東京都知事選で脱原発を求める市民が判断に迷うような事態になっています.有力3候補のうち脱原発を掲げる宇都宮,細川の2人のうちで,全体としての政策や信用度は宇都宮だが,当選に近いのは細川だ,さてどうしよう,というわけです.

細川氏は「国家戦略特区を活用」を掲げることで新放任主義*の立場を明確に出しているし,何よりも過去の首相在任中に「国民福祉税」の名目で消費税を当時の3%から一挙に7%に引き上げようとした人です[追記あり].応援の小泉元首相は,原発以外では自分の過去の悪行を全く反省していません.

細川氏が当選すれば,脱原発の動きに弾みがつくだろうという希望は理解できますが,それだけを重視して細川支持に回っていいものでしょうか.「舛添より細川の方がまし」というのも,原発をめぐる,それもさしあたっては「スローガン」に限ってのことでしょう.

選挙は,支持率やメディア露出度などの要素で進行する「現象」ではなく,市民一人ひとりが主体的にそれに関わっていくプロセスです.候補者への支持の呼びかけがもし誠実な,心からのものでない時,そのためのパワーが生み出されるでしょうか?
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五十嵐仁氏がブログで「細川元首相の都知事選立候補は運動を分断し特区と規制改革を受け入れさせるための『疑似餌』ではないのか」と書いていますが,私も同様に,細川立候補は,古くは「新自由クラブ」に始まり,まだ記憶に新しいところでは小泉の「自民党をぶっ壊す」と続く,自民党の危機に際しいてこれまで何度も繰り返された“red herring”**ではないかと疑います.

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追記:そうそう,1994年の小選挙区制導入も細川内閣によるものでした.
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* いわゆる新自由主義.このような美名で呼ぶべきではない.
** 字義は薫製ニシン.これを引きずった後を猟犬が辿り,本当の獲物を逃すことを意味するようです.