今回の要点:長崎県警に電話で取材し,容疑者の身長の詳細,死亡推定時刻,硝煙反応検査結果が未発表であることを確認


昨日夕方に長崎県警に電話したところ,時間内(9時〜5時)でないと担当者が回答できないというので,今日は(自分の勤務時間中ながら)昼前に電話をし,数分間の「取材」をしました.その結果,容疑者の身長の詳細,死亡推定時刻,硝煙反応結果が未発表であることを確認しました.以下,電話でのやりとりを再現します.録音したわけではないので,「言えない」と「発表していない」の場所は違うかも知れませんが,内容自体は正確です.

ブロガー:マスコミ報道で分からないことが多いので直接お尋ねします.答えていただけますか?
県警:  はい,でもマスコミで発表した以上のことはお話しできません.
ブロガー:新聞などで見逃したこともあるかも知れないのでよろしく.まず,馬込容疑者の身長は?
県警:  180センチ(ぐらい?)です.
ブロガー:もっと詳しく,センチ単位までは?
県警:  それは言えません.
ブロガー:容疑者の死亡推定時刻は? 医学的な.
県警:  発表していません.
ブロガー:司法解剖はどこでされたのですか?また,そもそも司法解剖はなされたのですか?
県警:  それも言えません.
ブロガー:容疑者の着衣やヘルメット,それに体からの硝煙反応はどうなっていますか?
県警:  発表していません.
ブロガー:事件現場での目撃証言にあるフルフェースのヘルメットは見つかったのですか?
県警:  はい.
ブロガー:容疑者の車の中でですか?
県警:  いや,死体のそばです.

ブロガー:今後の記者会見の予定はどうなってますか?
県警:  レクチャーは随時やっています.
ブロガー:記者会見には一般の人間も参加できますか?
県警:  いえ,記者クラブに加盟しているところだけです.

以上より,容疑者の死亡推定時刻だけでなく,司法解剖をしたかどうかさえ全く発表していないことが確定しました.硝煙反応についても同様です.このような警察の態度は,説明責任を果たしていないというレベルを通り越して,むしろ「隠蔽」と言うべきものではないでしょうか.そしてこの県警の態度が公知の「事実」であることが確認されました.

メディアに関して言えば,こんな状況で犯人断定報道がまかり通っていいのでしょうか?この件では,容疑者はもはや反論することさえできず,また法廷で事実が検証されることもないのです.

県警とのやりとりの最後にあるように,会見場で質問できるチャンスがあるのは記者クラブ加盟社に限られています.このこと自体の合法性に重大な疑義がありますが,これに出席できるメディアは特権的な地位にあり,従ってそれだけ責任が重いと言えます.上記の基本的な事実についての確認を迫ることが出来なければ,ジャーナリズムには程遠く,小中学生の新聞部と比べるべき存在と言うべきでしょう.(小中学生に失礼な言い方かも知れませんが.)