「改憲の動きを本格化させる」と自民マニフェスト

各紙の選挙予想が自民党有利と出ていることは，バカのひとつ覚えよろしき「カイカク」の連呼に，まだかなりの数の国民が飽きていないということでしょうか．このような人たちには，すでにこのブログでも何度か紹介した，高校生が作った素晴らしいコピーを教えてあげたいと思います．

「変えるべきもの　守るべきもの　創るべきもの」

これは，久留米市にある明善高校の2001年度大運動会のスローガンです．もっとも，この上に「破天荒」という言葉がかぶさります．その運動会のパネル文字の写真などが今もウェブにあります．ただしここには「破天荒」のスローガンしかありません**．折角の素晴らしいサブスローガンのコピーが省略されているのは大変残念です．
http://www2.ktarn.or.jp/~meizen/gakko/2001undokai/2001undokai.htm

さて，「憲法九条に対する各党の政策」の記事でも述べましたが，九条を変えるかどうかが重大な争点であるのに，自民も民主もこのことに全くと言っていいほど触れないのは明かな欺瞞です．郵政法案の処理が終わったらまた解散するというわけではありません．数年のうちにこのメンバーによって改憲が動き出すのです．自民党は「改憲の動きを本格化させる」とマニフェストで述べているからです．日本でも本格的に「軍産複合体」が権力を握りつつあるのでしょう．今こそアイゼンハワーの警告*に耳を傾けるときです．

九条改憲の焦点はその第２項にあります．これに明らかに違反する自衛隊を正当化するため，軍備の保持を書き込もうというのです．

第９条　 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求 し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇叉は武力の行使は、国際 紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
（２）前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを 保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

自衛のために軍隊を持つことは国連憲章でも認められているし，主権国家なら当然という論理でしょう．これはそのとおりで，それが「普通の国家」です．わが国が非軍備の理想を捨てて，その「普通」の，並のレベルの国家に戻るのかどうかが問われているのです．つまり，自衛隊を縮小ないし「改革」して軍隊でないものに変えていき，憲法九条の完全実施を目指すのか，それとも自衛隊の既成事実に合わせて規範の方を変更するのか，ということです．もし縮小できれば小泉さんお望みの公務員削減が数十％の規模で達成できます．

この問題を論ずると長くなりますので，ここでは簡単に２点だけコメントします．

まず，「未来は不確実で，侵略に備えて軍備が必要だ」という，一見もっともに思える主張，理由についてです．これを主張する人は，仮に日米関係が将来悪化し，アメリカに軍事攻撃されるような事態になったとき，再びアメリカと戦争する覚悟があるのでしょうか？アメリカほどの強国でなくても，侵略を受けたとき，これに軍事力で対応した方が一般人の被害は少ないとは断定できません．今度のイラク戦争でも，イラク側が抵抗しなかったら，はるかに少ない犠牲で終わったでしょう．（もちろんアメリカの侵略を正当化するわけではありません．）

次に，自国の軍隊が常に防衛の軍隊であり，侵略者にはなり得ないというのもまた，理想論だと言うことに気付くことが大事です．数学的，確率論的に考えれば，どちらも５０％の確率であることがだれでも納得できるでしょう．（この問題をわざわざ難しい数学の練習問題にして見ました．次をご覧下さい．

『攻められる』と『攻める』ことの等確率性 -- 数学における平和教育？--
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/Education/invasion.htm
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*アイゼンハワー大統領離任演説
部分訳
http://rerundata.hypermart.net/ura/hexagon/texts/textA3F/a3f2001.html
オリジナル全文
http://www.americanrhetoric.com/speeches/dwightdeisenhowerfarewell.html

** よく見ると，写真の下の，文章の中に，ありました！

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相互リンク
解散　http://plus-ultra.cocolog-nifty.com/ultra/2005/08/post_9e37.html