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参議院本会議はスタンプ押しのためだけにあるのか? [憲法・教育基本法]

本会議はスタンプ押しのためだけにあるのか?
  ーー原則の問題と予測との混同ーー

改憲促進法ともいうべき法案を参院の特別委員会が議決し,月曜の本会議にかけられる見通しだ.この段階で新聞などは「14日に成立」と断定する見出しを掲げている.しかしこれは予想と原則とを混同した表現であり(この程度の予想ならだれでもできる),特別委員会のメンバーでない大多数の議員の意思を無視するものだ.昨日の議決は,参議院の一部のメンバーで構成された会議でのものに過ぎない.大多数のメンバーの意見は本会議で表明される.

たしかに「党議拘束」が作用して会派の数どおりの票数が出ると予想されるが,党議拘束は党内の問題であって法律ではない.与党であれ野党であれ,議員個人はより重要な規範である憲法に,特にその99条に縛られる.議題とされる国民投票法案が憲法にかなうものかどうか,議員個々人が独立して判断する責任を負っている.つまり議員個人の規範意識が試される.「党議拘束だからやむを得なかった」という言い訳は通用しない.この自覚を促すためのファクスやメールは大いに意味のあることだと思う.

最後のどんでん返しが可能とすれば,安倍首相にまつわる重大なスキャンダルの暴露だろう.メディアにはそのようなネタはいくつかあるに違いない.気骨のあるメディア人はそれを使ってもらいたい.しんぶん赤旗はそのような材料は持っていないのだろうか?

今度の一件ではアカデミズムの腑甲斐なさも目立つ.このひどい法案に対して何らかの意見を表明した大学の法学部や学部長など,大学の機関はあるだろうか?ユネスコの高等教育世界宣言「21世紀の高等教育 展望と行動」*の2条b項とc項を読み直すべきではないか.

ーーーーーーーーーーーーーー
* 全文は次にあります.
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/AGENDA21.htm
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/UniversityIssues/AGENDA21.htm
個人だけでなく「機関」に対しても,社会的発言などの責任を課していることに注意して下さい.また,「発言する機会を与えられ」るということは,その機会を生かす責任も付随すると思われます.

第二条 倫理的役割、自律、責任および期待される任務
・・・高等教育機関およびその職員と学生は、
(b)内省、理解、行動を促すために社会が必要とするある種の学術的権威を行使することによって、倫理的、文化的および社会的問題について完全に独立に、そしてその責任を十分に自覚して発言する機会を与えられ、
(c)予測、警告および防止に焦点を当てながら、発現する社会的、経済的、文化的および政治的傾向を継続的に分析することによって、批判的で進歩的な機能を強化し、
・・・なければならない

13日追記:しんぶん赤旗で,9日から(おそらくその前から)ずっと第一面にあったこの問題の記事が二面に移った.本会議を文字通り「本」会議とは考えないという習慣,既成事実の影響がここにも見られるのではないだろうか.「名目と実質との乖離」という問題にまで拡張すると,このような傾向は日本社会のあらゆるところに見られる.

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華氏451度

TBありがとうございました。よく考えてみれば言われる通りであり、「法案成立、では次の闘いは?」と先走った自分を恥じています。今日(零時過ぎたので昨夜というべきですか)、私も参議院議員にメールやFAXを送りました。ほんとうは電話をかけるのが一番よいのだと言われる方もありますが、電話はかけられる時間帯が限られていますし、手間がかかって、仕事の合間には少々荷が重い。手っ取り早くということで、私は基本的にメールを使い、アドレスが公表されていない場合や、自分にやや余裕のある場合だけFAXを使っています。
by 華氏451度 (2007-05-14 01:13) 

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