天木直人氏がブログで「テロ特措法」について述べている.自分はその延長に反対だが,「小沢民主党がこのタイミングでテロ特措法延長反対にこだわる事は得策ではない」,つまりその時期ではないので,「落としどころ」を考えるべきだ,というのだ.
http://www.amakiblog.com/archives/2007/08/23/#000495
http://www.amakiblog.com/archives/2007/08/27/#000499

要するに,世論にも政権にも準備ができていないので,米国の反撃で腰砕けになり,日米関係がより従属的に固定されてしまう恐れの方が大だという.

しかしこの見方は偏っているというべきだろう.天木氏の見方とは逆に,世論の支持もあり,選挙で支持された政党の党首が示した,最近の政治シーンでは滅多に見られない米国に対して独立性を示した政策が,その党首本人による「裏切り」によって葬られるとすれば,その方が,「健全で対等な日米関係」*の構築にとってより重大な打撃となるだろう.つまり,日本の市民に対して計り知れない無力感をもたらし,立ち直るのにまたさらなる時間を要することになるだろう.

天木氏は,日本の世論や政党がまだ準備出来ていないというが,対米関係正常化の重要な力となるのはわが国の目覚めた世論である.それを育て,エンパワーする方向かどうかと言うのが重要な判断の要素でなければならない.特措法打ち切りの実現は,その世論にパワーを与え,そのパワーが新たな支持者を獲得し,対米関係についての固定的な見方を揺るがして行くだろう.そのようなポジティブ・フィードバックが起こりうる.このように社会現象は非常に短い時間でも「非線形」に発展するものだ.私には,天木氏の分析手法はむしろ線形な,staticなもののように思える.

もし今度の国会で「安保廃棄」を打ち出すとすれば,それはたしかに唐突で「時期尚早」であろう.しかし「特措法」打ち切りは,「たかが」無料ガソリンスタンドの打ち切りという問題に過ぎない.そのガソリンスタンドは,米軍の「空爆」と呼ばれる大規模なアフガンでのテロ行為を支援しているのであり,道徳的観点からも妥協的態度は許し難い.「テロ支援特措法」は一日も早く打ち切らなければならない.

* http://www.amakiblog.com/archives/2007/08/16/

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