「しんぶん赤旗」は,退職した校長の教育基本法改正に反対の意見を伝えている.しかしなぜ「退職校長」なのか,現役校長がなぜ声を上げないのか,非常におかしい.現役が発言しそれを退職者が応援するなら話は分かる.実際,現役の校長の大半が教育基本法改正に反対なのだから,かれらが発言すればいいのだ.

だいぶ前の新聞が東大の調査を報じている.「東京大学21世紀COE」ウェブサイトの一項目に次のようにある.
 http://www.u-tokyo.ac.jp/coe/coe03.html
教育基本法改正案「賛成しない」66%−全国小中学校長東大アンケート−学力テストも不備 2006.9.3 朝日新聞

憲法99条は公務員の憲法擁護義務を定めており,憲法と密接な関係にある教基法を公務員が擁護するのに何の不自然もなく,あたりまえのことなのである.しかしなぜか現役校長の意見は匿名の統計数字にしか出てこない.彼ら/彼女らが公然と発言すればそれなりの影響力を持つだろうし,むしろそれを行使する義務があるのだ.しかしそれはなされない.なぜか.

その畑で一応のトップに登り詰めた人にとって,言論の自由の範囲内と考えられる行動が原因で,解雇されたり,退職金や年金の額が減らされたり,などということは考えられない.現職の「ヒラ」の教員が,日の丸・君が代の「踏み絵」によって減給などの処分にさらされるのとは大違いである.ではなぜ彼らは発言しないのか.つきつめると,結局そのことで受けるかもしれない「イジメ」が怖いからではないのか.そうとしか考えられない.「イジメ」るのは文部科学省に支配された教育委員会や,地方行政当局であろう.

学校では生徒たちに「イジメはいけない」,「イジメに負けてはいけない」,「イジメを見過ごしてはいけない」と教えているはずだ.しかし,その校長自身が,教育の最も根幹に関わる法律の問題で「イジメ」を恐れてものが言えない,そんな状況にあるのではないか?およそその原因が純粋に「イジメ」にあるという意味でイジメ現象の見本のようなもの,それが校長をめぐる問題なのではないか.

全国の校長先生,いかがですか?