ月は世界演劇祭(Festival d'Avignon)のお祭り騒ぎでした.出発前はこのことを全く知らなくて,何となく南仏にも行ってみようということで選んだのですが,なぜかホテルが取りにくい.あとで理由が分かりました.やっと取れたホテルも,ホテルというよりは民宿.ふつうのアパルトマンで看板もなし.逆に町の住人になった気分で悪くはありません.Booking Comで取ったのですが,それによると「朝食付き」とありましたが,何のことはない,その日数分の食パンと,果物類,ミルクが冷蔵庫に入っているという話.(右の写真は「ホテル」のベランダに括り付けられた「演劇」のポスター)
せっかくの演劇祭なら,ということで,部屋に置いてある電話帳のような分厚いカタログをめくります(左の写真).ふつうの演劇はとても言葉がわからなくてダメ.しかし音楽中心のパフォーマンスやマジックショーもあるので,その二つを見に行きました.音楽パフォーマンスはすばらしく,十分楽しめましたが,マジックショーは逆に言葉での客席とのやりとりが多く,ほとんど分からない.全員にトランプを持たせて,言われる通りに操作すると全員が同じカードになるのですが,どこかで聴き間違えたらしく,隣と違う.マジックそのものはよかったけれども,ネタは日本のテレビなどで見るのと同じようなものでした.(下の写真は町中に張られた演劇のポスター)
他の土地の話はまた書くとして,文化論を一席.
ヨーロッパに行くといつも感じることですが,接客業と客の関係の対等性ということがあります.スーパーでも銀行の窓口でも,まず互いに「こんにちわ」と挨拶して要件に入り,別れる時は「さようなら」「よい1日を」などという言葉を必ず交わします.
ウェイトレスなどが客に愛想良く応対するのは日本も同じですが,客も全く同じように愛想良くしなければなりません.そうでないと無作法と見なされるという雰囲気です.日本でも多くの人は客となったときに挨拶はしますが,無愛想にしても常識はずれというほどには見なされません.しかしヨーロッパでは明らかに違います.これは数十年前にフランスに滞在した時と変わりません.
サービスする側の挨拶も,相手の目を見ての「個人対個人」のもので,比べて我が国の場合は組織代表という感じ.まだヨーロッパ気分醒めやらぬ帰国の数日後,ラーメン店に行ったときの店員の「ありがとうございまーす」は,挨拶と言うよりむしろ「叫び」と分かります.つまり発する言葉,文字列は同じでも,人間対人間というより,営業上の「シュプレヒコール」だと感じられました.
日本で,サービスの側がとてもへりくだり,客はたとえ威張っても無作法という程には見られない.このような「文化」は,想像するに「士農工商」の身分制で接客などサービス業,商業従事者が貶められた歴史の「潜在記憶」が未だに残っているためかも知れないと思ったりします.
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9/5追記:今日の毎日の読者投稿「『いらっしゃいませ』に思う」は,客と店員の間の挨拶の極端な,いわば上の例に輪をかけたような話.店員が後ろ向きのままこの挨拶を発するので,なぜか調べてみると万引き防止のためのシグナル,示威行動だという.投稿子は万引き防止には他に方法があるだろう,と批判する.
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続き:夏の欧州旅行メモ - その3
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「『サモトラケのニケ』の超3D写真」の記事の続きです.
南仏アヴィニョンに滞在したのは7月20日前後でしたが,7月のほぼ1ヶ月は世界演劇祭(Festival d'Avignon)のお祭り騒ぎでした.出発前はこのことを全く知らなくて,何となく南仏にも行ってみようということで選んだのですが,なぜかホテルが取りにくい.あとで理由が分かりました.やっと取れたホテルも,ホテルというよりは民宿.ふつうのアパルトマンで看板もなし.逆に町の住人になった気分で悪くはありません.Booking Comで取ったのですが,それによると「朝食付き」とありましたが,何のことはない,その日数分の食パンと,果物類,ミルクが冷蔵庫に入っているという話.(右の写真は「ホテル」のベランダに括り付けられた「演劇」のポスター)
せっかくの演劇祭なら,ということで,部屋に置いてある電話帳のような分厚いカタログをめくります(左の写真).ふつうの演劇はとても言葉がわからなくてダメ.しかし音楽中心のパフォーマンスやマジックショーもあるので,その二つを見に行きました.音楽パフォーマンスはすばらしく,十分楽しめましたが,マジックショーは逆に言葉での客席とのやりとりが多く,ほとんど分からない.全員にトランプを持たせて,言われる通りに操作すると全員が同じカードになるのですが,どこかで聴き間違えたらしく,隣と違う.マジックそのものはよかったけれども,ネタは日本のテレビなどで見るのと同じようなものでした.(下の写真は町中に張られた演劇のポスター)
他の土地の話はまた書くとして,文化論を一席.
ヨーロッパに行くといつも感じることですが,接客業と客の関係の対等性ということがあります.スーパーでも銀行の窓口でも,まず互いに「こんにちわ」と挨拶して要件に入り,別れる時は「さようなら」「よい1日を」などという言葉を必ず交わします.
ウェイトレスなどが客に愛想良く応対するのは日本も同じですが,客も全く同じように愛想良くしなければなりません.そうでないと無作法と見なされるという雰囲気です.日本でも多くの人は客となったときに挨拶はしますが,無愛想にしても常識はずれというほどには見なされません.しかしヨーロッパでは明らかに違います.これは数十年前にフランスに滞在した時と変わりません.
サービスする側の挨拶も,相手の目を見ての「個人対個人」のもので,比べて我が国の場合は組織代表という感じ.まだヨーロッパ気分醒めやらぬ帰国の数日後,ラーメン店に行ったときの店員の「ありがとうございまーす」は,挨拶と言うよりむしろ「叫び」と分かります.つまり発する言葉,文字列は同じでも,人間対人間というより,営業上の「シュプレヒコール」だと感じられました.
日本で,サービスの側がとてもへりくだり,客はたとえ威張っても無作法という程には見られない.このような「文化」は,想像するに「士農工商」の身分制で接客などサービス業,商業従事者が貶められた歴史の「潜在記憶」が未だに残っているためかも知れないと思ったりします.
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9/5追記:今日の毎日の読者投稿「『いらっしゃいませ』に思う」は,客と店員の間の挨拶の極端な,いわば上の例に輪をかけたような話.店員が後ろ向きのままこの挨拶を発するので,なぜか調べてみると万引き防止のためのシグナル,示威行動だという.投稿子は万引き防止には他に方法があるだろう,と批判する.
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続き:夏の欧州旅行メモ - その3
2016-09-03 19:25
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