「ポスト・デモクラシー」についての記事で,その結論部分について書く約束をしていました.それは次のようなことです.
(1)政党は重要だが,政治上の目標に向けた活動を,政党を介してのみ行うことに満足してはいけない.政党に対して外側から働きかける必要もある.(168ページ)

(2)議会に「陪審制」を導入する.「一ヶ月の会期で,国会の正規議員の一部(たとえば三分の一)が指定した少数の法案を無作為に選ばれた市民が吟味する.」「この議会は,法案の可決・否決をする権限をもつ.」(170ページ)

(3)党員や党の「熱烈な支持者が頑なに(党首脳に)忠実であろうとすればするほど,党首脳はそれを当たり前と考え」,一般市民の考えや利益を配慮することが少なくなる.したがって「政党が好ましい行動をしたら返礼し,そうでなければ罰を与える.」(171ページ)

(4)政党や組合以外の「大衆的運動」を,それが民主主義に役立つものか,その逆かを判断すること.(176ページ)

大衆的運動の役割は大きく,野党指導者も含む「政治エリートの助力がなくても,大規模な運動を組織するのは可能である.」(182ページ)

(5)集団ごとの共通利害・関心事・要求*を明確に定義すること.「政治的アイデンティティーの定義競争についても,既存政党による寡占分野の周辺に公開市場が求められる.」(180ページ)

(6)ロビー活動の重要性.「新旧の運動組織によるロビー団体を通じて活動すること.」(183ページ)

(7)直接行動の推奨と思われるような表現も見られる.

「私たちは自問しなければならない.そうしたデモ参加者が唱道する類の真に破壊的な行動を拡大することがないとすれば,いったい何がグローバル資本主義の害悪を止められるというのだろうか.」(185ページ)


* これは本の中では一般に「アイデンティティー」の語で,ある箇所では「人々を動員できるような争点」(177ページ)という言葉で表現されている.
最近の国会を見ていて特に重要と思い当たるのが項目(3)でしょう.自分が支持する政党であればあるほど,その真のパフォーマンスを厳しく監視しなければなりません(いわゆるTV画面やメディア受けする“パフォーマンス”に騙されないように).「裏切り」に勝る効果的な敵対行為はないからです.