今年のノーベル物理学賞は、前々から期待していた人たちなので、また自分の関心と近いところなので、うれしい気持ちです。技術とのつながりでは、量子コンピュータや量子暗号の基礎となるもので、キーワード #エンタングルメント ( #絡み合い )もいずれ日常語になるでしょう*。

受賞の3人のうちの一人、ツァイリンガーは、エンタングルメントよりももっとシンプルで、言わば「古典的」な量子論の命題である「万物は粒子と波動の二重の性質を持つ」ということを示す、見事な実験をしました。炭素原子が60個サッカーボールの縫い目の頂点に置かれたような「C60分子」というものがあります(右の図)。この、「どう考えても粒子でしょう」というモノも、やはり飛んでいる時には波になること、つまり「二重スリット」を通すと干渉縞ができることを見せてくれました。その論文はこちら。
http://davidlu.net/c60article.pdf
その中の「干渉縞」を示す図が左です。

10/5リンク追記:
映画「カムイ外伝」の1シーンの「解釈」
12年前に所属学科のメディアに書いた文章「『波束の収縮』の謎への実験的アプローチ」

* 新聞では #量子もつれ の言葉が使われているようです。