(動画を追加しました.根津さんの写真の下です.)
今日はうれしいニュースがあった.東京の「日の丸・君が代」強制に抵抗している教師たちの処分の発令についてである.根津さんに対する免職が非常に心配されたが,都教委はこれをやれなかった.去年3月と同じく6ヶ月の停職処分だった.レイバーネットがいち早く写真で報じた.
http://www.labornetjp.org/flashnews/2009/1238481520099flash
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6ヶ月の停職という処分もとんでもないものだが,これを喜ぶ,あるいは喜ばなければならないというのが東京の現実である.

先週の金曜,27日の夜に,阿佐ヶ谷ロフトAという,一種のライブハウスのようなところで,根津公子さんを中心とするトークイベントがあった.東京出張のついでにこれに参加した.はじめに70分ほどの,根津さんたちの抵抗を描いたビデオ『あきらめない―続・君が代不起立』が上映されたが,ちょうど1年前の,今度と同様に心配された「免職」でなく「停職」だったことに喜ぶシーンで終わっていたのだ. (右の写真:ロフトAの人と週刊金曜日の人との掛け合いでオープン)

休憩時間に根津さん本人が会場に現れ,友人と話をしていたが,いっこうに終わりそうにないので割り込んで,「ブログで応援しています.福岡から来ました」と挨拶をした.

続いて,メインの根津さんと「週刊金曜日」編集部員の女性との対談という形で進行した.どうしても「闘士」というような先入観を持ってしまうが,実物はごく普通の常識的な女性という感じだ.背筋をきちんとのばして生きている,ただそれだけのことなのかも知れない.

 (前日に出た東京「君が代」裁判の不当判決にコメントする根津さん)
動画640x480(注意!79MBあります),動画320x240(10MB)

質疑応答の中で,オーディエンスの一人が,「自分は日の丸も君が代も好きだけれども,あの状況の中では唄えない.それが残念」と発言していた.とても真っ当な姿勢だと思う.好き嫌いは人それぞれだ(これらのシンボルや歌への歴史的な「刻印」の問題はあるにせよ).しかしそれが強制されるという状況がある限り,抑圧される人の立場に立つというのが,普通に良識と共感力を持つ人の取る態度だろう.(以前の記事「『起立』する人の責任」参照)

ところが,日教組だけでなく,全教でさえその立場を取っていない.いったいどういう事情になっているのだろうか?

このような不当な処分と戦うために,組合は「救援金」という制度を持っている.組合は今こそこれを発動して,根津さんたちの不当に減額された給与を補填すべきだ.この制度はストへの処分を想定したものだが,ストなどやらないのだから有り余っているはずだ.それとも,どこかの組合のように[註],バブル時の「財テク」失敗で消滅させてしまったのだろうか?

全教にこのことについて問い合わせてみたが,「不起立」は組合で決めたことではないので,適用できないとのことだった.(記事「根津公子さんに停職一ヶ月」参照)しかし,組合で決めていないにせよ,組合の理念や方針にかなったことを勇気を持って実行したのだから,「追認」という形で柔軟に運営することも出来るはずだ.是非ともそのことを考えて欲しい.

メディア関係者の危機感のなさも気になる.ファシズムという病気は,小さなことの積み重ねで少しずつ慣らされながら,気づいたときには手遅れ,という進行のしかたをするものだ.まして,東京都で行われている,まさに現代の「踏み絵」は,決して「小さいこと」とは言えない.まさに東京という現代の大都会に存在する「北朝鮮」なのだ,ということに気づいている記者たちがどれほどいるだろうか?特に若手の記者たちの中に.


(壱花花のパンフレット「東京日の丸行進曲」から,同社の許可を得て転載)

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[註] ある大規模な公共企業体の組合のメンバーだった人から直接聞いたので,事実だと思っている.