ネット空間では、パスワードなどでロックされているものは別として、誰でもあらゆる領域にアクセスできるが、しかし人はそれぞれ自分の関心のある、あるいは共感を持てる範囲の空間にしかアクセスしない。したがって、ネットでの発信はほとんど「仲間うち」にしか伝わらない、という性質があるので、自分(たち)のメッセージを社会全体に広めたい場合は、いかにそれを破るチャネルを作るか、仕掛けを作るかということが、そしてネット以外での、例えば「実空間」での発信が大事だ。従来型の、「古典的」な街頭リーフレッティング(ビラ撒き)やポスティング、そして戸別訪問の重要性は明らかだ。
ちなみに、冒頭の虫食いリンゴの図の載っている本はジョージ・ガモフ著「1,2,3…無限大」で、私が高校の頃に愛読したもの。初版が1951年なので相当古いが、相対論や宇宙論のそれまでの発展が巧みに語られていて、当時大いに想像力を掻き立てられたのを覚えている。驚いたことに、数日前に福岡のジュンク堂で、自然科学のコーナーに現役で並んでいるのを発見した。もちろん、この本が出た後には物理や科学一般の目を見張るような進展があるが、20世紀科学の基本的な要素を非常に興味深く紹介しているので、今でも人気を保っているのだろう。
------------
関連記事:マルチチュードメディア(2015年6月)
マルチチュードメディア(2014年11月)