SSブログ

原爆開発史,新資料の発掘ーNHKのBS1スペシャル [メディア・出版・アート]

8/14 末尾にコメントコメントを追記.またリンク追加しました.
1401577.gif再放送は8月18日(土) 午後1:00~午後2:50.
--------
NHK-BSで8月12日に放送された「BS1スペシャル▽“悪魔の兵器”はこうして誕生した~原爆 科学者たちの心の闇」,新しい発掘があり,見応えがありました.再放送をリクエストしました.
http://www4.nhk.or.jp/bs1sp/x/2018-08-12/11/3063/2409343/

対ドイツではもちろんなく,戦争に勝つためでもなく,それ自体が目的になってしまった原爆開発,ということがよく分かります.「科学行政官」とも言うべきヴァーネヴァー・ブッシュに焦点を当てたのも新しいと思います.

ドイツが原爆開発を放棄したことが分かった後もプロジェクトを抜ける「米国の」科学者は一人もいなかった,とのナレーションですが,ロートブラットが抜けたと言う事実に触れなかったのは不満です.確かに彼は米国の科学者ではありませんが,もちろん米国人かどうかが重要と言うわけではありません.

以下,TV画面のクリップ22枚です.画面の字幕も転載しています.
----------

(V.ブッシュ)多くの人は 原爆の開発計画は大統領や軍の最高幹部らが主導し 決定したと思っているだろう。だがそのようなことは起こらなかったし、起こるはずがなかった。現実は 科学者が物理学を説明しても無駄だったし 大統領も軍も多くを理解していなかったのだ。
DSC_2780.JPG(ダイソン)オッペンハイマーはグローブスや陸軍と手を組み、原爆を作るためのばく大な資金と非常に多くの人材を手にした。それは間違いなく悪魔に魂を売り引き換えに力を得る ファウスト的契約の典型だった。オッペンハイマーは完全に目がくらみ この兵器を創り上げるという 非常に激烈な情熱になった。
(左はイギリスの物理学者フリーマン・ダイソン,右はオッペンハイマー)
DSC_2769.JPGDSC_2770.jpg

ブッシュは戦時中の科学部門においての目と耳だった。
DSC_2782.JPGDSC_2785.JPG

ブッシュには議会や委員会の許可は必要なく 新しい組織を作る時はルーズベルトからただ「OK」をもらうだけだった。
DSC_2786.JPGDSC_2793.JPG
(上右,下左)科学は病気をなくし生活水準を向上させているのに物理科学への資金援助は大幅にカットされ・・・ 戦争に貢献し科学者の地位を上げる。どんな手を使ってでも武器を軍に与えなくてはならない。もっと強力な爆弾を造りあげて他人の頭上に落とすのも悪いことではない。
(下右)ブッシュは科学者が作った兵器で国の安全を守れれば この先研究資金に困らないと気が付いた。
DSC_2794.JPGDSC_2798.JPG

(左)そうだね 戦争が終わってしまえば 原爆の開発も我々の手でできなくなるだろうね。
(右)ドイツの研究は学術レベルにとどまり アメリカの巨大な規模に及ばなかった。彼らは 脅威がないとわかるまで 幽霊を追いかけていたのだ。
DSC_2803.JPGDSC_2806.JPG

(左)私たちは開発を続けるべきかやめるべきか議論した。
(右)世界が恐ろしい爆弾を目の当たりにすれば 戦争という選択肢を捨てるに違いない。そうすれば平和の秩序が守られるはずだ。原爆の存在を世界に示すためにも 戦争が終わるまでになんとしても完成させなければならない。
DSC_2810.JPGDSC_2814.JPG

(左)ロイ・グラウバー:私たちの多くが爆弾を作ることに疑念を抱きましたが 軍事的なプロジェクトにおいてそれを表明するすべはなかった。仮に誰かが口にすればその人は ロスアラモスから放り出されるだろう。恐ろしい未来がわかっていながら 現状に甘んじて何も変えようとしなかった。
(右)完成した原爆で実験の成功を見せても アメリカの大衆がその意義を十分に理解することはない。原爆を投下することが人々の意識に十分な影響を与える唯一の方法である。
DSC_2821.JPGDSC_2832.JPG

(左)最も望ましい目標は 多数の労働者を雇用し かつ労働者の住宅にぎっしりと囲われた軍需工場だろう。
(右)私をはじめとした国家のトップに科学者は巨大な権力を持っていた。大統領が決めたことのほとんどは 様々な科学者が集まり決めたことだった。
DSC_2851.JPGDSC_2854.JPG

(左,フランク報告)アメリカが無差別破壊の新兵器を 人類の頭上に最初に投下するならば全世界の人々の支持を失うだろう。
(右)科学者たちは誰一人として守秘義務を破らなかった。当時はエドワード・スノーデンのような人はいなかったのだ。原爆使用は間違いだと言いながら 外に向けて話すことはなかった。彼ら自身にも強い気持ちはなかった。これは重要なポイントだと思う。
DSC_2867.JPGDSC_2873.JPG

(左)私たちの最初の反応は満足感だった。「今それがなされたのだ。長年私たちが携わってきた仕事が戦争に貢献したのだ。」2つ目の反応は言うまでもなく ある種のショックと恐怖だった。なんてことをしてしまったのだろう。
(右)突然多くの人が殺されたという恐怖が沸き上がってきた。なぜか そのときまで被害にあう人々のことを考えていなかった。実際の写真を見るまでもなく 本当にむごたらしい気持ちになった。それでも最初に頭をよぎったのはうまくいって良かった だった。
DSC_2885.JPGDSC_2887.JPG

レイセオン ー ブッシュが設立した会社。
DSC_2899.JPG
------
8/14追記:蛇足ながら,上の,パスカル・ザッカリー教授の「科学者たちは誰一人として守秘義務を破らなかった.当時はエドワード・スノーデンのような人はいなかったのだ」と言うコメントはそのまま,この素晴らしい番組を作った現在のNHKの,特に政治部にも跳ね返って来るだろう.現在のNHKのニュースの酷さは目を覆うばかりだ.放送法やNHK自身の国内番組基準に対する違反が日常的と想像せざるを得ない.もしそうでなければ,彼らは判断力も教養もない人ばかり,と言うことになる.このドキュメンタリーを作った社会部(?)は,NHK自身を対象にしてはどうか.番組のタイトルは,「歪曲 記者たちの心の闇」でいいだろう.
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント