今日(16日)の毎日新聞の,「学習指導要領」改訂問題を扱った記事に目が行った.かつて現役時代にテレビなどに出演して,文部省・文部科学省のスポークスマンを務めた寺脇研氏の意見が書いてある.「ゆとり教育の『旗振り役』と言われた」人だから,当然今回の改訂に批判的なのはうなずけるが,驚くことに文科省廃止論を打ち出している.「地方分権が進めば、指導要領や文科省はいらない」と述べているのだ.

◇「落ちこぼれ増える」 授業時間増に疑問--京都造形芸術大教授・寺脇研氏
(スクロールして下から3分の1くらいの所)
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私自身は,文科省のようなイデオロギー官庁は百害あって一利なしで,従来から廃止論を主張しているが[註1],文科省の元官僚が同じ事を言っているのには少々驚いた.テレビに出るような名の売れた元官僚が,自分の出身官庁のことを「いらない」と公言するのは珍しい.文科省は,文部省の時代からずっと,教育の国家統制という教育基本法違反の常習犯で有り続けた.最近では,沖縄戦をめぐる「教科書検定」に見られるように,教育内容の歪曲でも有名になった.
(廃止と言っても,国に教育行政がなくてよいということではないので,そのような純粋に「事務」を扱う役所は必要だ.しかしこのために現在の文科省を「改革」するという程度では,今の悪弊からは到底抜け出られない.)

文科省=地方教育委員会のラインで押しつけられてくるもので,最も目立ち,うっとうしいものが,例の「日の丸・君が代」の強制である.(地方自治の重要な要素である教育自治の観点からすれば,このような「ライン」の存在自体が許されないのだが.)

折から卒業式,入学式のシーズンも近づいているが,「日の丸・君が代」強制問題を扱ったあの「歌わせたい男たち」の東京公演↓と全国ツアーが間もなく始まる.

朝日舞台芸術賞グランプリや読売演劇大賞を受賞した永井愛の作品で,主演はテレビや映画で活躍している戸田恵子だ.東京は今月29日から3月23日まで,全国ツアーは3月25日の埼玉に始まり,最後が5月1日の山口.福岡は「大野城まどかぴあ」で4月30日だ.東京でしか見れないと思っていたので,うれしいニュースだ.卒業式,入学式がたけなわの時期にぶつけているのが素晴らしい.

[註1]たとえば次の文書の5項
「『意見』の根幹は項目設定(アジェンダ・セッティング)にある」
(国立大学の「法人化」が国会で決められた一月ほど後に,大学関係者のMLに投稿した文章)
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