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もんじゅ廃炉の意味とその隠蔽 [仕事とその周辺]

1401577.gif翌21日の同番組は,またいい加減な説明.末尾に追記.
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fuelcylce03.gif政府は今日(9/20)夕方,高速増殖炉「もんじゅ」の今後の取り扱いについて関係閣僚会議を開くとのことである.昨日のテレビ報道,そして今日の新聞でも「廃炉」の言葉が出ている.応援のクリック歓迎

これは事実上「高速増殖炉」計画をあきらめる,つまりプルトニウム量産をあきらめるということで,ウランの資源量の評価を大きく変える問題である.つまり,今後原発を続けるとしても天然ウランの0.7%を占めるに過ぎないウラン235しか使用できず,残りの99%以上のウラン238はあきらめる,つまり資源量が100分の1になるということである.(→関連記事原発容認派に届く言葉参照.右の図は原子力百科事典から.末尾参照)

ところが,昨夜の報道ステーションの後藤コメントは,このような本質を意図的に隠すものだった.

さわりの部分
後藤:そしてこのもんじゅなんですが,これまで政府判断の最大のポイントと言うのは,核燃料サイクル政策というものがありますけれども,これにとって,もんじゅが不可欠なものかどうか,そこが判断の基準になっているんですね.

富川:核燃料サイクルというのは,使用済み核燃料を再処理することによってまた使えるようにするというサイクルのことですね.

後藤:はい.つまり,もんじゅを欠いても,今後もその政策を維持できるということがあったんで,今度は廃炉の方向で決めましょうということなんですね.政府が目指しているのは,政府の原子力政策全体の安全性をどう国民に訴えるかと言うことなんですが,このもんじゅというのは,その意味では,ある面で,政府の原子力政策の,その不信の原点みたいなものがあるわけですね.これを廃炉にすることによって,より原子炉の安全性を訴えようということなんですが,・・・
このように,資源問題には全く触れず,「不信を取り除く」問題にすり替えている.
あらためて録画からの書き起こし全文は以下のとおり.
富川:より安心な未来のために,このように夢の原子炉と言われていたのも今は昔.高速増殖炉もんじゅを廃炉にする方針も.

ナレーション:高速増殖炉もんじゅについて,政府が明日夕方,原子力関係閣僚会議を開き,廃炉も視野に今後の方針を議論することが分かりました.
菅官房長官:関係閣僚会議での議論の結果を踏まえながら,地元自治体のご意見もよくうかがって,最終的にはその対応を決していく

ナレーション:もんじゅにはこれまで1兆円以上が投じられましたが,トラブル続きでほとんど運転していません.それでも年間およそ200億円の維持管理費がかかっています.
経済産業省などで廃炉にすべきという声が強まっていますが,もんじゅを所管し研究開発を続けたい文部科学省や地元の福井県などには存続を望む声も根強く,調整は難航しています.
26日からの臨時国会を前に,明日の閣僚会議では,閣僚間の見解を統一する必要もあるものと見られます.

富川:これは廃炉に向けて動き出したと言う認識でいいんですか?

後藤:そうですね.明日の関係閣僚会議ですけれども,政府関係者によると,廃炉も含めて検討する,ということで集約するようなんですね.この廃炉という言葉を,このもんじゅについて使うのは,政府の正式会議では初めてなんですね.つまり,廃炉の方向性を示すというのが明日の関係閣僚会議の意味だと思っていいですね.

富川:そこがポイントということですね.

後藤:そしてこのもんじゅなんですが,これまで政府判断の最大のポイントと言うのは,核燃料サイクル政策というものがありますけれども,これにとって,もんじゅが不可欠なものかどうか,そこが判断の基準になっているんですね.

富川:核燃料サイクルというのは,使用済み核燃料を再処理することによってまた使えるようにするというサイクルのことですね.

後藤:はい.つまり,もんじゅを欠いても,今後もその政策を維持できるということがあったんで,今度は廃炉の方向で決めましょうということなんですね.政府が目指しているのは,政府の原子力政策全体の安全性をどう国民に訴えるかと言うことなんですが,このもんじゅというのは,その意味では,ある面で,政府の原子力政策の,その不信の原点みたいなものがあるわけですね.これを廃炉にすることによって,より原子炉の安全性を訴えようということなんですが,これまでこのもんじゅに投入された莫大な税金,そして責任の所在がいっこうに明らかになっていない,そういう総括なしでは,これ以上行けるんですかという問いかけは必ず必要なんですね.ですからこの問題はまだまだ尾を引くだろうし,この結論が出たんで,はい,これでおしまいですよ,という訳にはいかないんだと思うんですね.

富川:ゴミの問題とかもありますしね.

後藤:はい.
資源量が100分の1になるという意味については,「原子力百科事典ATOMICA」の「核燃料リサイクルの概要」の項を参照いただきたい.このサイトはRIST (一般財団法人 高度情報科学技術研究機構)が運営しており,この評議員には元原子力産業協会常務理事,原子力エンジニアリング株式会社社長,富士通幹部などが就いているので,どちらかと言えば原子力推進派の団体と言ってよい.
以下,「核燃料リサイクルの概要」から関連部分を引用.
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=04-01-01-01
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/04/04010101/03.gif
軽水炉サイクルでは、再処理により分離・回収されたプルトニウムは、ウランと混ぜて混合酸化物燃料(MOX燃料)に加工し、現在のわが国で利用されている軽水炉の燃料として使用することができる。この方式をプルサーマルと呼んでいる。
・・・
軽水炉サイクルでは、ウランの利用効率がリサイクルを行わない直接処分に比べて、理想的な場合、5割程度向上する(同じ発電量に対して天然ウランの必要量が数割減少する)と試算されている。
・・・
高速増殖炉の内部では、燃焼(核分裂)に利用されるプルトニウムの量よりもウラン-238が中性子を吸収して新しく生まれるプルトニウムの量が多いことから、消費したプルトニウム以上のプルトニウムを回収することができる。このため高速増殖炉サイクルでは、ウランの利用効率が理論的には60%程度となり、プルトニウムを利用しない直接処分の場合に比べて100倍以上と飛躍的に利用効率を高めることが可能である。
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翌21日の同番組は,またいい加減な説明をしていた.昨日のコメントが「もんじゅを欠いても,今後もその政策(核燃料サイクル)を維持できる」というデタラメなものだったが,今日は一転,高速増殖炉サイクルは「半永久的」にエネルギーを生み出せるもの,と言っていた.これではまるで永久機関.番組スタッフに理系の人はひとりもいないのだろうか?
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このブログ記事の趣旨を簡潔に要約してこの番組の意見欄に投稿しました.
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/opinion/index.html
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