SSブログ

「ガイヤの夜明け」が林業問題を扱ったが・・・ [社会]

3月19日の記事に書いたように,私は200分の1程度の「パート」ながら,いちおう林業従事者なので,今夜放送されたテレビ東京の「ガイヤの夜明け」を興味深く見た.タイトルは「森が泣いている〜日本林業を復興せよ〜」である.
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview060404.html

テーマはひとことで言えば,「儲かる林業で日本の森を守れ」ということだ.そのために,「産直」など林業への「新しいビジネスモデル」の導入,森林組合の役割,「ハイブリッド木材」という新製品による販路開拓という,3つのエピソードが紹介される.

林業問題を考えるとき避けて通れないのが「輸入木材」のことだ.当然これも番組で取り上げられていた.すぐに予想するのは「南」の国からの輸入の問題だが,意外にも番組ではアラスカの原生林が無惨に伐採されている様子が紹介された.「先進国」アメリカで,東南アジアなどで起きているような事態があるとは驚きだ.

しかし番組では,日本で「儲かる林業」をやって国内材が売れれば,アラスカの原生林を守ることが出来る,という論理だけが展開される.もちろん企業的努力は重要だが,それだけで日本の林業が再生できるのだろうか.つまり「グローバル化」をそのままにしておいて,「ハイブリッド木材」など新製品の開発や「産直」だけで,全体としての日本の林業が成り立つのだろうか.一部の「勝ち組」だけでなく,すべての「森が泣」かないように出来るのだろうか.

実際に森で働いてみると分かるが,機械化や省力化がほとんど出来ないのが営林である.間伐をした木にしても,林道から数十メートルの範囲ならともかく,ほとんどのものは運び出すコストの方が売価を上回るので,間伐「材」になることもなく現場で朽ちるのみである.また,植林してから材木になるまで数十年もの時間を要するので,短期的な経済ルールにはマッチしない.アラスカの原生林で見られるような,ブルドーザーなど重機で森全体を破壊していくような「ビジネスモデル」に太刀打ちできるような「ビジネスモデル」が存在するとも思えない.

「グローバル化」そのものの問題性に触れないところはやはり「日経」の限界だろうか.


nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(3) 
共通テーマ:テレビ

nice! 1

コメント 2

森村豊

ガイヤの夜明け、は見ていませんが、今、木材価格が下落して、本当に林業は大変と思います。私は主にパルプ材を刈りだしていますが、昔は炭をつくっていた山がどんどん茂って樫や椎等の大木となり、そんな木も切り出したりもします。パルプになるのがもったいない木もけっこうあります。そして伐採は切り子とよばれるきこりさんが木を切り倒します。木の倒れる方向は決まっていないので常に木の倒れる方向を確認してチェーンソウを入れます。山仕事にはけがはつきものであり、この仕事をしてパルプ=紙の大切さを認識させられました。紙は危険な伐採労働から生まれていくのです。
危険といえば原発、再処理工場稼動ですが、この方面は子々孫々におよぶ、目に見えないものです。こんな危険なものに頼る社会でなく、もっと自然のエネルギーを生かし、また紙にしても資源を大切にする社会となるようにしたいものです。
テレビにこのような報道が極めて少なく、巨大スポンサーや国家権力に迎合するようなものばかりです。ITがマスコミに変わる情報の交換に役立ってほしいと願います。
by 森村豊 (2006-04-09 12:27) 

yamamoto

国内でもパルプ材を切り出しているのですね.輸入ばかりかと思っていました.コメントありがとうございました.
by yamamoto (2006-04-10 16:36) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 3