11/29追記:末尾に江戸時代の一揆についての歴史の本からの転載を追記。
2019/3/30追記:後継記事で久留米藩大一揆について書きました。
2019/8/2追記:久留米藩大一揆をテーマにした小説「天に星 地に花」に関する記事 その1その2その3
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日本人は(政治的に)おとなしい,従順だ,という集団的自己評価が言わばこの社会で「定説」となっているようだ.だいぶ前だが,本多勝一氏も「従順なヒツジ遺伝子S型が七割を占める体制順応民族・日本人」などと述べている.しかし(あるかないかわからない)遺伝子を政治文化のレベルに結びつけるのは,血液型で性格を判断するのと五十歩百歩だろう.むしろ,そのような「自己評価」や言説それ自体が日本人をおとなしく従順にしているという,一種の自己暗示の面も無視できないだろう.

 実際,我々の祖先が「体制順応」的でなかった証拠として,多くの一揆の史実がある.北部九州地域に限っても,1754年の「久留米藩大一揆」,1771年の「虹の松原一揆」がある.いずれも一揆側が部分的にせよ要求を勝ち取っている(後者は完全非暴力である).ところがこのような歴史は学校教育では全くと言っていいほど教えられないため,上記のような「大人しく従順」という説を信じ込み易いのだろう.先週土曜日のパリ・シャンゼリゼ大通りを占拠した「黄色いベスト」,我々は彼らの行動をただ指をくわえて見ていることしかできないのだろうか?しかしこの国の数多い一揆の歴史を見れば,もしかするとそれに甘んじなくてもいのかも知れないのだ.

 虹の松原一揆は歴史の本で知っていたが,この久留米藩大一揆は,久留米の原住民でありながら,つい先日の,中学校PTAのOB飲み会で出た話で初めて知った(このOB会はもう20年以上も続いている).そこでは安倍内閣にも話題が及んだが,参加者9人の全員が「不支持」で一致した.つまりこのサンプルでは内閣支持率は零パーセントだった.メンバーの年齢分布は当然偏っているが,政治的傾向は,左右の座標軸でどちらかに偏っているとも思えない.ということで,大手メディアが流す40%を超えるような内閣支持率というのはフェイクではないか思われる.

 メディアの報道が大勢として政治的に大きく歪められているというのは,政治リテラシー・メディアリテラシーを自認する市民にとって常識だが,同じ大手メディアでも世論調査の結果だけは100%信用できると考えるとしたら,それはむしろ不自然だろう.