古賀氏の,官邸によるメディア介入に対するTV生番組での告発から明日で1週間になる.ネット上には,当番組(3月27日の報道ステーション)での古賀氏と古館氏とのやり取りの書き起こしや,コメントが多数ある.また番組直後に田中龍作氏は,番組を終わって局を出て来た古賀氏にインタビューしている.

ブロガーは,記録映画監督・土井敏邦氏の意見に深く共感する.この土井氏のコラムには,田中龍作氏による古賀インタビューも紹介されている.
http://doi-toshikuni.net/j/column/20150401.html
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少し抜き書きすると,
テレビ局の番組スタッフたちの勇気と、キャスターの古館伊知郎氏の闘う姿勢と覇気に、私はジャーナリストの1人として畏敬の念さえを抱いてきた。

しかしその「報道ステーション」と古館氏への私のイメージが今、大きく揺らいでいる。それは3月27日の番組中でのコメンテーター、古賀茂明氏の発言に対する古館氏の対応を目の当たりにしたからだ。
また,官邸への全面屈服ともとれる30日の番組内での謝罪については,
・・・その菅官房長官のコメントのVTRで、番組のこのコーナーは終わった。その菅氏のコメントに古館氏は全く発言しなかった。視聴者には、「これは古賀氏の発言に対する政府の見解であると同時に、テレビ朝日、また『報道ステーション』という番組、そして古館氏自身の見解なのだ」というメッセージとして伝わったはずだ。

 私はその終わり方に、衝撃を受けたのだ。「古館伊知郎氏は、『報道ステーション』という人気番組を守るため、またそのメインキャスターとしての自分の地位を守るために、結局、政権の軍門に下ったのか」という失望だった。
しかし,古館全面否定ではなく,次のようにも土井氏は書いている*.
「古館伊知郎の本性を見たり!」と非難することは優しい。では、今の日本のマスメディア、テレビ報道番組のキャスターの中で、「報道特集」キャスターの金平茂紀氏など一部の例外を除いて、古館氏以上に政権とその強権政治に向かって堂々と批判できる報道人がいるのだろうか。
そして今回の騒動の「意味」を次のようにとらえている.
「報道ステーション」での古賀氏の発言をめぐる今回の騒動で最も重要な点は、安倍政権の強権政治によって日本のジャーナリズムがどれほど危機的な状況に追い込まれているかを改めて明らかにし、日本社会に知らせたことだと私は思う。
全く同感で,これまで政府によるメディアへのこの種の圧力はあったはずだが,このように,高視聴率のTV番組上ではっきりと証言・告発がなされたのはひょっとすると初めてかもしれない.少なくとも非常に貴重な,勇気ある告発だ.

ボールは,ジャーナリストはもちろん,われわれ一般国民に,そして当然野党と野党政治家に投げ返されている.これを材料に内閣打倒の展望が見えるかもしれない,それほどのものだろう.逆に,もしこれがうやむやにされてしまえば,言論抑圧,メディア抑圧の既成事実が,より重大な形で積み重なることになる.

奇妙なのは,一般紙が全く取り上げないだけでなく[末尾で訂正],共産党の「しんぶん赤旗」が今日(4/2)までこの問題に一行も触れていないことだ.不思議に思って赤旗の「テレビ部」に問い合わせたところ(代表03 3403 6111),現在「精査中」とのことだ.しかし「疑惑」の段階で疑惑として報道することは常になされていることだし,速報性は重要ではないか,と指摘した.古賀氏に直接取材してはどうかと聞くと,アタック中とのことである.対応が遅すぎるが,なんとか期待したい.

もし,共産党がこの問題を取り上げない理由が,古賀氏が旗揚げした「フォーラム4」のためだとすれば,木を見て森を見ず,という誤りを冒すことになろう.

これだけの暴政を繰り出す安倍政権は一刻も早く倒さなければならない.さもなければ,「安保法制化」という,つまり,本格的な戦争国家への道が開かれようとする,恐るべき夏を迎えることになる.どんな材料でも機を逸せず最大限に活用すべきだ.先だっての違法献金疑惑は,いつの間にか制度問題に,つまり政治資金規正法改正の問題にほとんどすり替わってしまったように思える.「知らなければ違法ではない」というのは本当のことだったのか?

訂正:「一般紙が全く取り上げない」と書いたが,引用した土井氏のブログ末尾に,朝日の記事のコピーがある.これもほぼ4/30の報道ステーションの屈服と同じラインだ.
* 「優しい」は「易しい」の誤変換と思われる.