(8/1) 両記事ともテキストで転載しました。
永嶋弁護士の記事、
宮里弁護士の記事。
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労働組合「関西生コン」に対する異常な刑事弾圧が続いている。社会新報7/26によると、「昨年8月から今年7月までに大阪府警・滋賀県警・京都府警によって延べ75人の組合員が逮捕され、そのうち50人が起訴されている。さらに警察が組合員の家族を訪ねて組合脱退を強要しているという。」このような異常事態をメディアが全く報じない。本当に暗黒時代がそこまで来ている。
同紙の記事と、同じく社民党の月刊誌最新号(8月号)の宮里邦雄弁護士の「巻頭言」を
画像でアップロード(クリックで拡大)。
宮里邦雄弁護士の文章から重要な一節を文字化して転載。(
末尾にそれぞれの画像の後にテキストで全文転載)
逮捕された組合員は、逮捕を機に雇用主企業から懲戒解雇されており、警察と資本が一体となってかねてから敵視していた産業別労働組合である全日本建設運輸連帯労働組合をこの機につぶそうとの狙いが見て取れる。労組組織率の低下、労働争議の減少という労働運動をめぐる今日の状況が弾圧の背景にある。今回の弾圧を対岸の火事と把え、弾圧に抗するたたかいが拡がらなければ、労働運動抑圧の意図は功を奏することになる。
・・・中略・・・
労働基本権は弾圧に抗し、弾圧に屈しない長い試練のたたかいの中で確立され、憲法28条に結実したものである。しかしいったん憲法で保障された権利であっても、法律で定められた権利であっても、その実効性を担保するのは労働者、労働組合のたたかいであり、それを支える社会的世論である
まず社会新報7/26付けから。クリックで画像データへ。
以下に文字化地域から
関西生コン弾圧は異常
永嶋靖久弁護士が講演
「共謀罪を先取りした大弾圧だ」
大阪労働者弁護団の永嶋靖久弁護士が6月24日、東京・文京区の全水道会館で警察による全日本建設運輸連帯労働組合関西生コン支部(以下、関生)に対する異常な弾圧を厳しく批判した。講演会の主催は労働者法律センターなど3団体。90人が参加した。
関生は関西を中心に生コンミキサー車の運転手らで組織される労働組合。7割が非正規労働者とされるミキサー車運転手を組織し、セメントメーカーやゼネコン、生コン製造・輸送会社と交渉し、雇用と労働条件の向上を勝ち取ってきた。
その関生に対する異常な刑事弾圧が続いている。昨年8月から今年7月までに大阪府警・滋賀県警・京都府警によって延べ75人の組合員が逮捕され、そのうち50人が起訴されている。さらに警察が組合員の家族を訪ねて組合脱退を強要しているという。
こうした逮捕・起訴の理由はとても刑事事件になるようなものではない。
永嶋弁護士は「ゼネコンの周辺で法令順守を求めるビラをまいたことが恐喝未遂とされたり、子どもの保育所入所のための証明書交付を会社に求めたことが強要罪となるなど、捜査は全く怒意(しい)的だ」と語気を強めた。
現場にいなかった関生支部の武建一委員長をはじめ労働組合役員を共謀理由に逮捕し、現在も長期勾留している。改正組織的犯罪処罰法(2017年成立)で新設された共謀罪の「リハーサル(練習)のようだ」と表現した。
その上で「関生つぶし攻撃は1960年の三井三池争議や86年の国労への攻撃にも匹敵する事件である」と指摘し、「関生弾圧を自身にかけられた弾圧と受けとめて支援してほしい」と支援を呼びかけた。
次が「社会民主」8月号巻頭言。クリックで画像データへ。
以下に文字化宮里邦雄
許すまじ!! 権力による労働組合弾圧
去る4月15日、「関西生コンを支援する会」 が結成された。私は、支援する会の結成呼びかけ人の一人であり、会の共同代表を務めている。会結成の目的は、①全日建関西地区生コン支部が展開した組合活動に対する支部役員・組合員らに対する不当な逮捕・長期勾留の中止と速やかな保釈 ②組合つぶしを目的とする不当捜査の中止 ③公正かっ迅速な裁判による無罪判決--の追求である。
組合員の逮捕者延べ67人(6月19日現在)という、関西生コン支部に対して加えられている刑事弾圧は、近年例をみない異常な労働運動への大弾圧である。
組合が展開したストライキ、企業に対してコンブライアンスを求める活動、ビラ配布活動などの諸活動が、「恐喝」「強要」「威力業務妨害」などの名目で犯罪視されたものであるが、いうまでもなく、憲法28条の労働基本権保障の中核は、労働者の団体行動や争議行為に対する刑事罰からの解放(刑事免責)であり、労働組合法もこの原則を確認している(1条2項)。今回の大弾圧は、この刑事免責原則に真っ向から挑戦し、労働基本権を侵害するものである。
警察権力の行使のあり方については、「不偏不党かつ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない」と警察法にも定められているが(第2条)、今回の弾圧はこの原則を自ら踏みにじるものである。
取り調べにあたった捜査官は、「組合から脱ける気はないか」「いつまでこんな組合とつき合っているのか」などと発言。犯罪捜査というよりも組合つぶしを企図しているというべき取り調べが行なわれている。驚くべき捜査権の濫用である。
逮捕された組合員は、逮捕を機に雇用主企業から懲戒解雇されており、警察と資本が一体となってかねてから敵視していた産業別労働組合である全日本建設運輸連帯労働組合をこの機につぶそうとの狙いが見て取れる。労組組織率の低下、労働争議の減少という労働運動をめぐる今日の状況が弾圧の背景にある。今回の弾圧を対岸の火事と把え、弾圧に抗するたたかいが拡がらなければ、労働運動抑圧の意図は功を奏することになる。
すべての労働者、労働組合にとって、かけがえのない労働基本権を守る自らのたたかいとして、関西生コンを支援する取り組みを拡げることが求められている。
労働基本権は弾圧に抗し、弾圧に屈しない長い試練のたたかいの中で確立され、憲法28条に結実したものである。しかしいったん憲法で保障された権利であっても、法律で定められた権利であっても、その実効性を担保するのは労働者、労働組合のたたかいであり、それを支える社会的世論である。
弾圧された組合員やその家族を精神的、財政的に支援するとともに、この弾圧の反憲法的性格を広く社会に訴える運動の展開を呼びかける。