衆院選は,自公による絶対的多数維持という結果に終わった.つまり,この勢力による衆院支配が2年間延長されたということだ.そのトップは安倍晋三という危険きわまりない人物である.

他方で,共産党は議席を倍増した.護憲,脱原発,反ネオリべの姿勢が明確な党派が陣地を広げたことはよいニュースだ.同党とその支持者の奮闘は大いに讃えられるべきだ.応援のクリック歓迎 (私自身もささやかながら努力した.)しかし,投票翌日に発表された同党自身によるそのまとめ「総選挙の結果について」は,自党の前進のみにしか注目していないかのようで,冒頭に述べたネガティブな側面に全く触れていない.それどころか,自民がわずかに議席を減らしたことで世間の「自民圧勝」という見方を否定するという論調である.まるで,共産党が増えるかどうか「だけ」にしか関心がないかのようだ.これからの4年間にどれほどの危険な事態が待ち受けているか,実に深刻な状況と思うのだが,上記文書にはそのような危機感も感じられない.

テレビ東京が25日に放映した「WBS年末スペシャル」では,いくつかの質問に視聴者が2択で答えるという視聴者参加の企画があった.経済についての質問では回答の分布はなるほどというものだったが,驚いたというより,むしろ恐怖を感じたのは外交問題についての視聴者の反応である.「2015年,あなたは日中関係をどうしたい?」という質問への回答の選択肢は「改善したい」と「改善しなくていい」というものである.これはいくらなんでも前者が多数だろうと思いきや,なんと,「改善したい」41%に対して「改善しなくていい」が59%だった.石原慎太郎による尖閣をめぐっての挑発行為に始まる一連のキャンペーンはここまで「成果」を挙げたのかと,暗澹たる思いだ.