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改憲の危機に全面対応を [憲法・教育基本法]

(9日朝、項目3で一部字句修正)
2つ前の記事で衆院選の結果についての感想を書きましたが、「その2」も考えています。しかし国会での改憲勢力絶対多数という事態で、9条改憲阻止の課題が喫緊のものとなりましたので、この問題を優先します。護憲勢力は急いで戦略・戦術(*)を練る必要があります。以下、私の提案を簡潔にまとめたいと思います。(すでに繰り返しいろんなところで主張していることのアップデートです。)

1 原理原則の共通認識を深める努力
1-1 「護憲派による解釈改憲」との決別
「急迫不正の侵害に際しての自衛隊の活用」[1]、あるいは「自衛隊がなくても大丈夫と思える平和な国際社会をつくろう」[2]というような言説は、軍事力としての自衛隊の必要性を、少なくとも暗黙に認めている。このような中途半端な、しかも矛盾した態度では説得力はなく、何よりも勢いがない。

1-2 一国の軍隊が侵略軍になるか防衛軍になるか、数学的確率は半々である
この重要な、いわば「数学的定理」に無頓着で、自国の軍隊は純粋に防衛のためにしか機能しないと決めてかかる誤りに気づくべきだ。このバイアスのため、「防衛省」は作っても、自国軍が侵略軍になることを予防するための「他国侵略防止省」を作ろうなどとはつゆも考えない[3]。これは万国共通である。米軍はこれまでの歴史でおそらく90%以上侵略軍であった。日本も1945年までは侵略軍であった。また、ある時期の政権が平和主義者であったとしても、政権交代で攻撃的、侵略志向の指導者が権力を握れば、軍隊には「自動安全装置」などはインストールされていないので、そのまま侵略の道具となる。先日、追い詰められたトランプが核を発射しかねない事態があったと言われる。

itoatkurume.jpg1-3 「攻められたらどうするのか」に対する、正面からの答えを用意する
「そんな事態は考えられない」というのは正面からの答えではない。
「攻められる」ことを防止する万全な方法というのはそもそも存在しない。比較の問題であるとの認識が重要だ。軍隊があれば完全に抑止できるというわけではないし、戦闘になった場合は逆に双方に多大の犠牲が出る・・・「一矢報いた」という指導者の自己満足は得られるかも知れないが。
「攻められる」事態が生じない、生じにくいような外交政策、外交戦略を組み立てて示すことが一つ、そして、万一侵略を受けた場合の「代替防衛」=非暴力行動による国家防衛[4]について研究し公表する必要がある。もちろん「代替防衛」にしても、軍隊がそうであるのと同じように、「万全の備え」ということにならないのは当然である。(右の写真は久留米市で講演する伊藤真氏。2010年。注4参照)

2 自衛隊政策を示す
違憲だからすぐに解体とは行かないので、例えば緊急災害救援隊(国内外)のようなものに再編するなど、隊員の雇用を保証しながら違憲性をなくす具体的方策、プログラムを示す。

3 「中国脅威論」への包括的な対応
「中国脅威論」は自衛隊軍拡のためのプロパガンダであると同時に、中国の軍拡は現実のものであろうし、地域紛争が軍事化する危険の増大を反映したものでもある。過去には、1979年にベトナムと戦争をして、これを取材していた赤旗のハノイ特派員が中国軍の銃撃で死亡するという事件もあった。中国の軍備は量・質ともに当時とは比べものにならないだろう。
これに対処する現実的で明確な政策と行動を示さなければならない。日本の軍事化のおそらく唯一にして最大の「根拠」かつ世論動員のツールとなりうるので、重要である。直ちに次のことに着手すべきだろう。
3-1 日米軍事演習や琉球弧への自衛隊新規配備などを中止し、中国の軍備増強の口実を与えず、その動機を減らす。
3-2 野党外交などを通じて対話の雰囲気を醸成し、軍備増強を中止するよう求める。

(最後の、対中国の問題は誰にとっても難問と思いますが、無視したり、脅威は存在しないかのように言うのは最悪だろうと思います。)
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(*) このような戦争に関係した用語以外に、何かいい言葉があるでしょうか?
[1] 例えば、「しんぶん赤旗」2016年12月31日付、「自衛隊『活用』と立憲主義」(次のURL)、過去の大会決議など。
 https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2017-01-08
[2] 吉良よし子氏本人が、テレビ番組の収録での自身の発言としてSNSで紹介している。2017年11月7日のフェイスブック。
[3] 例えば筆者ブログの「『防衛』と『侵略防止』」参照
 https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2017-05-03
[4] 筆者ブログの以下の記事参照
「憲法九条下での国防」
 https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2007-11-23
「伊藤真講演会で『代替防衛』が議論に—久留米大学で」
 https://pegasus1.blog.ss-blog.jp/2010-11-29
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