学会発表なら自由だが・・・

福島，いわき氏の親御さんから届いた14日のメールの一部を紹介します．長崎市民への訴えです．

長崎県民の力で即刻、山下氏と部下を長崎県に幽閉して下さると福島県民の被ばく者も少なくなると思います。このまま放置しておくと福島の人達は、長崎と聞くだけで憎悪の感情を向ける人も出てきてしまうと思います。

間違いは政府であり、福島県の知事ではありますが山下氏は行く先々で、長崎は広島はと原爆の話をして嘘を言い続けていますので長崎県と広島県のイメージがとても傷付けられています。こうした事も是非、長崎県民と広島県民の方にお伝え頂ければと思います。

関連して，「反戦情報」というミニコミ誌に投稿した拙文の一部を転載します．（トップ記事は，九大副学長・吉岡斉さんの長文記事の２回目です．）2019/8/28リンク修正→全文転載，同PDF

家人が見たテレビによると，ある自治体の首長（市長？）が移動の道すがら，校庭で生徒が腕立て伏せをさせられている光景を見て，「土埃を吸い込んでの内部被ばくが心配だ」と語っていたと言う．このような状況は，「福島県放射線健康リスク管理アドバイザー」なる山下俊一という人物（長崎大学）によってもたらされている．この男は福島県内各地で講演しているが，「福島における放射線による危害はない」「ミリシーベルト毎時になるまで心配要らない」など，とんでもないことを言いふらしているようだ．「ようだ」というのは，この二つの言葉を私自身で講演録やビデオを確認したわけではなく，著者の同定が出来ないブログ情報[3]によるものだからだが，私自身，彼がテレビで 100ミリシーベルト以下では健康への影響は「全くない」と言い切ったのを記憶している．低線量域での線量—効果関係については議論があるものの，それどころではない高い数値だ．まさにハーメルンならぬ「フクシマの笛吹き男」だ．しかも連れて行くのは子どもだけではない．

どのような説でも学会発表するのは自由だが，実社会に適用するとなるとそうは行かない．上記のような放射線リスクのとらえ方は，この国の放射線管理の基本となっている国際放射線防護委員会（ICRP）の立場，すなわち「閾値なし，かつ線量と効果は比例」という定説と真っ向から対立するものだ．このような人物を任命した福島県知事の責任は重大だ．もしこの人事を正当とするのなら，国内の放射線防護の体系を根本から変えなければならない．そうでない限り山下氏の言葉は「公的流言飛語」と言わなければならない．今や「放射線の健康影響」は，一般人にとってさえ必須の常識になってしまったのだから，知識人も，どんな分野であれこのような言動に無関心であってはならないと思う．
[3] http://ameblo.jp/study2007/entry-10870948936.html

放射線規制制度の「反体制派」が公的地位にあるのを放置していいのか？

コメント 3

山下俊一氏はまともです。
いわき氏の親御さんのメール内容は、まともどころか狂気の沙汰ですが。

100ミリシーベルト以下では健康への影響は「全くない」、というのは既存の疫学の知見で裏付けられていることです。

リスク係数の仮定と健康影響の現実は別なので。

ICRPも「リスク係数で直線モデル・閾値なしを仮定する」とは言ってるけど。
「100ミリシーベルト以下でも現実に健康影響あり」とは言ってないので。

仮定と現実をごちゃ混ぜにして「100ミリシーベルト以下でも現実に健康影響あり」みたいなことを言う方が、嘘というか、とんでもないことを言いふらしていることになりますよ。
by latter_autumn (2011-05-17 20:20) 

>「100ミリシーベルト以下でも現実に健康影響あり」とは言ってないので。

問題は，健康影響「ない」と言っているかどうかです．
by yamamoto (2011-05-17 20:54) 

公衆に対する放射線防護に関わる法律はすでにあると思うわけですが、その法規範に何ひとつ触れないで、安全だとか主張する人は、法にもとづいて社会生活している公衆に対していかなる責任もとる覚悟はおありか。
確信をもって100ｍｍシーベルトでも問題なしというならば、日本の法と世界の放射線防護の基準を「誤り」として、文句のひとつも言ってきたことがあるのか。世界基準1ｍｍシーベルトを変える根性はおありか。


by サンチョ (2011-06-23 20:38)