(23/10/27)末尾にこの手紙が収録されている本について追記
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非暴力直接行動で核兵器廃絶を進めるイギリスの運動「トライデント・プラウシェアズ」(TP)の文書の紹介です(→日本の紹介サイト)。ウクライナ戦争は核戦争の危険をも含むもので、一刻も早く停戦を実現しなければなりません。そのことが最優先です。一方、インドとパキスタンの間では、システムの誤作動による核戦争の危機が生じていたことを米科学雑誌”SCIENTIFIC AMERICAN”が4月8日付で伝えています。世界がウクライナ戦争に注目している中、3月9日、インドとロシアが共同開発した巡航ミサイル「ブラウモス」(BrahMos)がパキスタン領内に誤って発射されました。実際には搭載されていなかったものの、核弾頭搭載可能なものだったとのことです。このような、事故による核戦争の可能性が常に存在しており、ロシア・ウクライナ戦争(背後に米、NATO)においても同様、いや、いっそう危険な状態かも知れません。

このように、核兵器の廃絶は一刻の猶予もないというべきであり、以下で紹介するTPの、「市民が直接、その手で核兵器を廃棄する」という行動の正当性、緊急性を示すものだと思います。

この文章は、TPがイギリスの核弾頭製造工場オルダーマストンの封鎖行動に際して、地元の警察署長に送った長い手紙です。翻訳出版を計画中の、アンジー・ゼルターの”Activism for Life”の付録に収められていますが(この本と紹介とその一部訳のその1その2その3)、すでにネットで原文が公表(こちらのページ)されていますので、日本語訳を以下に紹介します。

なお、手紙の中に出てくる「ストラスクライド警察」には、実は筆者らも2007年のファスレーン封鎖行動の際にお世話になりました。その時の様子は「バンブー・ブロックは大成功」の記事やその他で紹介しています。
警察とのリエゾン・レターの例 – 2000年、トライデント・プラウシェアズ発信

 

ベルチャー様

オルダーマストンでの5月18日から25日までのイベントについての、2000年4月19日付のファクスありがとうございます。あなた方と連絡を取り合う機会が広がってうれしく思っています。これはヘレン・ハリスとサラ・ラセンビーが実務を引き受けた方法で、このやり方で連絡を取り合いたいと思います。



私たちのウェブサイトとハンドブックに書きましたように(2.5節19-20ページ。ウェブも同様)、私たちは従来の意味での組織ではなく、それぞれ自立したアフィニティー・グループと個人で行うキャンペーンで、それぞれが核による犯罪を、平和的に、非暴力で、安全でかつ説明責任を負うやり方で防止することを誓約しています。オルダーマストンのAWE(核兵器機関)自体が示しているように、従来の組織形態は、個人が自分の行動に責任を持つことを回避するための手段となりやすいのです。「核犯罪防止誓約書」に署名した160人の「地球市民」は、それぞれが自分の行動と自他の安全に責任を負い、公式な組織の枠組みや保険契約の陰に隠れることはしません。「オーガナイザー」も「リーダー」もいません。それぞれが様々のケースに個別に責任を持ちますが、最低限の基準は個人責任と自律性、そして他者を尊重することです。60名の誓約者(近日中に別のトレーニングが行われるため、5月18日までにさらに増える可能性があります)は、熟考の末に誓いを立て、非暴力と安全に関する問題に向き合って解決するための2日間のトレーニングを受けています。トライデント・プラウシェアズ非武器化活動キャンプの参加者は全員、半日の非暴力と安全のためのワークショップに参加し、非暴力と安全のガイドラインを遵守する誓約書に署名するよう求められます。ご参考のために、その誓約書(表題は「非暴力と安全の個人参加者誓約書」)を添付致します。