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社会的不当労働行為? JAL組合のスト中止 [社会]

2010121215_02_1.jpg日航の客室乗務員の組合「キャビンクルーユニオン」は,会社側の整理解雇撤回を求めてクリスマス・ストライキを計画していましたが,中止となったようです.要求が認められたのでもないのに中止とは,ユニオンにとって非常に歯がゆい決断だったことでしょう.おそらく,ストを決行した場合のメディアによるバッシングと(これは「専門家」や「街の声」という演出で表現されます),それに影響されやすい世論を危惧してのことではないかと思われます.(会社側のあまりの理不尽さに,さすがにILOが介入するようですが,争議行為も含め本来はまず当事者間で解決するべきものだったのではないでしょうか.)
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解雇という労働者にとっての最大かつ究極の「不利益変更」に対する抵抗としてさえ,ストライキが社会的に許容されない,されにくいという風潮は全く異常なものです.「社会的不当労働行為」とでも言うべきでしょうか.もちろん「不当労働行為」とは会社側の労働組合に対する行為に関するもので,第三者には当てはまりません.しかしそうとでも言わなければ,労働組合や労働運動に対する日本社会の異常な風当たりは表現できないような気がします.

国立大学の教職員もこの2年来,賃下げという「不利益変更」にさらされています.首切り撤回を求める闘争に比べればずっと深刻の度合いが低い分,闘ってかりに負けても「ダメモト」なので,JAL組合のケースに比べ,ストで闘うにはより取り組みやすい「演習問題」だったと思われます.しかし大学の組合はあまりにも「賢く」,「世間の風当たり」をおもんぱかり,組合の文書には「スト」の文字さえ現れませんでした.「賃下げ阻止」は言葉だけで,実際は初めから「代償措置狙い」の交渉だけが行われたのです.

「賃金問題だから重大ではない」とは決して言えません.法的根拠も何もない,「非公務員」である国立大学職員の「人勧賃下げ」に,「世間の空気」を忖度して抵抗しないということは,他の理不尽な事態に対しても同じことを繰り返すための訓練なのです.ファシズムが鎌首をもたげたときに,やはり「世間の空気」を配慮して賢く沈黙することになるでしょう.

【付録】国公立大学の教職員組合の全国組織「全国大学高専教職員組合」の月刊紙「全大教」*12月号に掲載された短文です.
本紙10月号は労働セミナーでの和田肇氏の話を紹介し,組合の最重要機能は労働条件改善で,その第一は賃金だとする.ところがこのかん組合は賃金の改善どころか賃下げさえ止められない.和田氏は人勧口実の賃下げに対しては「熾烈な闘いになるだろう」と結んでおり,「熾烈」であればストも当然頭にあるだろう.他方,全大教の文書には「スト」の言葉さえ見られない.これでは次の11月号紙面トップのスローガン**もタテマエとしか受け取られない.
* バックナンバーの1ページ目だけは公開されています.次は10月号.
http://zendaikyo.or.jp/katudou/sinbun/2010/256.pdf
** 「11月号紙面トップのスローガン」は次のとおりです.
2年連続の大幅な賃金の不利益変更 —教職員の声と団体交渉でストップを—
http://zendaikyo.or.jp/katudou/sinbun/2010/257.pdf
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