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被害住民を「放射線従事者」扱いする政府 [社会]

朝日130629.jpg6月29日の朝日1面に,「被曝量 自己管理を提案」の大きな見出しで,除染目標が達成出来なくても打ち切るとする政府説明会の内容を報じている.
「線量計を配るので,自分で年1ミリを超えないよう自己責任でやれ」というのだ.まるで住民を「放射線従事者」扱い.なぜ被害を受けた人々がこんな扱いを受けなければならないのか.しかも,たとえ放射線従事者であっても被曝管理は施設の管理者によって行われる.「自己管理」など聞いたことがない.通常の健康管理とは違うのだ.応援のクリック歓迎

同紙面(東京版)の3ページには政府職員と住民とのやり取りが載っている.住民が「うちは0.36マイクロ.住んで大丈夫か」との問いに,内閣府職員は「私は大丈夫と思う.20ミリ以下が一つの考え方」と答えている.しかしこの「年間20ミリシーベルト」というのは一体どういう値なのか.

政府系のサイト「原子力百科事典ATOMICA」の線量限度の項目を見てみよう.
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-04-02-13
その,「一般公衆に対する線量限度」の項目には20ミリなどという数字はなく,これが出てくるのは「職業人に対する線量限度」のところである.その部分を全文引用する.
放射線作業者が生涯連続に被ばくしたとき、放射線により誘発されると考えられるがんによる死亡確率、その死亡による寿命損失及び18歳における平均余命損失を調べ、死亡確率について5%、平均余命損失0.5年及びリスクが年齢的に高くなってきた65歳における年間死亡確率10-3(すなわち、千分の1)を容認できるリスクと容認できないリスクの境界付近にあるとした。これに対応する年線量は20mSvであるので、ICRPは、いかなる1年間にも実効線量は50mSvを超えるべきでないという付加条件つきで、5年間の平均値が年あたり20mSv(5年間に100mSv)という実効線量限度を勧告した。
つまり,職業人の健康リスクの妥協点として(安全値ではない)年20ミリという数字が言われているのである.いったい何のいわれがあって原発事故の被害者が「放射線作業者」扱いされなければならないのか?理由はただ一つ,事故を起こした東電とその原因を作った政府とを免罪するためである.デタラメさも極まる.

また,上記引用部分のタイトルに「ICRP1990年勧告における線量限度」とあるように,すべてICRPの基準である.そしてこの基準自体も緩すぎる,楽観的すぎるとの批判にさらされている.
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