SSブログ

99年の戦闘機破壊行動の文章をアップロード [反核・平和]

先日の記事で映画「ロード・オブ・ウオー」を取り上げたが,見た人はこの映画の鋭さに感心しつつも,同時に無力感も抱いたのではないだろうか.そのような人には是非とも岩波の雑誌「世界」の99年11月号に掲載された文章を読んでいただきたい.
「地球市民の責任
 東チモールとプラウシェアの平和運動」

映画の記事でもちょっと触れたが,10年前に,イギリスからインドネシアに輸出される予定のジェット戦闘機を,4人の女性が機体をハンマーで破壊して輸出を止めたのである.なぜならこれが東チモールの住民殺戮に使われることが明かだったからだ.さらにイギリスの裁判所は彼女らを無罪としたのである.この事件のリーダーのアンジー・ゼルターさんの文章である.

さわりの一節をコピーする.国内,国際法によって堂々と自らの行為の正当性を述べている.

 警察や検察が何と言おうと、私たちには法律上の抗弁があることを知っていました。私たちは刑法典第三条 −−「何人も犯罪を予防する上で状況の中で合理的な有形力を行使しうるものとする」を有効に利用しました。公判後私たちの弁護人ヴェラ・ベイヤードは、私たちの無罪は「不当な評決」ではないと説明してくれました。この言葉は、私たちが無罪を勝ちとるのが難しいと見ていた報道関係者によってしばしば使われていたのです。ヴェラの説明によると「不当な評決ではありませんでした。法律的に間違いでもなく、証拠の示すところに反してもいませんでした。兵器として使用不能にされたホーク機は一月に引き渡されることになっていた四機のうち最初の一機でした。無事だった三機はインドネシア空軍のバンドン戦隊に送られました。公判での証拠によれば、これは反乱鎮圧作戦にもっとも貢献した戦隊でした。この作戦は武装、非武装に関係なく東チモールの民衆を抹殺するものであり、この戦隊はその作戦の中心にいたのです。要するに新しいブリティッシュ・エアロスペ−ス製のホーク機は、東チモールを空から攻撃する先鋒部隊に送られていたのでした。彼女たちは、目前に迫ったこの飛行機の引き渡しを阻止する手段は、物理的妨害より他になかったということを示すことができました。本件の証拠によれば、イギリス法および国際法のもとでの犯罪は差し迫ったものであり、そして犯罪は阻止されたことが示されました。」

 このような直接行動は,長期の投獄を覚悟しなければならず,だれでも出来るというわけではない.しかしこのような勇敢な人たちを支援することならだれでも出来る.(もっとも,昨日の国会演説で「志士は溝壑(こうがく)に在るを忘れず」という吉田松陰の言葉を引用して,死をも恐れないとする小泉首相にとっては,長期の投獄などなんでもないことなのだろうが.)

 実は,岩波との間でアンジーさんのこの文章を仲介しているその最中に,ゴイル湖の非武器化が起こったのである.それで「ゴイル湖の平和運動家を支援する会」を結成することになった.
[以下22日8時追記] その辺の事情をあるミニコミ紙に「『非暴力直接行動』とのであい」というタイトルで書いた.

 昨日来,東チモールの大統領が国連に出した報告についてのニュースが流れているが*,その中でインドネシア支配の24年間に10万人以上が犠牲になったと述べている.10年前に,現地の住民に呼応して,地球の反対側で虐殺の道具を止めたという勇気ある人々がいたということはもっと多くの人に知られていい.この「世界」の文章は凄い内容を持っているだけでなく,感動的でもある.しかしこれを読んだ人は千人もいるだろうか.歴史の本棚に埋もれさせるのではなく,大手メディアが発掘して,大きく報道しなおすに値する事件だと思う.必ずや多くの人の心を動かし,平和運動への「理論武装」をも提供するだろう.それになんと言っても血沸き肉踊る冒険活劇でもあるのだ.そしてその日は10年前の1月29日,まもなくその10周年の記念日が来る.

インドネシアに輸出される予定のジェット戦闘機を破壊した四人.左から3番目がアンジー・ゼルター.( http://www.plowsharesactions.org/webpages/weba.htm から)
_______________
* 例えば次のBBCの記事
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/4630122.stm


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0