「米軍の研究資金は研究者の裁量に自由度が高いものもあり、研究成果が何に使われるかを研究者自身が確認できるなら、認めてもいいと思います。」
記者から「京大は1 9 6 7年に『軍からの研究資金は受けない』と学内で申し合わせています。後退では」と問われると、次のように、特許の取得が重要などと枝葉的な議論に逃げている。
「そうではありません。研究内容を審議する委員会を常設し、目的や利用のされ方などを見極めます。委員会は審議で認めたら、その理由を全教職員に説明する義務を負います。中でも、私は特許の取得が重要だと思います。特許があれば研究者自身や所属機関か研究成果の使われ方に対して意見を言え、責任を持てるからです。」
以前の記事「軍事研究問題の重要ポイントは『人間関係資本』」に書いたように、研究者は軍事研究に直接加担しなければいいというだけでは不十分である。専門家としての責任ある社会的発言の義務もある。米軍から資金を受け取っていて、米軍というスポンサーの意向を気にせずにこの責任が全うできると思うのだろうか。
全大学関係者、とりわけ京都大学の皆さんは、山極氏のこのような態度について追及して欲しい。
------
山極氏の別の発言に関する記事:国大協会長が「法人化は失敗だった」(3月10日)
軍事研究に関する記事の例:アメリカのトップ大学での軍事研究の歴史
筆者の軍学共同問題についての論文:科学の軍事利用と科学者の抵抗―歴史と運動に学ぶために―(「日本の科学者」2016年7月)
関連スピーチ:2016年10月7日,九大,2017年3月,大分