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アインシュタインは社会主義者だった [メディア・出版・アート]

「科学・社会・人間」*の9月10日付けの最新号に,アインシュタインの「何故社会主義か」と題する1949年のエッセイの日本語訳が掲載された.
 (原文はこちら.http://www.monthlyreview.org/598einst.htm

 1905年のアインシュタインの五つの画期的論文から百周年に当たる今年は、国連総会で「世界物理年」とされ、各地で記念行事が繰り広げられている.しかしアインシュタインにあやかるなら,その重要な「社会貢献」にも触れなければ「歴史の偽造」になりかねない.それは,ルーズベルト大統領に原爆製造を進言した手紙,逆に原爆の廃棄を世界に訴えた「ラッセル・アインシュタイン宣言」**である.特に,今年は後者の五十周年という切りのいい年に当たっており,記念するにふさわしい年回りでもある.ところが「世界物理年」の諸行事はほとんどこれを取り上げていないようだ*3.

 上と同じような前書きで,勝木渥氏(元信州大学教授)が表記のアインシュタインのエッセイを紹介している.1949年の,アメリカの左翼月刊誌「マンスリー・レビュー」の創刊号に掲載されたものだが,一読して,全く古くないどころか,昨日書かれた評論と思ってもいいくらいのものだ.資本主義の問題点と,社会主義の必要性が論じられているが,同時に,社会主義が官僚独裁に転化する危険に言及し,それを防止する方法論の探求が重要であることも述べている.これを述べた,最後から2番目のパラグラフを引用する.生産手段の社会化と計画経済の導入の必要性が述べられた後,次のように続く.

 とはいっても,計画経済が社会主義ではないことを思い出す必要がある.計画経済は,個人の完全な奴隷化を伴うかも知れない.社会主義を実現するためには,非常に難しい社会 −政治的な問題を解決しなければならない.政治的・経済的な権力の極端な中央集中を考えて,官僚がすべての権力を収めて独善的になるのを防ぐことができるのか.個人の権利をいかに守り,それによって官僚の権力に対する民主的なバランスを保つことができるか.

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 このエッセイで古い点があるとすれば,計画経済に重点が置かれ,市場メカニズムの重要性が無視されていることだろう.今日,「市場原理主義」に反対する左翼であっても,市場メカニズムそのものの重要性,不可欠性について,これを否定する人はほとんどいないだろう.ここにアインシュタインの懸念に対する答えの一部が,もちろんごく一部だが,あるかも知れない.

(新刊記事なので全文転載の許可は得にくいと思います.もう少し引用を追加するつもりです.)
→すでに全文転載しています.何故社会主義か
転載案内のブログ記事:アインシュタインのエッセイ「何故社会主義か」の全文を転載 =====================================================
* 「科学・社会・人間」事務局は法政大学工学部機械工学科の井野博満氏.
  http://www.k.hosei.ac.jp/ceng/hp/me/
** 原文 http://www.pugwash.org/about/manifesto.htm
 日本語訳 http://archive.hp.infoseek.co.jp/1955RusselEinstein.html
*3 「世界物理年」行事ではないが,筆者らは「ストーンウオーク」のささやかな集会にこれを冠し,佐賀大学の学長がこれに言及したメッセージを寄せた.


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コメント 2

東芝弘明

TB、ありがとうございました。貴重なエッセイの紹介、嬉しく思います。アインシュタインが、ここまで社会主義に対して自覚して論評していることを知りませんでした。
現実にソ連という存在がある中で、官僚主義に対してこれだけの認識を示していたことは、貴重だと思います。計画経済=社会主義でないというのは、卓見だと思います。
「個人の権利をいかに守り」という点は、社会主義には市民的自由が不可欠だという認識につながるものです。ソ連社会が、市民的自由という点で大きな問題を抱えているという認識が、アインシュタインにはあったと思われます。
by 東芝弘明 (2006-06-27 11:33) 

yamamoto

メディア論も,翌日の記事に書きましたように本質を突いていて,今の状況にもそっくり当てはまります.日本語訳の全文をなんとか掲載するようにしたいと思います.
by yamamoto (2006-06-27 21:36) 

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