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ドーア教授:社民党と共産党だけが『基本的問題意識』を選挙で見せた [メディア・出版・アート]

今日の西日本新聞に,ロンドン大学のR.ドーア教授の選挙評が載っている.17日の,テレビドラマ評のついでにウォルフレンの選挙についての評論文を推薦・紹介したが,ドーア教授のこの文章もお薦めしたい.次のような出だしである.

 小泉首相が郵政民営化を選挙戦の唯一の焦点にすることに成功した.それ自体不思議だが,その戦術で三千万人以上の有権者をひきつけることができたことはなお不思議である.郵便局の貯金を持っていなくて,政府保証がはずされても平気な人ばかりなのか.それとも,普通の郵便屋さんの代わりにフリーターを使えば郵便料金が安くなると思ったのか.それとも,郵政であろうが,なんであろうが,とにかく自分のパッション(情熱)にいちずに執着して頑張る,不思議な政治家・小泉のカリスマ性に惚れたのか.
・・・・

「自民圧勝というより民主敗北」だとして,民主党の政党としてのまとまりのなさ,自民党との差異のなさをその理由として挙げている.ドイツの総選挙と比較して,ドイツでは公共サービスの重要性が各政党の共通認識としてあり,少子高齢化に対応してこれをどう守るかが重要な焦点だったが,このような「『基本的問題意識』を今度の日本の選挙で見せたのは,わずかに社民党と共産党だけだ」と述べ,「郵政」以外何も見えない日本の状況を批判している.

 そして,この2党が12%の支持を得ながら3%の議席しか取れない小選挙区制を批判し,また,マスコミにも,インテリの主流にも「見捨てられた」理由を,「観念的な共産・社会主義嫌いの名残だけだろうか」と問いかけている.

 しかしそれだけではなく,九条改正絶対反対にこだわったためであり,またこのために自民・民主のタカ派が望む形の改憲になってしまいそうだとして,両党を批判してもいる.

 最後の点は同意できないが,全体としては冷静で客観的な分析だと思う.ご一読をお薦めする.


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