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地球市民集会,二日目の分科会から [反核・平和]

2日目,午前中は「『核の傘』を考える—核兵器に依存する非核保有国の責任」という分科会に出席した.他に分科会はないので,全体会のようなもので,原爆資料館ホールの席はほぼ埋まっていた.
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このセッションでは主に,非核地帯をどう広げていくかが語られた.ドイツのレギナ・ハーゲンさん(アボリション2000)は,ドイツの新政権が脱核兵器の方向に進んでいることを紹介した.韓国のイ・キホさん(ノーチラスARI)は,韓国,日本,中国,アメリカの間の姉妹都市関係の統計数字の変遷をグラフで示しながら,東アジアが市民レベルでますます緊密になっていることを示した.他に4名のパネリストと,コーディネータはピースデポ特別顧問の梅林さん.

司会が紹介しきれないほどの数のフロアからの質問があったが,その中に,「核兵器は悪いから無くす,それだけの単純なことのはずなのに,エラい人たちが集まるとなぜこんなに複雑で難しい話になるのか?」という,素朴な,しかしだれもが感じるようないらだたしさを代表する発言があった.これにパネリストはそれぞれ答えていたが,私もその場で自分なりの答えを考えてみた(別掲1).

私も発言通告の紙を出したが,言葉に関するものだったので,採用されないのもやむを得なかった.もし発言できたら述べただろうことをまとめてみた(別掲2).

午後は並行して開かれた2つの分科会のうち,核兵器禁止条約のセッションに参加した.ここでは,地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約にならった「ヒロシマ・ナガサキ プロセス」を提唱した三重大学の児玉克哉さんの話が新鮮だった.そこでこれを勝手にYouTubeにアップロードした.

1401577.gif8日朝追記:名称は両条約のオタワ・プロセス,オスロ・プロセスを真似たたもので,やりかたも同様だ.非核国を中心に,賛同する国だけで先に条約を作ってしまい,核を条約上も明文的に「悪」と定義してしまうのだ.非常に実際的な案だと思った.[追記終わり]

一日目の内容は西日本の報道が詳しい.
http://news.goo.ne.jp/article/nishinippon/politics/jdiplomacy/20100207_local_N_003-nnp.html
(別掲1)
「核は悪だから廃絶すればいいという単純な問題なのに,なぜ複雑な難しい話をしなければいけないのか」

答え1 そのとおり,単純に対応すればよい.「核禁止条約」が出来ようが出来まいが,国家間の合意があろうがなかろうが,とにかく核兵器は違法であり悪なのだから,市民が自由に「破壊」*して構わない.つまり「ハンマー」は正しい.これは非暴力直接行動の論理だ.
* もちろん核弾頭にさわるという意味ではなく,周辺施設から作動不可能にすること.

答え2 直接行動だけで核廃絶がすぐに出来るという保証はない.政治的,法律的プロセスをたどるという「着実」な道に沿っても進めなければならない.これには当然複雑さは避けられない.

これら二つは矛盾するものではなく,相補的である.
(別掲2)
「核の傘」,nuclear umbrella という言葉について
出席者の皆さんは先刻ご承知のことだとは思うが,それでも重要さの認識という点では私と違うかも知れないので,あえて指摘したい.「核の傘」という言葉は,核兵器を売り込もうとする連中のセールス用語である.核報復の脅しをかけることを,相手を傷つけることがない「傘」になぞらえるのだから,虚偽広告,良くても誇大広告である.

一般に流布している以上,この種の問題を論ずるときに使わざるを得ないということもあるが,しかし,この言葉を一回使うごとに核兵器の売り込み宣伝に協力している,と言うことを自覚する必要がある.その心理的効果は小さくないどころか,むしろ絶大かも知れない.このように宣伝となることを避け,自己欺瞞,自己暗示を避けるには,代わりの言葉,たとえば「核報復の枠組み」など,何か発明する必要がある.この点で冷戦時代に使われたMAD(相互確証破壊)は正直な用語であった.

同様にdeterrenceに「抑止」という漢字が当てられているのも歪曲的美化である.前者に「脅しつける」というニュアンスがあるのに対し,この漢字は紳士的すぎる.これはたとえば「核報復バランス」という言い方で代替できるかも知れない.

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