(『世界』連載についても追記
藤原帰一氏の安保3文書についての論評が朝日新聞の『時事小言』に12月21日に掲載された。東大のサイトにも掲示されている。ご本人がツイッターで紹介されている。

この文章はその始めの方で、政府の安保戦略が、それが目的に掲げた「抑止力強化」の役に立つのか、戦争を防ぐことはできるのか、という「角度」から考える、としている。そしてその結論は最後の数行に要約されていると思われる。その部分を引用する。

侵略に対する抑止は必要であるが、抑止に頼る対外政策は戦争の危険を高めるリスクがある。このジレンマがあるからこそ、抑止戦略と並んで外交による緊張緩和の可能性を模索しなければならない。/外交によって中国や北朝鮮との緊張を打開することは極度に難しい。だが、岸田政権には外交の機会を模索した跡が見られない。抑止力強化に積極的な政権の、そこが危うい。
つまり冒頭の問いに即して端的に言えば、「抑止力強化」の役に立たない、戦争を防ぐことはできない、と読める。しかしそれ以前の本文には、次のように、軍拡容認派が使う決まり文句が、相対化されることなく自身の言葉として散りばめられている。