映画「ゴジラ」のデジタルリマスター版を観た. 1954年の作品.
http://www.nhk.or.jp/bs/past/#8473

こんなに思想性の高い作品とは知らなかった.(これに続く5行はネタバレのため末尾に移動)

このような高い科学者倫理が織り込まれたのは,おそらく映画発表の4年前の,学術会議による「戦争のための科学に従わない声明」*が出されるなど,科学者倫理についての社会的関心が高かったことが背景にあるのだろう.この映画の翌年1955年には核廃絶を呼びかける「ラッセル=アインシュタイン宣言」が出される.

現在,国立大学の軍事研究拒否がひょっとするとバッシングを受けかねないような,恐ろしい状況さえ想定される.アメリカと同じ轍**を踏まないよう,大学関係者の自覚が今ほど求められる時はない.

* http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2005-11-18
** アメリカの軍産学共同の実態は次の本に詳しい.(2020/7/20追記: 翻訳出版準備中--初校段階)
S.W.Leslie, The Cold War and American Science - The Military-Industrial-Academic Complex at MIT and Stanford, 1993.