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「ただちに健康に影響が出る値ではない」 [仕事とその周辺]

原発事故のニュースで「ただちに健康に影響が出る値ではない」という言葉が繰り返される.「ただちに」でなければ,いつ頃,ということになるが,これは,その後数年とか数十年で,確率的にガンが発生する,とされている.
この確率を表す「リスク係数」は,国際放射線防護委員会によると,1シーベルト・人あたり,生涯でのガン死亡が0.05とされている.次の表の右下の「500」いう数字だ.(ICRP,1990勧告,p.157.クリックで拡大します.)
tabB17.gif
たとえば,1ミリシーベルトを1万人が被曝すると,将来的に0.5人のガン死が追加される,ということになる.被ばく量は「線量率」(単位はシーベルト毎時)にその線量にさらされる時間を掛ける.
現在の,例えば東京の線量率は,マイクロシーベルト毎時のオーダーなので,これに24時間さらされると24マイクロシーベルト,これをかりに百万人が受けるとすると,ガン死の追加は1.2人ということになる.
このような数字を理解して,過大にも過小にも評価せず,自分なりに受け取って対処する必要がある.「影響がない」と断定することはむしろ不安を招くのではないか.
ただし,発表される線量率は外部からのガンマ線によるものが主なので,当然まわりに漂っている放射性物質(放射能)を,多かれ少なかれ体に取り込むことは避けられない.これは長いか短いかは別として,体の中にとどまって体の内側から被ばくを受け続けることになる.この見積もりには放射能の種類ごとの濃度のデータが必要で,難しい.
関連記事:ICRP2007報告書への疑問
1401577.gif後継記事:「ただちに健康に影響は出ない」レベルの健康影響を見るエクセルシート
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latter_autumn

何だかなあ。仮に人為活動に伴う放射線の被ばくがない場合でも、1万人が年をとっていけばそのうち3000人くらいはガンで死ぬ訳でしょう。
by latter_autumn (2011-03-18 18:08) 

うろこ

>3000人くらいはガンで死ぬ訳

だから何?
自然に病気になるのと、誰かに「病気にさせられる」のとでは違うことぐらい分かりませんか?
寿命で死ぬのと殺されるとは違うでしょ。分かりますよね?
「人はいつか死ぬんだ」って言って殺されてもあなた納得しますか?

…なんで、こんなレベルの低い説明しなきゃいけないの?
情けないわ…
by うろこ (2011-03-21 13:32) 

latter_autumn

たしかにうろこさんはレベルの低い人ですね。
科学的知識の裏付けなしに思い込みとフィーリングだけで反論しようというのだから。
疫学という学問があります。反論する前に勉強したらどうですかね。

理論的に「1ミリシーベルトを1万人が被曝すると,将来的に0.5人のガン死が追加される」ということは、「この程度では、被曝がない場合の自然のガン死の推定人数と比較して、リスクはほとんど変わらない」「二つの母集団の統計的ばらつきは非常に小さい(差はほとんどない)」ということです。

うろこさんにはレベルの高い説明で理解困難かもしれませんが。

誰かに「病気にさせられない」確率の方が圧倒的に高いのですよ。
by latter_autumn (2011-03-21 14:47) 

latter_autumn

http://mainichi.jp/select/science/news/20110320ddm013070043000c.html

「事故の現状では、発がんリスクの上昇を含め、一般の人たちの健康被害は皆無と言える」

同感です。
by latter_autumn (2011-03-21 15:43) 

null

この数字は、1 Svの被曝により、100人に5人死亡する可能性があると言う意味なのですが…。ご確認ください。
by null (2011-03-28 01:41) 

yamamoto

政府系サイトから引用します.
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-04-02-13
「一方、発がん及び遺伝的影響を指す確率的影響に関しては、その発生のしきい値が明確でない。そのため、どのような少ない被ばくでも線量に比例して影響が現れるとの安全側の仮定がとられ、その発生を社会的に容認できるレベルに制限することを意図して確率的影響に関して実効線量限度が定められている。」
つまり,「しきい値が明確でない」ので,1Svと言わずいかに少ない線量でも,大人数が被ばくすれば,「比例して影響」という考えです.つまり確率的に発ガンする人が出る,と言う意味です.
by yamamoto (2011-03-28 08:24) 

yamamoto

補足です.「1人に1Sv」というのは,一部の人に吐き気など急性症状が出るレベルです.確率的影響は,もっと少ないレベルを多数の人が被ばくした場合の効果のことです.ですから,高線量域と低線量域では,おなじ放射線でも「別もの」と考えた方がいいと思います.
by yamamoto (2011-03-28 12:08) 

mobanama

「安全側の仮定」と明記されている部分は無視ですか?
by mobanama (2011-04-07 11:57) 

yamamoto

3つ上のコメント,そしてこちらのエントリでその部分も含めております.
「低線量被ばくについての政府系サイトの説明」
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2011-04-01-1
by yamamoto (2011-04-07 14:46) 

ni0515

latter_autumn さんは、
60、70、80にジジババの立場でがん死を感覚なさっているようです。

平常時「全死者」の30%が「がん死者」です。
そしてその殆どの構成員は、60、70、80にジジババです。

しかし、60、70、80にジジババは、殆ど放射線感受性はありません。
感受性があるのは40代ぐらいまでです。
反対に、幼児、乳児は、30代40代の3~5倍の放射線感受性を持っています。

ということは何か?
普段はめったに死亡しない若い人たち、とくに乳児、幼児が、
原発事故では死亡率の上昇を担うということです。

ICRPのリスク係数に因れば、
100mSvの被曝は、0.5%のがん死リスク増を与えます。
30%のがん死を30.5%に上げるというわけです。

例えば小児がん※の死者は全国で毎年600~900人だそうです。
これは毎年の全死者約100万人に対する0.06~0.09%です。
ですから、小児がんの死者の絶対数が1+6~1+8倍になると、
それはがん死亡率上昇に0.5%貢献します。

※20歳未満で発病するがんのことを小児がんという

もちろん、死亡数増加のすべてが小児がんではないでしょうが、
放射線感受性を考えますと、
被曝時20歳未満の若い人の犠牲が、死亡リスクの過半を占めることは
用意に推定できます。

>仮に人為活動に伴う放射線の被ばくがない場合でも、1万人が年をとっていけばそのうち3000人くらいはガンで死ぬ訳でしょう。

「なんだかなあ。」は、失礼ながら latter_autumn さんの言葉に対してこそ相応しい感嘆符ではないでしょうか。

by ni0515 (2011-05-10 15:22) 

latter_autumn

>60、70、80にジジババは、
>殆ど放射線感受性はありません
>感受性があるのは40代ぐらい
>までです。

事実に反します。科学的根拠がない。

>普段はめったに死亡しない若い人
>たち、とくに乳児、幼児が、原発
>事故では死亡率の上昇を担うと
>いうことです

今回の事故で一般公衆の放射線障害を生じた事例はありません。もちろん乳児、幼児含めて。

>100mSvの被曝は

今回の事故で一般公衆がそんなに被ばくしたケースはありません。

>小児がんの死者の絶対数が1+6~
>1+8倍になると

今回の事故で乳児、幼児が被ばくして小児ガンになって死んだケースはありません。

>もちろん、死亡数増加のすべてが
>小児がんではないでしょうが

だから、今回の事故で一般公衆は誰も死んでませんし。
今後も被ばくによるガン増加が観測されることはありませんから。


by latter_autumn (2011-05-11 18:53) 

yamamoto

>今回の事故で一般公衆の放射線障害を生じた事例はありません。もちろん乳児、幼児含めて。

一例でも見つけて「ある」ということは難しくありませんが,「全くない」と断言するのは(「ありえない」というような推定ならともかく)大変ですよ.福島県だけでもご自身でくまなく調査されましたか?たいへんなご自信には驚嘆致します.

実際問題としては,今の段階ではおそらくないのかも知れません.つまり「ただちに健康に影響が出るレベルではない」というわけです.でも放射線障害についての現在の「常識」はICRPのLNT仮説とリスク係数ですから,将来の発ガンのリスクは有意にあるわけです.
福島大学の有志がサイトを作られました.そこに,放射線リスクに対する,楽観派,中間派,慎重派と,公平に紹介されていますので,参考になるかと思います.
http://fukugenken.e-contents.biz/

by yamamoto (2011-05-11 20:36) 

latter_autumn

>一例でも見つけて「ある」という
>ことは難しくありませんが

だから、今回の事故で一般公衆の放射線障害を生じたと主張するのであれば、その難しくないことをやればいいのです。一例でも見つけて「ある」と言えばいい。

しかるに見つけられないでしょ。一般公衆の放射線障害、乳児、幼児の放射線障害の例を。
一例でも見つけて「ある」ということが難しくないのなら、何故できないのか?

「見つけられないからと言って、ないということではないのだ」なんてのは、どっかで聞いたような台詞ですね。そうそう、イラク戦争の際の「フセインが隠してる大量破壊兵器」。

>将来の発ガンのリスクは有意にある

100mSv以上になれば、そう言えますけど。
今回の事故で一般公衆はそんなに被ばくしていない。

by latter_autumn (2011-05-12 17:32) 

yamamoto

ずいぶん時間が経ってのコメントですが,今朝数件アクセスがあったので書き込みます.
あの中川恵一氏が,ラドンガス吸入に関して「年0.4mSvでもガンの原因になる」という趣旨のWHO見解を肯定的に引用している新聞記事をご紹介します.毎日新聞2011年12月25日朝刊に掲載されたものです.オリジナルは一部を残して削除されていますが,あるサイトがコピーしています.
http://kodomo-kenkou.com/tabako/info/show/1056

さわりの部分を引用します.
ーーーーーー
このガスを吸い込むことによって、日本では年平均0・4ミリシーベルト程度の内部被ばくが起こっています。
・・・
世界保健機関(WHO)によると、肺がんの原因の3〜14%が、空気中のラドンの吸入による被ばくと言われます。たばこを吸わない人にとっては、ラドンが肺がんの原因のトップになります。
ーーーーーー
内部被ばくが核種によって異なるのは当然としても,低線量での影響はラドンガスに限る,とは言い切れないでしょう.また,元記事ではECRRに全く言及していませんが,2倍かそれ以上のリスク係数を出しています.
by yamamoto (2014-09-22 09:39) 

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