共産党の大会が1月14日から5日間の日程で開かれた。その内容は「しんぶん赤旗」で連日紹介され、代議員の発言も63名分が掲載されている。それらを全部、斜め読みではあるが、目を通してみた。その結果、発言内容は、それぞれの発言者の持ち場での状況や経験の報告と決意表明が全部で、肝心の綱領改正案や決議案の内容について議論したものはゼロだった。それらに触れていても、その内容をあたかもすでに決まったことであるかのように引用しているだけである。それほどまでに執行部の提案文書というものは完全無欠なものなのだろうか?それとも、疑問や意見を述べたものは掲載しなかったということだろうか?
議案についての私自身の意見は
先月のブログ記事で7点にわたって書いたが、無論これらに重なるような議論も皆無だった。
もちろん経験交流や状況報告も大事だが、それだけで終わっていいはずがない。このような「討論」のスタイルというのは長年のもので、14年前のブログ記事でも違和感を述べた(
共産党大会の代議員の発言と「公開討論」とのギャップ)。なぜこのようなことになるのか、原因の一つは代議員の選び方にあるのだろう。
発言者の地位や職業は全部は明記されていないので正確ではないが、おそらく党の専従活動家や議員が代議員の大半を占めるているのではないか。少なくとも27名がそのような立場の人と確認できる。半数近い。これらの人たちは党から給料をもらっているか、党のブランドで議員など政治家になった人だ。いずれも党に対して経済的な依存・利害関係がある。党を会社に例えれば「社員」だ。そして、提案されている議案を作ったのは、いわば彼/彼女らの「上司」だ。社員が上司である「会社」幹部の出す方針に対して自由に意見が言えるだろうか?もちろん建前上は、大会では全ての代議員が平等のはずだ。しかし人間心理は理屈では動かない。
そこで、このような異例の、あえて言えばグロテスクな体裁を改め、一般党員の意見を表出させやすくするには、代議員の構成を意図的に設計すべきだろう。つまり、「株主」*である一般の党員の代議員に占める割合を、例えば半数以上というように、決めるべきではないか。
「確かな野党」の地位から脱して政権入りを視野に入れるとすれば、内部で公然と意見・異見がやりとりされる文化を獲得しておくべきだろう。いやむしろ、政権に近づくべく党の勢力を加速度的に拡大するためにも、このことは必須ではないだろうか。
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(もちろん比喩には限界というものがあります。共産党の場合、いや他の政治団体もそうでしょうが、メンバーは「株主」であると同時に「労働者」でもあります。-2023/3/27追記)