岡田晴恵氏の「秘闘 私の『コロナ戦争』全記録」はこれまで2回紹介記事を書いたが(1回目2回目)、ようやく読み終えた。なんともすごい本だ。全国民必読と言っていいほどで、この2年以上の日本のコロナ対策の迷走の原因を明かしている。核心の一つは、尾身、岡部、舘田の3氏のいい加減さを、穏やかな口調ながら徹底的に告発していることだ。この3氏を退場させない限り、今後もまともな方向へは行けないだろう。これまでの2年余りの惨劇の中で、このような勇気ある女性がいたということが、この国の微かな希望である。

                迷走の「主犯」たち

       尾身氏             岡部氏        舘田氏

「第6波」は収束するどころか、下げ止まりの傾向さえ示している。要するに「戦略」がないのだ。少なくとも、その説明がない。現在の「エピセンター」はおそらく学校や幼稚園、保育園で、そこから家庭で大人に移って、それが広がるというパターンが主だろう(関連記事)。以前ドイツの保育園の頻回pcr検査のニュース動画(右の画像)を紹介したが、そのような戦略を取るという話もない。「感染対策をしっかり」と、もっぱら抽象的に、心構えを説教するだけだ。

最後の方の3ページ強をそのまま引用して紹介します。多くの方がこの本を読まれ、日本のシステムの病弊を知り、改善への圧力を高めていただくことを期待します。そして「日本グリーンゾーン化戦略」への道を。
同じ場所で

表参道の並木道の下を、私は黒いコートを着て、うつむき加減で歩いていた。そう、ここで武漢の新型肺炎発生のメールを受けてから2年が経つ。欅並木の通り沿いの店もずいぶんと入れ替わった。この通りから一本奥に入ると"For Rent"の紙が貼られた空き店舗が目立つ。私がうつむいて歩くそばをマスク姿の人たちが静かに通り過ぎていく。



日本のコロナ対策の失敗は、結局、専門家たちがリスクを取らなかったことが原因ではなかったか。武漢で肺炎アウトブレイクが起こった時、その初動において、彼らは論拠なく甘いリスク評価をした。見通しについても、何の裏打ちもないままに楽観視した。次第にこのウイルスの性状がわかるようになっても、それらを訂正も変更もせず、誤った対策を引きずっていった。そんなミスを繰り返した2年間だった。起こってしまった事態に慌てて、ただ逐次投入していく対策では、常に後手後手に回ってしまう。それがこの敗戦の最大の原因ではなかっただろうか。