2019年1月追記:警察庁の「所掌事務」を末尾に転載.
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11日の記事で,抵抗する市民を排除し,不法な基地建設を助ける沖縄県警に対し,県公安委員会は「管理」権を,知事は同委員会への「管轄」権を適切に行使すべきだ,と主張しました.

しかし,一方で,県警は警察庁長官に「指揮監督」されます(警察法16条2).では,これらの二つ,管理と指揮監督はどういう関係なのか,少し調べて見ました.

「管理」について
先の記事に書いたように,この語が何を意味するかは同法で定義されていません.いろいろ探すと,国家公安委員会のページ( 2018年リンク更新)に次のような説明がありました.
一般に、行政機関相互の関係を表す場合における「管理」の用語は、「監督」又は「所轄」と対比して、下位の行政機関に対する上位の行政機関の指揮監督が、内部部局に対する場合と大差ない位に立ち入って行われることを示すときに用いられる。
この中に「指揮監督」という言葉を使っているのでますます混乱しますが,要するに,内部部局に対すると同様立ち入って支配すること,と言っているので,強い支配のようです.

しかしそのあとで,警察庁という専門集団があるし,公安委員はしろうとだから,口出しは「大綱方針」についてだけにしなさい,というようなことも書かれています.官僚支配をしたいためにこのような付け足しをしたのでしょうが(実態そうなっている),原理的にどちらの権限が強いかと言えば,県の公安委員会>>警察庁,ということでしょう.

なお,この説明は国家公安委員会と警察庁の関係についてですが,このページの末尾に「地方公安委員会と地方警察本部等との間においても,妥当する」とありますので,県レベルでも同様です.

「指揮監督」について
他方,警察庁の県警への「指揮監督」ですが,これは.警察法16条2項(2019.1リンク修正)で「警察庁の所掌事務について、都道府県警察を指揮監督する」とあるように,その範囲は「警察庁の所掌事務」に限定されています.所掌事務の内容は17条で5条2項にリダイレクトさせることで,国家公安委員会の所掌事務と重なることを示しています(赤字部分2019年1月修正.このすぐ下も.).(「所掌事務」26項目を末尾に転載

その5条2項と読んで行くと,「指揮監督」の範囲が分かりますが,一番最後(26号)の,言わば「その他」ぐらいしか見当たらないようです.

さて,警察官個人としては,不当な命令に対しては「不服従」の義務がありますが(13日の記事後半参照),そうすると当然上司と衝突し,処分の危険があります.処分権は地方公務員法が規定する「任命権者」にあるのですが,同法を探しても,下位の警官の任命権者がだれなのか,なかなか分かりません.トップの県警本部長は多分知事ではないでしょうか.(→記事「警察官の処分権」参照)
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2015.10.30追記:上記の国家公安委員会のページの,「2『管理』の形態」には次のように書いてあります.
しかし、警察事務の執行が法令に違反し、あるいは国家公安委員会の定める大綱方針に則していない疑いが生じた場合には、その是正又は再発防止のため、具体的事態に応じ、個別的又は具体的に採るべき措置を指示することも、「管理」の本来の意味が上記のものである限り、なんら否定されないものというべきである。
まさに,現在の沖縄・シュワブゲートの状況は,「具体的事態に応じ、個別的又は具体的に採るべき措置を指示すること」が必要な段階にあります.これで動かない沖縄県公安委員会は,警察法39条と41条にしたがって,知事は更迭すべきではないでしょうか.
県警をめぐる支配・被支配と人事権の関係図
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