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京都での平和運動国際会議 [反核・平和]

1401577.gif2016年1月追記:「炭坑節」について末尾 に追記.
1401577.gif10/3:この会議への私のレジュメ「佐賀空港へのオスプレイ配備問題と住民の動き」です.(本文中にもリンク)1401577.gif写真を追加(さらに追加予定)

京都のXバンドレーダー基地へのツアーについて書きました(ちなみにXバンドとは8~12GHz).
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2015-08-17
この記事で予告してからずいぶん経ちましたが,グローバルネットワーク(GN)のセミナーの内容について少し紹介します.(末尾にプログラム)

冒頭は,GN代表で英国核廃絶キャンペーン(CND)議長のデイブ・ウエッブ氏の「ミサイル防衛」についての総論的な話で,物理学者でもある彼は,ミサイル迎撃システムについての初歩的・技術的な話も,いわばセミナーを通じての基礎知識として,かなり詳しく解説していたが,短い時間に,しかも日本人参加者には同時通訳のフィルターを通してであり,どのくらい理解が進んだかは疑問.翌日の経が崎ツアーのバスの中で初歩的な質問が出るので,「ツアーから戻ったら試験をする.60点を取るまで何度も授業を受けさせる」と冗談を飛ばしていた.

彼の講演レジュメの締めくくりには,高い諸理想を持つ日本の憲法に言及し,日本の人々はそれを誇りに思うべきであり,基本原則を維持すべし,とある.講演でもそう述べたはずだ.

続いて韓国のコ・ヨンディ氏は,韓国へのTHAAD配備(終末高高度防衛ミサイル[注1])の意味,狙いと,米・日・韓の「三国軍事同盟」への動き,さらにはそのNATOとの合併というグローバル軍事同盟への拡張という問題を指摘した.

次いで元京都女子大教授の前田佐和子氏は,日本の宇宙開発が軍事目的に広がって行く歴史を報告した.(この動きに対する学界・大学の抵抗がないに等しいのは情けない[注2].)

初日最後は大阪大学の大野光明氏が,経ケ岬の米軍Xバンドレーダー設置の経緯と反対運動について話した.彼自身「スワロウカフェ」[注3]のメンバーとして反対運動に参加している.

SANY0193q.jpg翌31日は経ケ崎Xバンドレーダー基地ツアーで,これについては前の記事で少し書いたが,その付け足し.

行きのバスの中で,基地周辺での行動について実行委員会の人がいろいろと注意をしたが,不測の事態を恐れるあまり,まるで基地の側の警備関係者のような表現を使うこともあった.日本人参加者にはそれほど耳慣れないことでもなかったようだが,さすがに外国人参加者は不満のようで,回りからブーイングのつぶやきも聞こえた.

帰りのバスでは,The Ghosts of Jeju(日本語字幕付き)が上映された.画面が小さいなどとてもいい条件ではなかったが,みな我慢して見ていた.Jeju島での朝鮮戦争時の大虐殺,そしてGanjong村での海軍基地建設阻止闘争を扱った記録映画で,福岡の女性が字幕を付けた.この問題を広める絶好の映画だ.Jeju島には日本からの観光客も多く,福岡からは目と鼻の先と言ってもいい.同じように基地反対運動を闘っている沖縄よりもはるかに近い.ところがこの問題を,福岡の市民は恐らくほとんど知らない.上映会やDVDの普及が大事だ.

ただ,この映画で一つ気になることがあった.広島と長崎の原爆爆発の映像が出てくるべき文脈で,そのうち一つがビキニ水爆のものだった.翌日朝セミナーに向かう途中で,この映画を作ったRegis Tremblay さんがいたので質問してみた.本人自身は承知の上で,印象の強い映像を使いたかったというような説明だった.しかしこれには納得いかない.記録映画である以上,正確であるべきだ.意外なことに,この質問をされるのは私が初めてだったとのこと.あとでデイブ(上述)に同じことを聞くと,彼も気になっていたとのこと.

SANY0223q.jpg3日目は,私自身がプレゼンテーションをするので分科会Bに出席.冒頭のChoi Sung-Heeさん(チェ・サンヒー)は,彼女が関わっているGanjeong Village[注4]の海軍基地建設阻止闘争について報告した(写真は経が崎でのChoiさん).上述のビデオThe Ghosts of Jejuの中にも彼女自身が頻出する.チェさんは2009年のソウルでの会議では世話役をしていたが,その時の少しシャイな娘という印象とはうってかわって,堂々たる活動家になっていた.(2009年の会議はたとえば2009年5月4日の記事 等を参照)

私のプレゼンは最後.こちらにスライドと録音を置きます.
http://ad9.org/blog/mytalks/GN-Kyoto2015.pdf
http://ad9.org/blog/mytalks/801_0324t.mov
肝心のレジュメを忘れていました(10/3追記)1401577.gif
http://ad9.org/blog/mytalks/gnkyoto-osprey-to-saga.pdf

最後に,演壇に立ったその「地位」を利用して,「平和を実現する数学公式」と銘打って,10年前に発表した短文のCMもやったら,廊下に置いたその英語版コピーは全部はけた.
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2007-02-24

午後の全体会では,やはりチェコの報告が圧巻だ.京都・経ケ崎と同じように,チェコにXバンドレーダーを配備する話が持ち上がったが,市民運動の見事な展開でこれを阻止したのだ.その様子を記録したビデオの一つがネット上にある.
https://www.youtube.com/watch?v=YgoCbbdeXDY
このビデオの冒頭に出てくるジャン・タマーシュさん本人がプレゼンテーションを行った.実はこの報告は2009年のソウル会議でもされたが,その時は確かイタリアの活動家がプレゼンしたと思う.

一番最後のインドのJ.ナラヤナ・ラオ氏のタイトルは「全世界の軍事基地の解体」だ.その中の次の言葉に注目:「ヒトラーの世界支配への野望は,帝国を築いたアメリカの支配者たちに受け継がれた.」(予稿集80ページ)

合宿の醍醐味は参加者どうしのインフォーマルな多様な交流が持てることだ.例えば,ドイツからの参加者,ウォルフガング・シュルプ・ハウクさんはなんとあのムートランゲン封鎖の参加者だった.この歴史的イベントは,ヨーロッパに配備されようとしていたアメリカの中距離核ミサイルに反対して,ドイツの判事22名を含む多くの市民が基地を座り込み封鎖をしたというものだ.取り締まりに来た警察は,座り込みの人から「自分は判事だ」と言われていったん署に引き返し,そして戻って来てごぼう抜き・逮捕を始めたと言うことだ.
ムートランゲン封鎖関連サイト
http://peacemagazine.org/archive/v03n4p19.htm
http://tridentploughshares.org/we-have-been-guilty-ulf-panzer/
1401577.gif15/12/2追記:封鎖に参加した判事の文章(日本語訳)
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2012-09-27

1401577.gif2016年1月追記:「炭坑節」について.
会期も終わりに近づいた頃の夜,ノンアルコールのパーティーが催された.アルコールなしでも結構ハイになれるもので,各国のグループが歌を中心にそれぞれ出し物をやった.日本は何をするかということになり,結局「炭坑節」を,皆がうろ覚えの歌詞と振りで歌い踊った.これでの教訓は,日本人が集まっての最大公約数は多分「炭坑節」なので,国際会合では炭坑節が必須!! →ダンスの動画歌詞踊り方
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[注1] Terminal High Altitude Area Defense missile.当初は戦域高高度防衛ミサイル(Theater High Altitude Area Defense missile)と呼ばれていた.PAC-3より高高度.
[注2] 宇宙開発問題ではないが,同じ科学技術分野の政策に対して,国立大学の学科レベルとは言え「公的」機関が反対声明を出したのを紹介しておきたい.
「改正された原子力基本法から『安全保障』の語の削除を求める」
 2012年8月23日 佐賀大学工学系研究科物理科学専攻教員一同
 http://www.phys.saga-u.ac.jp/japanese/onnuclearlaw.html
[注3] http://blog.livedoor.jp/noarmydemo/
[注4] Gangjeong-Villageの場所
https://www.google.co.jp/maps/place/Gangjeong-dong,+Seogwipo-si,+Jeju-do,+韓国/@33.2607834,126.5122493,13z/data=!4m2!3m1!1s0x350c5106952806e7:0xcfea889a3b436db6?hl=ja

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宇宙戦争も核戦争もNO!
     ――「ミサイル防衛」・「集団的自衛権」の真実を探る
7月30日
京都セミナー1 「ミサイル防衛」の真相――「宇宙でも戦争する国」日本へ

歓迎挨拶 原 誠(同志社大学神学部教授),ステーィブン・リーパー(前広島平和文化センター理事長)
1 米国の「ミサイル防衛」の真実と神話――宇宙戦争に日本は参戦するのか
   デイブ・ウエッブ(GN代表、英国核廃絶キャンペーン議長)
2 韓国へのTHAAD配備の狙いと米国主導の北東アジアでのMD(ミサイル防衛)
   コ・ヨンディ(高 永大、朝鮮の平和と統一を開く人々・共同代表)
3 宇宙の軍事利用は戦争への道――新「宇宙基本計画」の示すもの
   前田佐和子(元京都女子大学教授、地球惑星科学)
4 京都・経ケ岬における米軍MD基地と反対運動の現状と課題
   大野光明(大阪大学、スワロウカフェ)
◇全体討論 (80分)

7月31日 経ケ崎Xバンドレーダー基地ツアー

8月1日午前 京都セミナー2 宇宙規模で構築中の米軍戦争システムの全貌
           ――点と線、地と天をつなげて考える
分科会A
①核と宇宙分野におけるドイツの平和運動に携わって
ウォルフガング・シュルプ・ハウク
(ドイツ、平和市長会議「2020ビジョン」実現運動)
②天空への兵器配備――インドの現局面
J.ナラヤナ・ラオ(インド、GN理事)
③情報化時代のテロリズムをどう克服するか
S.ナラヤン・シャー(「ネパールにおける社会開発の道」事務局長)
④誰が冷戦の復活を策しているのか――ウクライナ・中東・東アジアの軍拡競争の危険
ヨシ・マッキンタイア(米国、ジャーナリスト)

分科会B
①韓国済州島カンジョン村への海軍基地設置反対運動の成果と課題
チェ・ソンヒ(崔 誠希、韓国、GN理事)
②沖縄の戦い――辺野古の海を埋め立てさせないために
大湾宗則(京都沖縄県人会)
③GNの連帯ツアーで感じ、考えた「沖縄」
GN沖縄訪問団
④佐賀空港へのオスプレイ配備問題と住民の動き
豊島耕一(佐賀大学名誉教授)

分科会C
②米国の宇宙覇権の道具に変貌しつつあるスウェーデンの北極圏地域
アグネッタ・ノーバーグ(スウェーデン平和委員会副議長、GN理事)
③イタリア・シシリア島で米軍の M.U.O.S. (mobile users objectives system)施設の設置を拒否できた理由
――反対運動の映像を鑑賞しつつ
ヴィンセンゾ・サンティグリア(イタリア、MUOS反対運動)
④戦争と平和への岐路に立つ日本――集団的自衛権をめぐる運動の現局面
杉原浩司(集団的自衛権問題研究会、GN理事)

8月1日午後 京都セミナー3 宇宙戦争も核戦争もない平和な地球を築こう
歓迎挨拶①  君島東彦(立命館大学国際関係学部教授)
歓迎挨拶②  ピータ・カズニック(アメリカン大学歴史学教授)  

①反テロ地球戦争の失敗、ユーラシア連合の台頭と米国の「巻き返し」戦略
         ブルース・ギャグナン(米国、GNコーディネイター)
②冷戦後の米軍の宇宙戦略の特質      
         スブラタ・ゴシュロイ(米国、MIT研究員)
休憩 10分
③MDは新型核戦争(衛星軌道上の核爆発と原発炎上)を招く   
                 藤岡 惇(立命館大学)
④2009年のチェコ共和国で米軍のMD基地の阻止に成功した経験
         ヤン・タマス(チェコ、ヒューマニスト党代表) 
⑤軍事化が進む日本の宇宙政策のもとで、何をなすべきか
         池内 了(総合研究大学院大学名誉教授)
⑥地上と天空の軍事基地の解体めざして
         J・ナラヤナ・ラオ(インド、GN理事)     
休憩 10分
全体討論: (60分)
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